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ITProSpecial 対談●ソフトウエア知的財産管理を考える(後編)正しい理解とユーザー企業の主体的な決断がOSS普及の鍵

オープンソースソフトウエア(OSS)の普及をさらに進める上で,大きなポイントになるのがOSSに対する正しい理解と,コミュニティへの積極的関与も含む利用にあたっての主体的決断だ。とりわけ,SIerにとっては,コミュニティ活動に参加することで,深い知識を得ることができると共に,仲間として認知される。前回の対談に引き続いて,OSS普及のポイントとライセンス管理と脆弱性情報の把握について,サイバー大学の前川 徹氏とオージス総研の山崎朝照氏が語り合った。

OSSに対する正しい理解が求められている

サイバー大学 IT総合学部 教授 前川 徹 氏

サイバー大学
IT総合学部 教授
前川 徹 氏

まえがわ・とおる
1978年通商産業省に入省,JETROニューヨークセンター時代(1994〜97年)に米国の情報産業とインターネットの商用利用に関するレポートをネット経由で発信。その後,情報処理振興事業協会(IPA),早稲田大学,富士通総研経済研究所を経て,2007年4月より現職。主な著書として『ネットバブルの向こう側』『ソフトウェア最前線』(共にアスペクト),『サイバージャーナリズム論』(東京電機大学出版局)などがある。

──オープンソースソフトウエア(OSS)の普及の妨げになっている要因について,お聞かせ下さい。

前川最大の問題はOSSに関する正しい情報や新しい情報が伝わっていないことです。情報発信という意味では,IPAオープンソースソフトウェア・センターの活動に期待しています。昨年11月には,OSSセンターが編集した『オープンソースで構築!ITシステム導入 虎の巻』が出版されましたし,「OSS iPedia」というOSS関連情報データベースには,1日平均2万件のアクセスがあると聞いています。

山崎「お金にもならないのに,どうして高価なパッケージ製品と対抗して出てくるのか。そんなものが世の中にあるのはおかしい」というプリミティブな疑問もあると思います。そこで,OSSがソフトウエアの形としては自然なものだということ,そして,OSやミドルウエアでは,OSSを使う方が効率的で,よいシステムができることをアピールしていくことが必要だと思います。

前川正しい理解が必要という点でいうと,GPLは恐ろしいライセンス体系だと専門家でさえ誤解している面があります。GPLは自分で改変し,使う分には公開の必要はありません。
その一番有名な例がGoogleです。GoogleのサイトのOSはLinuxを改造したものです。Linuxの研究者はそのソースコードを見たがっていますが,Googleはソースコードを公開していません。LinuxのライセンスはGPLですから,ルール違反のようにみえますが,これは正しいのです。GPLでは改変したコードを第三者に提供する場合にだけ,公開義務が生じるのです。


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OSSへの積極的な取り組みが企業に活力を生み出す

株式会社オージス総研 取締役 ソリューション開発本部 副本部長 山崎 朝照 氏

株式会社オージス総研
取締役
ソリューション開発本部 副本部長
山崎 朝照 氏

──OSSの普及のためには何が必要なのでしょうか。

前川昨年(2007年)末にIPAで行った経営者実態調査で,OSSをうまく使っているユーザー企業では,社内にOSSを理解している技術者がいて,自分たちのシステムに使えると判断して使っていました。ところが,社内に技術者がいないと,OSSの利用について決断することができず,SIerに責任を押しつけることになってしまいます。そうしたやり方では,OSSを効果的に活用することはできません。
そのためにも,システム構築は外部に委ねる場合でも,OSSを理解して経営レベルで判断を下せるような体制を社内に作ることが必要です。今度,情報処理技術者試験が改訂され,OSSが追加されますが,大学や企業等で,OSSに精通した技術者を養成していくことも重要です。

山崎SIerとしてのOSSへの関わり方では,コミュニティに積極的に参加する位の気概と姿勢でないと,うまくいきません。私たちもOSSのMuleを社内のシステムで使っているので,コミュニティに参加していますが,そこで活動して初めて,深い知識が得られると共に,本当の仲間として受け入れてもらうことができます。
ですから,利用したいOSSがあれば,社員にコミュニティ活動を企業として認めるべきです。それによって,社員のスキルも高まりますし,企業にも技術が蓄積します。

前川今,SIerの技術者は忙し過ぎます。そして,そのことが日本企業のSI能力の低下につながっているように思います。技術者には「遊び」が絶対に必要で,先端的な技術で遊ばないと,技術レベルが高まりません。経営者が決断して,余裕を持った態勢を作り,技術者に新しいことを学ばせることが必要です。そうすると,生産性が高まり,付加価値の高い仕事が可能になり,その結果,さらに余裕が生じるという好循環が生まれます。逆に,工程も人員もぎりぎりの中で仕事をさせていると,悪循環に陥り,技術レベルも落ち込み,企業としての活力もなくなります。

山崎コックピット経営の指標として,技術者の稼働率を重視しています。稼働率を100%にしてしまうと,その時は売り上げが伸びますが,新しい技術が取り入れられなくなります。目標,稼働率を適正に設定し,研修など業務以外に当てるようにしています。稼働率は体温と同じで,高すぎてもいけないし,低すぎてもいけない。そのバランスに神経をとがらせています。

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OSSを使うのであればライセンス管理を行うべき

前川 徹 氏 山崎 朝照 氏

前川ソフトウエアは自社で投資して開発したものだから,非公開だと多くの企業が考えていますが,差別化の源泉部分は別にして,アプリケーションでもGPLで公開すれば,誰かが手直しして,たくましくなって戻ってきます。加えて,ユーザーが増えて,コミュニティを作れば,潜在するバグをつぶしたり,情報共有もでき,完成度が高まっていきます。「どうぞ,GPLでお使い下さい」と経営トップから発想を変えて,積極的に公開していくことが重要です。

山崎その上で,重要になるのがOSSの知的財産管理や脆弱性情報の公開です。「Palamida IP Amplifier」は元々,米国で企業買収の際に,買収側が相手企業のソフトウエア資産を調べて,査定するために開発されたものです。日本でも,今後OSSの利用が進めば,企業は使っているOSSを明確に把握しておく必要があります。いうならば,食品の成分表示のようなものですが,それによって,OSSを安心して使うことができるようになります。また,OSSに限らず,どんなソフトウエアでも,脆弱性を含んでいる可能性があります。IP Amplifierは対象に含まれているOSSの脆弱性情報を提供するので,OSSを安全に使うことができます。

前川脆弱性情報は公開されているので,きちんとウオッチさえしていれば,大きな問題にはなりません。また,Linuxのカーネルでも,関係ある部分だけにパッチを当てればよいのですが,理解が不十分だと,全て当てなくてならないと大騒ぎすることになってしまいます。
そうした点も含めて,OSSの特徴をよく理解して,効果的に利用していくことが大切です。

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ソフトウェア知的財産のリスク管理を支援 Palamida IP Amplifier

 Palamida IP Amplifierは,ソースコードをスキャンし,コンプライアンスライブラリに含まれるデータと解析対象のソースコードを比較し,含まれている可能性のあるOSSの製品名とライセンスを検出するツールだ。その特長は,(1)16万を超えるOSSプロジェクトから情報収集された豊富なコンプライアンスライブラリ,(2)ライセンスの検出から詳細なコードベースまでの検出の深さの制御などの強力な検出エンジン・機能,(3)ライセンスに加え,既知の脆弱性を含むOSSを検出する脆弱性検知機能の搭載,(4)シリコンバレーの企業や大手金融機関など米国を中心とした最先端・豊富な導入事例,である。IP Amplifierを利用することで,企業はOSSの利用状況の素早い正確な検知と検出結果の容易な把握,そしてOSS利用に関わるリスクの低減が可能になる。

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関連リンク

ソフトウェア知的財産(IP)管理ソリューション IP Amplifier 製品紹介

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株式会社 オージス総研

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