 |
――本題に入る前に,まずは樋口氏ご自身の楽天での役割をお聞かせください。
楽天の組織やサービスがまだ小規模だった頃は,サーバー,アプリケーション,運用をまとめてやっていました。いわば「何でも屋」ですね(笑)。しかし,現在では登録ユーザーが3000万人,年間で1000万人近い人が楽天のサービスを利用するまでになっています。こうなると,システムには大手流通業と同じレベルの信頼性が求められ,安定性の確保が必須の要件になります。今はシステムを止めてはいけない,というとても大きな責任を感じながら,インフラの構築と運用の部分を担当しています。
――インフラを自社で企画,設計,構築,運用しているとお聞きしました。
運用の一部など外部に発注している部分もありますが,コアな部分は社内で対応しています。特に楽天のサービスの一番根っこの部分となるデータ・センターのインフラは,設計,レイアウトから一貫して自分たちの手で行っています。例えば,拡張性を確保するには,サーバーの位置と空調による空気の流れを読みながらラックの設計をするなどこだわってきました。その結果,サーバーを追加するスピードは外部のデータ・センターを利用するよりも早いですし,セキュリティ・レベルの改善も行いやすいといったメリットがあります。
Webシステムは簡単に作れ,運用も簡単そうに見えますが,実際はそんなことはまったくありません。多様な機器と様々なソフトウエアのバージョンがあり,アプリケーションの更新も激しいのが現状です。安定的にシステムを動かしていくには,相当に高度な運用ノウハウが必要です。楽天では,10年の歴史の中で担当者が経験を積みながら蓄積してきたノウハウがあり,それをフルに生かす形で,設計から運用までを行っています。こうした経験から,ビジネスのスピードと安定性の両方を向上させるためには,社内にインフラ部門を持っている方が良いと考え,規模が大きくなった今も実践し続けているのです。
|