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NASの明日はどっちだ!iSCSI搭載で見えてきたIP-SANのカタチ

富士通は,「Windows Storage Server 2003 R2」搭載のNASソリューション「PRIMERGY Storage Server」のリニューアルを実施,その特長は,新たにiSCSIに対応させたことだ。これにより,これまで高価とされてきたファイバー・チャネルによるSANの構築が,iSCSIによるIP-SANで安価に構築可能になる。パーソナルビジネス本部 PCサーバ事業部 プロジェクト部長の武居正善氏が,iSCSIで広がるIP-SANの可能性について語る。


キーワードは標準技術

 規模の大小を問わず,企業が最も頭を悩ましている課題に,急増する社内情報への対応策が挙げられる。増加し続ける情報量に対して,システム管理部門には様々な要求があがってくる。これらの要求に柔軟に対応すべく,対策や試みが講じられているのが現状だ。

 こうした中,富士通は2006年11月に同社のPCサーバー「PRIMERGY(プライマジー)」とマイクロソフトの「Windows Storage Server 2003 R2」で実現するNAS(Network Attached Storage)ソリューション「PRIMERGY Storage Server」の販売を開始した。タワー型の「TX200 S3」とラックマウント型の「RX300 S3」の2種類の製品は,いずれもファイル・サーバー用にパフォーマンス・チューニングされ,設定から運用開始までを容易に行えるのが特徴だ。分散する業務ファイルの一括管理や乱立するファイル・サーバーの統合など,多くの企業が抱えるこれらの課題にアプライアンスのような手軽さで課題解決を可能にする。

富士通パーソナルビジネス本部PCサーバ事業部プロジェクト部長 武居 正善氏 画像

 富士通は,それ以前よりオープンソースベースのNASアプライアンス製品を販売してきたが「PRIMERGY Storage Serverの販売では,世界標準となるWindows搭載の製品であることを全面に押し出した」と,パーソナルビジネス本部 PCサーバ事業部 プロジェクト部長の武居 正善氏は説明する。その背景には,アプライアンスのブラックボックス構造に不安を抱く,多くのユーザーの声があったという。

 「オープンサーバー市場,とりわけオフィスのクライアント・サーバーシステム環境でいえば,Windowsとの親和性を抜きにした製品展開は考えられないと思います。それほどに,現在のユーザーは安心できる標準技術について,強く望んでいるからです」と,武居氏は説明する。


新製品でiSCSI市場へ本格参入

「iSCSI Software Target パック」対応製品

 NASソリューションの「PRIMERGY Storage Server」は,既存のIPネットワークに接続するだけで,設定も簡単にファイル・サーバーとして機能する。しかし,多様化するネットワーク環境では,NASだけですべてのストレージ課題が解消できるわけではない。規模の大きなネットワークともなれば,NASのほかSAN(Storage Area Network)も導入されて,それらを統合する新たな課題も持ち上がってくる。

 ファイバー・チャネルを利用するSANは,高価ではあるが信頼性や性能の高さには代え難いものがある。一方で,運用管理の面ではIPネットワークと異なるゆえに,管理者にとっては悩みのタネにもなる。もしも,IPネットワークでSANが構築できたなら。

 「iSCSIに対するユーザーの期待の大きさは,以前からユーザーの皆さんから数多くの要望が挙がっていることを理解していました」(武居氏)。

 iSCSI(Internet SCSI)とは,IPパケットにSCSIコマンドをカプセル化して送受信を可能にする技術をいう。この技術を使えば,ファイバー・チャネルで構築していたSANを,IPネットワークで安価に実現できるようになる。いわゆる,IP-SANの構築だ。しかも,念願のIPネットワークでのストレージ統合も可能になる。

 そしてこの5月,富士通はiSCSIターゲット対応のための「PRIMERGY Storage Server」のリニューアルを行い,iSCSI市場の本格参入へと動き出した。なお,iSCSIターゲットのターゲットとはストレージ側に必要なドライバのこと。一方のサーバー側には,イニシエータと呼ばれるドライバが必要になる。

 このタイミングでの参入について,武居氏は2つの理由を挙げた。1つは,iSCSIの市場の動向についてだ。「ストレージ市場の3割をNASが占める中で,現在iSCSIはそのNASの20分の1程度しかありません。しかし,これを対前年比で見ると,ストレージ市場全体の伸びが20%程度であるのに対して,iSCSIは40%近い伸びを示しています」(武居氏)。

 そしてもう1つの理由は,「Windows Storage Server 2003 R2というストレージ技術を,NASソリューションとして提供するか,あるいはiSCSIとして提供していくかは,ベンダーの判断に委ねられています。多くのユーザーの方々の声に,まずは応えること。それには,市場が技術主導で動き始めていることもありますが,まずはそうしたニーズに応えることが先決と判断したためです」(武居氏)。実は,これが一番の理由だと武居氏は強調する。

iSCSI Software Targetパック-利用方法(拡大可)

iSCSI Software Targetパック-利用方法

iSCSIでSANの裾野を拡大させる

 武居氏は,今年度の中堅市場向けの強化製品に「PRIMERGY Storage Server」が挙がっていることを明らかにし,さらに年商300億円以下の企業で起こっているストレージ課題の一例を紹介した。それによると,平均で5〜10台のサーバーを運用する企業の最大の関心事は,サーバー統合にあるという。例えば,ブレード・サーバーなどでサーバーの集約を図る一方で,重要なデータはサーバー上に置かずに,ファイバー・チャネルでSANストレージに置いて共有するというものだ。

 「こうした場合の選択肢として,これまではファイバー・チャネルしか考えられませんでした。しかし,構築に費用が掛かるうえに運用管理も複雑になります。それがIPネットワークで統合できれば,簡単にストレージからブートできるようになります。そのためのキーワードとなる技術が,iSCSIなのです」(武居氏)。

 ちなみに,マイクロソフトでは「Windows Storage Server 2003 R2」のほか,「Windows Vista」でもiSCSIイニシエータを標準で用意しており,今後は標準インターフェースとしてiSCSIが普及する可能性は高い。

 最後に,武居氏は「PRIMERGY Storage Server」の最大のアドバンテージとして,業務の継続性を可能にする,信頼性,品質,拡張性の高さを強調した。

 「標準のWindows Storage Server 2003 R2と組合わせるハードウエアは,業務継続性を徹底的に追求した弊社のPCサーバPRIMERGYです。ハードディスク,電源など業務継続のためすべて冗長化を標準とし,また,工場出荷の段階において,出荷水準に達しているかどうかを監査部門が入念に検査を行っています。こうした品質体制についても,弊社独自の体制で臨んでいます」(武居氏)。

 このほかにも,サーバー監視ソフト「ServerView」では,CPUやメモリ,HDD,ファンなどの稼働状況,筐体内の温度や電圧といったサーバー・ステータスを把握して,サーバーの安定稼働を支援する。ハードウエアのロギング情報を画面に表示させたり,異常を検知した際に行う通報手段を数種類備えるなど,ソフト面でもハード同様に業務の継続性を重視した機能を数多く搭載している。

 「iSCSIは,まさにSANの裾野を広げていくにふさわしい技術だと思っています」と,武居氏。

 高価で断念せざるを得なかったSAN構築が,iSCSIの実用化により加速しようとしている。その実現に向けて,富士通は「PRIMERGY Storage Server」を通して多くのユーザーの期待に応えようとしている。

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