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企業リスクマネジメント最前線 −今求められる“IT全般統制”と“事業継続対策”−
Vol.4 事業継続実施運用のポイントを探る

前回は、富士通が提供する安心安全ソリューション「SafetyRing」の事業継続ソリューション、その中でも戦略策定フェーズについて紹介した。そこで今回は、実施運用フェーズについて富士通が取り組む中で明らかになった重要ポイントや、富士通が提供するソリューションを紹介していく。前回に引き続き、富士通総研 第三コンサルティング本部 BCM事業部長(兼)富士通 BCM推進室員 伊藤毅氏に話を聞いた。


PDCAサイクルを廻しながら、ねばり強く取り組むことが重要

株式会社富士通総研(FRI)第三コンサルティング本部 BCM事業部長(兼)富士通 BCM推進室員 伊藤 毅氏 戦略が策定できたら、実施運用フェーズに入る。前回説明したBCP(事業継続計画)に基づき、災害などが起きた時の詳細な復旧手順を作成したり、必要に応じて個別な対策を実施。社員への教育や訓練を行いながら、問題点を洗い出し改善していく。

 事業継続対策で考えるべき要素項目は非常に幅広く、一度にすべてカバーすることは不可能である。そこで、PDCAサイクルを廻して見直しながら、高めていくことが大切だ。以下は、米国のDRII(Disaster Recovery Institute International)と英国のBCI(The Business Continuity Institute)で合意されている、BCM(事業継続マネジメント)の専門家として必要な10の知識領域であり、BCMで網羅すべき領域がカバーされている。

 ■事業継続マネジメント(BCM)プロジェクトの導入と経営者の承認
 ■リスク評価(RA)とコントロール
 ■ビジネスインパクト(事業影響度)分析(BIA)
 ■事業継続戦略の検討と策定
 ■緊急対応策の検討と策定
 ■事業継続計画の作成と手配
 ■啓発・訓練プログラムの作成
 ■事業継続計画の更新と訓練の実施
 ■危機広報の検討
 ■外部機関との調整

 伊藤氏は、「このリストは考えなければいけない項目を網羅しているので、これにしたがって、それぞれがどこまでできているかを把握することで、全体の進捗を理解しやすくなります。そのうえで、各項目の進捗はばらばらでもいいので、低いところを毎年少しずつでも埋めていくようにすると、バランス良く対策を取ることができます」と説明する。

事業継続マネジメント(BCM)の全体像
行動手順書は全体を包括する電話帳よりも、各人がすべきことがすぐわかる一覧に

 BCPが策定できたら、それを元に緊急時の具体的な行動手順書を作成していく。行動手順書を作成する際、多くの企業で往々にしてBCPの全体を包括する文書を作りたがるが、それではいざという時に却って使えない、と伊藤氏は次のようにアドバイスをする。「行動手順書は、必要な人がわかるものがあればいいので、バラバラで構いません。むしろ担当ごとにすべきことが書かれている一覧表のようなものの方が使いやすい。全体を網羅する電話帳のような文書では、探すだけで手間がかかり、いざというとき迅速な行動を阻害するおそれがあります。また、多くの企業では、既に災害対策や防災訓練などを実施していることと思います。行動手順書は、そういった既存の取り組みで作成したマニュアルなどを活用しながら作成するのが、現実的で効率的です」。
 作成する文書例としては、次のようなものがある。

文書構成(例)

 あわせて、BCPを実行し、目標復旧時間(RTO)までに事業が復旧できるようにするための耐震措置、システムのバックアップ体制づくりなどの対策を行っていく。活動は毎年評価を行い少しずつでもリスクを埋めていくことが重要だ。

継続の鍵は、現場の負荷をいかに減らすかにあり

 BCMは継続した活動が重要であると、再三にわたって説明しているが、では継続した活動をするためには何が必要なのだろうか。よく言われるのが、経営者のコミットと理解だが、そうではないと伊藤氏は言う。「もちろん、経営者のコミットや理解が不要だとは言いませんが、今やそれは常識であり、大抵の経営者の方はBCMの重要性を理解されています。むしろ問題は現場です。現場にしてみれば、今までとやり方が変わる場合もあり、それが極めて煩雑な手順になれば、意義はわかるがやりたくないという心理が働くのも無理からぬことです。むしろ、現場の負荷をいかに減らすかが継続できるかどうかの鍵を握っています」。
 たとえば、毎年改訂しなければならないBCPや行動手順書といった文書を、メンテナンスしやすい構造で作成するといった工夫で、現場の負担を減らすことが可能だ。富士通は、自社でBCMに取り組んできただけに、そういった細かい現場での活動についても多くのノウハウを持つ。
 実際に先行してBCP策定を進めたいくつかの本部では、既に対策を進め、実施運用フェーズを含めたPDCAサイクルを確実に廻して事業継続性能力を高めている。これらの活動を実際に支援できる環境を備えており、そこで活動を行ってきたエキスパートが、戦略策定、ITサービス、運用支援などさまざまな角度からBCMをサポートするサービスを提供している。また、現在運用アウトソーシングについても、提供を検討している。

富士通が顧客の事業継続マネジメント支援を行うための環境
3年以上の取り組みで培った人材とノウハウで高品質なサービスを提供

 「SafetyRing」は、富士通のこのような活動で培ったノウハウが集約されたものだ。事業継続に関して、コンサルティングサービスから、個別のサービスまでを利用しやすいようにメニュー化している。
また、3年以上の活動のなかで、富士通には多くのエキスパートが育っている。伊藤氏は「富士通総研のBCM事業部員は元々事業継続の専門家ではなく、営業や購買、生産管理など、現場のノウハウを持ったメンバーでした。彼らが3年以上にわたって活動する中で、知識やノウハウを蓄積し、米国の事業継続に関する資格「DRII」を取得しています。現在この資格を取得している日本人は57人しかいませんが、そのうちの8割に相当する45人が富士通・富士通総研のBCM関係者なんです」と胸を張る。
 これらのノウハウとエキスパートが提供するソリューションが「SafetyRing」の「事業継続ソリューション」であり、企業はこれらを利用することで、高品質な事業継続を、自分たちだけで実施するよりも、はるかに少ない労力で実現することが可能だ。

SafetyRing事業継続ソリューションメニュー
事業継続はどこから着手すべきか? 企業の悩みや課題を強力にサポート

 事業継続の取り組みが必要だとは思うが、どこから手をつけていいかわからないとか、取り組んでみたもののなかなかうまく進まないという場合は、「SafetyRing 事業継続ソリューション」のコンサルティングサービスを利用することで、自社の現状や課題が明確になる。
 なお、「SafetyRing 事業継続ソリューション」のコンサルティングサービスは、大きく「BCMコンサルティング」および「IT-BCMコンサルティング」に分けて提供している。経営を支える重要な要素でありながら多くの脆弱性をかかえ、今すぐにでも何らかの対策が必要と各企業の経営者が認識しているからだ。もし、これから着手する企業には、まずITから手をつけることを勧めている。

 なお、中堅中小企業など、コンサルティングは荷が重いという場合は、短期間で基本がわかるセミナー「BCM入門講座」「BCP策定講座」なども定期的に開催しているので、利用するといいだろう。

 最後に伊藤氏は、「事業継続を考える場合は、あたりまえですが、常に人命尊重という倫理面を忘れないようにしながら取り組んで欲しいと思います。その際、従業員だけでなく、その家族や近隣の人びとにも配慮する必要があります。社会の一員としての会社の存在意義を常に考えて行動することが、単なる災害対策だけではない本当の意味での事業継続につながると思います」と語った。

関連リンク:「Enterprise Innovation Support Center」の教育・研修サービス
関連リンク:「BCMコンサルティング」「IT-BCPコンサルティング」



実施運用フェーズのポイント
・BCMの10項目について、それぞれの進捗を確認しながら、できていないところをひとつずつ埋めていく。
・緊急時の行動手順書は各人がすべきことがすぐわかる一覧に。
・現場の負担を減らす運用が継続の鍵。
・社会の一員としての会社の存在意義を常に考えて行動することが大切。

 

セキュリティ、事業継続に関するアンケート実施中



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