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オープンソースソフトウエア(OSS)の利用が着実に進んでいる。インターネット関連から始まったOSSの利用は企業システムへと拡大し,OS,ミドルウエアを中心に活用する企業が増加している。そうした中で,大きな課題となるのがOSSのライセンス管理だ。OSSの活用状況と今後の利用と普及の見通し,そこでのライセンス管理の重要性などについて,サイバー大学の前川 徹氏とオージス総研の山崎朝照氏が対談した。 OSとミドルウエアを中心に企業システムでも利用が拡大
──まず,前川氏が教授を務められているサイバー大学について,簡単にご紹介いただけますか。 前川■サイバー大学は,福岡市の構造改革特区を活用して設立された株式会社立の四年制大学です。すべての授業をインターネットを通じて行う日本初の大学として2007年4月に開学しました。現在,IT総合学部と世界遺産学部の2学部があります。講義はオンデマンドなのでいつでも好きな時に勉強できます。 ──本日はお忙しいところありがとうございます。早速,主題であるオープンソースソフトウエア(OSS)の話に入りますが,まず,OSSの国内での活用状況についてお話しいただけますか。 前川■OSSが最も利用されているのはインターネット関連分野ですが,最近では企業システムでの利用が拡大しています。ソフトウエアにはOS,ミドルウエア,アプリケーションの3階層がありますが,OS分野ではじわじわ浸透し,ミドルウエアもDBMS分野で日本ではPostgreSQL,世界的には,MySQLが広く使われています。一方,アプリケーションはいくつかの例がありますが,まだ大きく普及するまでには至っていません。 山崎■Linuxはミッションクリティカルなシステムで使われ始めていて,米国では商用OSと肩を並べる段階まで来ています。ミドルウエアのデータベースや通信ソフトウエアでは,商用製品を買ったら,その中にOSSが入っていたというケースが増えています。 前川■2007年末に,IPA(情報処理推進機構)が実施した経営者実態調査で,18社ほどの経営者の方々にお会いしました。その際,Java系の開発をしている企業では日本発OSSのJavaアプリケーション開発フレームワーク「Seasar2」で,生産性が上がったという話を聞きました。 OSSの普及は自然な流れ適材適所で組み合わせて使う
山崎■Web系からデータベースへとOSSの利用が広がる中で,米国ではほとんどOSSだけでシステムを組み上げるSI会社が出てきているようです。日本はまだ,そこまで行っていませんが,近い将来SIにおいてできるだけOSSを使おうということが主流になると思います。 前川■日本では,実績や同業他社の動向を見ながら,新しい技術を採用していく傾向があります。ですから,OSSの利用が増加する中で,普及が加速するポイントが来ることは確実です。 ──OSSの利用と普及が進むと,どうなるのでしょうか。 前川■ユーザー企業とSIer,パッケージベンダーそれぞれに影響が出ますが,最も深刻なのはパッケージベンダーです。競合するOSSの普及が進めば,市場が奪われ,ビジネスに大きな影響が出てきます。一方,ユーザー企業は従来,無料だから使うという意識が強かったのですが,最近では「いいものだから使う。適材適所でOSSを使う」という形に考え方が変わってきています。 山崎■品質がよいので,OSSを採用するユーザー企業が増えています。また,ソースコードが公開されているのでグローバルな標準化が進みやすいという面もあります。例えば,仮想化のOSSも出てきており,システムのあらゆるレベルをOSSで構築可能となります。そこで標準化が進むと,組み合わせやすくなり,SIerにとっては,既存のOSSを組み合わせるコンサルティング力や知識,能力が重要になってきます。 前川■ソフトウエアが情報財であることからすれば,OSSの普及は自然な流れです。ソフトウエアはコピーを他人に分けても減るわけでもなく,利用できなくなるわけでもない,公共財と同じように非競合性を持っています。パッケージソフトは著作権やソフトウエア特許などの知的財産権を守る仕組みの中で,ライセンス収入を得ているに過ぎません。OSSのように,皆で共有し,少しずつ良くしていけば,より優れたソフトが皆の手に入ることになります。例えば,GNU General Public License(GPL)というライセンスがありますが,これを適用したOSSは非排除性を持ち,公共財の定義にぴったり当てはまります。 OSSのビジネスモデルと重要性を増すライセンス管理
山崎■自分のアイデアをソフトウエアに結実させ,ビジネスとして展開しようという場合,今までであれば,製品としての完成度を高めたり,マーケティング活動に,何十億円という資金を集めることが必要でした。しかし,OSSであれば,コミュニティを立ち上げて,そこで取り上げてもらえれば,驚くほど少ない出資金額で,ビジネスとして成功させることができる可能性があります。ですから,OSSの方が自分たちの夢を早く実現できると,シリコンバレーではOSSでスタートさせるベンチャーが増えています。 前川■Linuxのように全てコミュニティで作り上げられるOSSもあれば,MySQLのように,企業がバックにあって,商用版とOSSの両方を出しているものもあります。OSSはよいものであれば,マーケティングコストなしで普及していきます。 山崎■そこで重要になるのがOSSのライセンス管理です。米国ではGPLに絡んだ訴訟もありますし,日本でもコンプライアンス問題との関連で関心が高まっています。今後,増加するOSS利用に対応していくためにも,自分たちが使っているソフトウエアにはどういうものがあるかをきちんと把握する必要があります。 |
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