保守会社である以上,修理で顧客の不満を解消するのは当然のこと。満足度を高めていくために求められるのは,それを上回るプラスアルファの価値だ。
保守サービスが専業のNECフィールディングにとって最大の売りは,この「お客様にとっての価値」を提供するビジネス活動そのものにあるという。
「弊社ではお客様の声を絶えず収集・分析し,CSの改善と向上に努めており,“CSは事業の基本”と捉えています」と,同社渋谷支店第一課主任の金城悟氏は強調する。
そのもととなるのが,全国400ヵ所に配置された約5000人のカスタマエンジニア(CE)による,年間440万回もの顧客対応で得られた豊富な情報資産である。
「CEはオンサイトでの保守業務などを通じてお客様と1対1で接する機会に恵まれており,悩みや要望にじかに触れることができます」(金城氏)
現場活動で得られたこのような情報はデータベース化され,関係するCEが必要に応じて参照できる。この仕組みにより,顧客への提案や担当CEの引き継ぎも円滑に行われるわけだ。
今回の顧客満足度調査で,NECフィールディングはシステム運用関連サービスにおけるランキング中,「トラブル発生時の初期対応」,「問い合わせへの対応」で高得点を挙げた。
実際に同社では,顧客からの問い合わせに対応する体制作りに長年にわたり力を入れてきた。
「お客様から連絡をいただいたときに配慮している点は,お客様が最も心配されていることを真っ先に確認すること。障害発生の連絡を受けた際にはまず,お客様の業務にどれくらい影響があるのかをうかがいます。数分間の停止が大きな損失につながる場合もありますので」と口元を引き締めるのは,西日本システムサービス事業部システム運用部トータルサポートセンターの柴本学氏だ。また,前述の金城氏は,今年8月に首都圏を見舞った大停電時には,顧客にシステムの稼働状況などを確認する連絡を先手を打って入れた。
さらに,現場で解決できない問題は,バックヤードであるカスタマサポート部門,技術サポート部門,ロジスティックス部門,リペア部門などに速やかにエスカレーションされ,現場と連携して問題の解決にあたる体制が構築されている。
対応後は,保守活動を担当したCEが,顧客の期待に沿えたかどうかを確かめるため,いくつかの評価項目に対する満足度を4段階で示すDSC(Do-See-Check)チェックシートを顧客に記入してもらう。このシートは,担当CEの上司にFAXで送られ,CEの指導に役立てるという。同社で展開しているこのDSC活動の効果について,さいたま中央支店浦和営業所の坂田浩基氏は次のように説明する。
「お客様によって,何をもって『満足』とするかは異なります。安定稼働を重視されることもあれば,提案内容に注視したり,修理の終了時刻の通知が最優先であったりするなど様々です。DSCチェックシートを活用することでCE自身が仕事を振り返り,見落としなどに気づくことで行動を見直しています」
CS向上活動
CEをはじめとする人材の育成は,同社の経営の根幹をなす活動だ。その一環として8年前から行われているのが,「ベストフィールディングコンテスト」である。これは,年2回,NECフィールディングおよびパートナー企業の社員が,様々なテーマで技術力や顧客への対応力を競うものである。出場者は,技術レベルの社内検定における最高クラス取得者から予選で選出される(約200名,筆記試験)。審査は2日間にわたる課題(提案書作成,ロールプレイ)で実施され,テーマは顧客ニーズや技術動向を踏まえて毎回変更される。今年開催された第16回コンテストで優勝したのが,前出の金城,柴本,坂田氏である。実戦に即した人材育成活動が,提案力や交渉力などのスキルの底上げに効果をもたらしている。
NECフィールディングのCS活動は,社長が議長を務めるCS向上会議をステアリング・コミッティ(方向付け)とするトップダウンによる全社活動と,支社・支店によるボトムアップ活動を両輪に推し進められている。
そして,現在のCS活動における主要テーマの1つが,CSMP(CustomerService Level Management
Program)である。このプログラムは,サービス品質目標を顧客と設定し,その進捗状況報告と顧客の要望確認を定期的に行うという双方向のコミュニケーション活動である。このプログラムについて金城氏は,「お客様との間で交わした約束事をきちんと果たす姿勢をこれまで以上に明確に打ち出しています」と述べる。
このようにNECフィールディングは,「お客様にとっての価値」の提供を,顧客との多角的なコミュニケーションを重視しながら推進している。こうした真摯な姿勢こそが,高い顧客満足度をもたらした要因であろう。