前回は、ITILを実践するためには、まずシステムの状態の3つの“見える化”が重要であることを解説した。そこで、見える化を行うにあたって、富士通の統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」が提供する機能やメリットを、富士通 ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 堀江隆一氏に聞いた。
ビジネスの拡大や環境の変化に合わせて進化していく「システムの変更」を見える化することは、確実な運用やリスクの軽減にとって極めて重要だ。また、従来システムの変更は、承認手続きがあいまいだったり、変更手順も担当者任せになっていることが多く、内部統制の観点からも問題が少なくなかった。
そこで、起案から最終的な変更までの運用プロセスを確実に管理し、変更内容をシステム構成と連動して管理することが重要である。「Systemwalker IT Process Master(以降、Systemwalker ITPM)」は、システム変更作業をワークフロー化するので、人的ミスを未然に防ぎ、手順の標準化を実現。確実な統制が可能になる。
また、計画通りにシステムが変更されたかどうかを、「CMDB(Configuration Management Database)」に収集。システム構成情報を一元的に可視化することで、変更前と変更後の構成比較が可能になり、計画通りに変更できたかを確認できるようになる。さらに堀江氏は、「Systemwalker ITPMからは、構成情報だけでなく性能情報などを含む運用管理に関わるさまざまな情報を閲覧できるので、確実な管理を効率的に行うことが可能になります」と語っている。
もちろん、「Systemwalker ITPM」なら、システムがどう変わったかだけでなく、いつ、誰が、何を変更したかまでの変更履歴も確認できる。システムが正しいプロセスで、計画通りに変更されたかどうかを確実に把握できる。
過去から最新までの構成情報を一元的に管理する「CMDB」
システムを変更した場合、本当に計画通りにシステムが変更されたかどうかを確認することは重要だ。しかし、システムごとに変更管理を行っていたり、設計情報などが紙などでばらばらに保管されていたりすると、確認作業も困難になる。また、当然ながら変更前の情報を確実に保管してなければ、そもそも比較できない。
そこで有効なのが、過去から現在の情報まで運用管理に関わるさまざまな情報を一元管理できるCMDBである。他社を含む複数の管理製品の情報を仮想的に統合。情報を集めるのではなく、CMDBを介して様々な運用管理情報が閲覧可能であり、常に最新の情報を確認することができる。
CMDBは、CMDB Federation Workgroupにより国際的な標準化が進められており、2007年6月には参加ベンダー6社による相互接続検証が完了した。富士通は、このCMDB Federation Workgroupに、唯一の国産ITベンダーとして参加。国際標準化に寄与している。
サービスの正常な運用を見える化することも極めて大切である。
レスポンスの遅れなどサービスレベルの低下は、利用者が意識するほど大きくなる前に対処しなければならない。万一それを放置してしまうと、最悪の場合、システムダウンにつながる可能性もある。
そこで、傾向の分析や過去との比較などにより、システムのサービスレベルを見える化するのが、「Systemwalker Service Quality Coordinator」だ。堀江氏は、「性能情報を常に収集しているので、システムリソースの稼働率などから投資効果の最適化を図ることができます。もちろん問題の箇所まで特定できるので、迅速かつ的確な対応も可能です」と語る。
一方、業務が予定通りに行われているかどうかを見える化するのが「Systemwalker Availability View」である。これにより、個々の処理単位ではなく、業務レベルで予実管理ができるので、万一のトラブルを未然に防ぐことができる。
最後は、システム全体の見える化だ。
マルチベンダー環境では、業務システムごとに異なる運用管理製品を利用するケースは少なくないだろう。しかし、このような環境ではシステムごとに運用手順が異なるため、それぞれに担当者が必要になるなど、ムダも多い。また、管理項目や運用手順が異なることは、統制の観点からも好ましいことではない。
このようなシステムの一元的な管理を可能とするのが、「Systemwalker Centric Manager」である。「Systemwalker Centric Manager」は、他社の運用管理製品を含めて一元的な管理が可能になるので、すべてのシステムを同じ手順で管理できるようになり、管理工数の削減とIT統制が可能になる。
さらに、今回新たに*インストールレスでリモート監視が可能になる機能を追加。これについて堀江氏は、「24時間365日でサーバを運用している昨今では、監視のために新たにエージェントを導入することはシステム運用上困難です。そこで、サーバの業務も止めず、また、システム構成も変えずに監視できるインストールレス機能を実現しました。Telnetなどの一般的なリモートアクセス機能を利用して、Systemwalkerが自動的に対象サーバの情報を吸い上げるので、稼働中のサーバに関しても、システムを変更することなく、その状態を把握することが可能になります」と語っている。
*インストールレス:監視対象サーバに監視用のエージェントソフトをインストールしない
また、システムが大規模化・複雑化すると資産管理も重要になってくる。システムリソースが把握できなければ、適切な管理も統制も行えない。そこで、Systemwalkerでは、サーバやストレージ、スイッチなどのシステム構成の把握に「Systemwalker Resource Coordinator」を、クライアントの構成把握に「Systemwalker Desktopシリーズ」を用意。仮想環境を含めて、システムリソースの容易な把握を実現する。
以上見てきたように、Systemwalkerを利用することで、システムの運用管理に必要なさまざまな情報を見える化することが可能になる。次回は、システム変更の見える化について、事例を交えながら、さらに詳細に紹介していく。