|
全国に78の拠点を構えるサンルートホテルチェーンでは、2002年4月に稼動を開始したWebの客室予約販売システムで前年比427%もの業績を記録した。その新業務システム「サンネット21」の中央サーバーに採用されたのが、IBM eServer iSeriesである。ここでは、株式会社サンルートのマイグレーションへの取り組みを紹介する。

 |
前年比427%の客室予約販売を達成
|
 |
 |

株式会社 サンルート
運営部
IT担当部長
上原正嗣 氏
|
ビジネスマンならば、突然の出張命令に慌てて電話帳をめくり、宿泊先を探した経験をお持ちだろう。しかし、それは遠い過去の話。現在では、インターネットのホームページにアクセスさえすれば、自分の条件に合った宿を簡単に予約することができる。このようなインターネットの利便性は、サービスを売る側にも買う側にもメリットをもたらすことが多く、時は金なりのことわざ通り人々は便利なサービスへと集中する。
全国78箇所に拠点を構えるサンルートホテルチェーンでは、2002年4月からスタートしたインターネットの予約販売で、前年比427%という驚異的な数字を叩き出した。その後も、2003年4月からの半年だけで前年売り上げの約76%に相当する13億円を記録するなど、予想を超える好調な滑り出しを見せている。
このWebによる客室予約販売を運営するシステムを、同社では「サンネット21」と呼んでいる。その初代システムは「サンネット1」と呼ばれる予約管理をメインにしたもので、次の「サンネット2」では予約に加えてサンルートクラブポイントの会員を管理するシステムだった。そして3代目の「サンネット21」では、インターネットのWeb予約販売というe-ビジネスの展開を取り入れたシステムへと生まれ変わっている。
「実は、『サンネット21』にはもう1つの特徴があります。それは、中央の予約管理サーバーからチェーンの各ホテルのコンピュータへアクセスして、リアル・タイムに予約管理を行えることです」と語るのは、運営部 IT担当部長の上原正嗣氏。インターネットによるホテルの予約管理システムは数多くあるが、リアル・タイムにホテルの予約状況を管理できるシステムは、この「サンネット21」が初めてという。そして、この「サンネット21」の中央の予約管理サーバーとして選ばれたのが、IBM eServer iSeriesである。
ところが、上原氏によると「正直なところで言えば、当初はiSeriesの採用を考えていませんでした」という。そこでその経緯について、じっくりと伺うことにした。


 |
オフコンの概念を一掃させたiSeriesのパワー
|
 |
サンルートが「サンネット2」から「サンネット21」へマイグレーションを行った背景の1つは、1997年に導入した「サンネット2」が既に4、5年を経過していたこと。さらに、「サンネット2」の運用を開始して1、2年が経過した頃より、インターネットの波が押し寄せてきたこと。それにより、Webによる客室予約販売の業務を立ち上げたものの、その後の急激な伸びにシステムの限界を感じ始めていたこと。そして、3つ目としてサンルートクラブポイント会員の増加により、システムのディスク容量が圧迫され始めたことが挙げられる。
こうした状況の中、上原氏が思い描いたシステム構成とは、オフコンからUNIXサーバーへのマイグレーションだった。ところが、システム構築を担当したJTB情報システムからiSeriesを提案されたときは、「正直なところ、iSeriesにはオフコンのイメージがありましたから『えっ?』という感じでした。JTB情報システムさんが、豊富なiSeriesの実績を持たれていることは知っていましたが、当時の流れはやはりUNIXやPCサーバーでしたから」と、上原氏。
ところが、上原氏のこうした考えもiSeriesのデモによって一掃されてしまう。
「iSeriesのデモを終えての印象は、スピードも容量もすべてがオフコンを使っているというイメージを全く受けませんでした。また、システムの開発上、最も気掛かりだったWebサーバーとのインタフェース部も、命令1つでUNIXサーバーとのデータのやり取りが行えるということが分かり納得できました。あとは、むしろオフコンの堅牢性と信頼性の高さがありますので、何も心配するところがありませんでした」と、上原氏。

 |
「サンネット21」でフロント業務も刷新
|
 |
iSeriesの導入により、「サンネット2」から「サンネット21」へと、その機能には大きな変化がもたらされた。現在のWeb予約の仕組みは、宿泊客がサンルートの予約サイトにアクセスして予約を行うと、瞬時に予約先のホテルシステム・サーバーに入って結果が記録されるようになっている。
「『サンネット2』の頃は、成約も月に数千件という程度でした。しかも、当時の機能といえばホテルシステムとは別操作ですから、『サンネット21』とはとても比べようがありません。『サンネット21』によってフロント業務を大幅に改善できたことが大きいですね」(上原氏)。
現在、インターネット上では様々な客室予約販売のサービスが提供されている。しかし、その仕組みはサンルートのように直接ホテル側のシステムにつながってはおらず、フロントからFAX、あるいはパソコンからインターネットへ接続して確認を行う必要がある。
これに対して、「サンネット21」ではリアル・タイムに予約情報がホテル側のシステムに飛び込んでくる。そのため、予約直後に宿泊客が現われたとしても、チェックイン・ボタンを押すだけで対応できてしまう。また、会員のポイント管理についても、「サンネット2」では宿泊客から会員カードを受け取って別の端末から入力していたが、今ではすべて自動化された。
そのほか、フロント側で残室や料金の変更を行った場合でも瞬時に結果が反映されるため、フランチャイズ店のデータ集計も便利に行えるようになった。


 |
高信頼のiSeriesだから業務に集中
|
 |
当時を振り返り、上原氏は「今から思えば、これが正解でした。特に、セキュリティですね。iSeriesには、会員情報や予約データなどのチェーン店のすべてのデータが保存されるわけで、万一のことを考えればセキュリティ対策にも必要以上の予算を費やすことになったでしょう。しかし、iSeriesならばハッキングの恐れも皆無と聞いていますので、そういう意味でもiSeriesを選んでおいて良かったと思います」と語る。
今年の10月から、サンルートでは「ブランドクリエーション」のスローガンの下、チェーン全体でのブランド強化に取り組んでいる。その一環として、同社のホームページでも情報開示への新たな取り組みを展開中だ。例えば、宿泊客からアンケートで評価をもらい、その結果をホームページ上で公開する。また、宿泊客の好みで部屋の選択ができるように、部屋の広さやベッドサイズ、ユニットバスのサイズといった情報をすべて表示させるようにしている。
「『サンネット21』を導入してから、この2年の間に中規模の改修は何度も行っています。インターネットの急速な伸びが影響しているわけですが、それでもシステム運用に支障をきたしたことは一度もありません」(上原氏)。
Web予約を開始した当初は、初めてということもあって扱う部屋数も種類も、ごくシンプルなものに限定していたという。それが今では、利用客のニーズに応えるべく日を追ってWeb予約の機能も情報量もリニューアルされるようになった。iSeriesを選択した同社にとって、一番の心配のタネはシステムの運用にではなく、増え続ける顧客ニーズとの闘いにあるように思えた。

|