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Web=ブラウザ」という時代の終焉/ターニング・ポイントを迎えたWeb開発環境の新たな解とは

Vol 03  Expression Blendで開発環境にどんなメリットが?

■Silverlightのフロント・エンドを担う「Expression Blend」

 前回,Silverlightのサンプル・アプリケーション制作ということで,Expression Media Encoderを使用したムービー・コンテンツの制作課程を確認したが,ムービー・コンテンツはSilverlightの特徴の一部であり,サンプルサイト(1.0サンプル1.1サンプル)にあるようなコンテンツを制作するためには,そのほかにデザイン的な部分とシステム的な部分の制作が必要となる。

 Silverlightのデザイン的要素を中心とした制作ツールの1つが,Expression Blendである。Expression Blendは主にWPF(Windows Presentation Foundation)アプリケーションの表示を担うXAMLの制作に使用されるが,WPF同様にXAMLを使用しているSilverlightの開発もExpression Blendが使用できるというわけだ。今回はそんなExpression Blendの紹介をしていくこととしよう。

●Expression Blendのバージョン

■図1 Expression Blend 2の「Create New Project」画面

■図1 Expression Blend 2の「Create New Project」画面

 Expression Blendは,米国では既にリリースされ日本語版もまもなく発売予定のExpression Blend(1と呼べるもの)と,パブリック・プレビューの形式で公開されているExpression Blend 2が存在する。このうちSilverlight に対応しているのはExpression Blend 2だ。Expression Blend 2の「Create New Project」画面では「project type」としてWPFの隣にSilverlightが並んでいる。「project type」が1.0や1.1という分類ではなく,JavaScriptと.NETというテクノロジーで分類されているのが興味深い。言語は現状,Visual C#とVisual Basicが選択可能だ。

●魅力は,ほかの開発環境との連携

 Silverlightの開発環境としてはExpression Blend 2のほかに,主にシステム的な部分を開発するVisual Studioがある。JavaScriptベースのSilverlightを開発する場合にはVisual Studio 2005でもよいのだが,開発中の「Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1」に,「Silverlight Tools Alpha for Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1」をインストールして開発を行うのが,現状でのスタンダードだろう。

 Silverlight ToolsをインストールしたVisual Studioでは,新規作成が可能なprojectのテンプレートとしてSilverlightが含まれている。この画面右上にある「.NET Framework 3.5」の部分を「.NET Framework 2.0」や「3.0」に変えてみるとTemplate欄は空白となり,Silverlightが.NET Framework 3.0より後のベース・テクノロジー上で動くものであることがわかる。

 「Visual Studio Code Name “Orcas”」とExpression Blend 2は,プロジェクト・ファイルの共有というレベルで連携している。Expression Blend 2でデザインやインタラクションなどをつけたソースをそのままVisual Studioへ展開することが可能なのだ。もちろん,それぞれの開発環境でしか行うことができない作業が存在するのだが,デザイナーとディベロッパーがそれぞれに適したアプリケーションを使いながらも同じソースで作業できるということは,当たり前のようでありながら,これまでほかのリッチコンテンツ開発では考えられなかったことであり,開発者全体にとって非常に大きなメリットである。ここで,簡単にではあるが「Visual Studio Code Name “Orcas”」の環境準備について触れることとしよう。

1.Expression Blend 2 Free Trialページから,「Visual Studio Code Name “Orcas”」もダウンロードが可能だ

▼Microsoft Expression Blend 2 Free Trial
http://www.microsoft.com/expression/products/download.aspx?key=blend2maypreview

■図2 Expression Blend 2のサイト

■図2 Expression Blend 2のサイト

2.ディベロッパー向けの Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1を使用してみる場合,Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1の本体ファイルをインストールした後で,Silverlight Tools Alpha for Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1のインストールを行うことが必要だ。この作業を行うことで,Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1の「New Project」画面にSilverlightの項目が表示される。

■図3 Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1の「New project」画面

■図3 Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1の「New Project」画面

3.Visual Studio Code Name “Orcas” Beta 1の「View」メニュー内には,「Open in Expression Blend」という項目がある。Projectを開いた状態でこの項目を選択すると,Expression Blend 2が起動する。

■図4  Visual Studio Conversion Wizard

■図4  Visual Studio Conversion Wizard

■Expression Blend 2のファーストステップを体験しよう

●Expression Blend 2のインストール

 Expression Blend 2は先程紹介したマイクロソフト(米国)のサイトからダウンロードが可能。近いうちに日本サイトからもダウンロード可能になるかもしれないが,執筆現在は米国サイトからのダウンロードのみである。

▼Microsoft Expression Blend 2 Free Trial

サイトの指示に従い,制作物確認のためのSilverlight,Expression Blend 2の順にダウンロードし,インストールを行う

●Expression Blend 2の画面構成

 Expression Blend 2の画面構成は図5のようなものである。テイスト的には前回確認したExpression Media Encoderと似ている。中心にデザイン/XAMLの表示が可能なビュー,その左右にプロパティ関係やインタラクションを与えるためのインフォメーションが並ぶパネル,一番左側に選択や描画に関するボタンが存在する。左側の「>>」ボタンをクリックすると,図7のようなアセットライブラリが表示される。

■図5 Expression Blend 2

■図5 Expression Blend 2

■図6 画面中央右側の「XAML」タブに切り替えるとソースを表示

■図6 画面中央右側の「XAML」タブに切り替えるとソースを表示

■図7 アセットライブラリ

■図7 アセットライブラリ

■図8 Silverlightのプロジェクトで表示されるアセットライブラリ

■図8 Silverlightのプロジェクトで表示されるアセットライブラリ

 図5から図7までの画面では,WPFアプリケーション開発のソースを開いてきた。さて,「File」-「New Project」でSilverlight Applicationのプロジェクトを新たに作成した状態が図8である。新規作成直後にアセットライブラリを開くと,図7と比較して,Silverlight向けにコントロールの数が制限されていることが確認できる。これらのコントロールを配置し設定することで作成を進めることとなる。

■開発という視点から見たExpression BlendとSilverlightのメリット

●なぜSilverlightに注目するべきなのか

 これまで3回にわたり,マイクロソフトが考えるRIA(Rich Interactive Application),Silverlightの可能性について確認してきた。SilverlightがほかのRIA(Rich Internet Application)と異なるのは決してネーミングや技術的に可能な表現力といったレベルの話ではない。前回確認したムービー・コンテンツ環境であるExpression Media Encoder,今回確認したデザイナー向けの新しい開発環境であるExpression Blend,簡単に触れたSilverlight対応版のVisual Studioなど,これまで特に開発環境レベルでのつながりの薄かった「デザイナー」と「ディベロッパー」が連携しやすい環境を用意し,さらにムービー・コンテンツについては「クライアント」レベルでも使用できるソリューションを用意してきたことにある。

 リッチコンテンツの開発がデザイナー向けのソリューションだけで達成できるわけでないことは,これまでRIA開発を行ったことのある方であれば誰でも理解できるはずだ。これまでデザイナーとディベロッパーの両者にアプローチしたソリューションは存在せず,二者間にある溝はなかなか埋まってこなかった。今回紹介したExpression BlendとVisual Studioはその溝を解消するものとまで言い切れるかどうかは今後の動向を注目したいが,その努力をしていることは確かだ。リッチコンテンツの動向はこれからますますおもしろくなっていくに違いない。

筆者:新谷 剛史  株式会社セカンドファクトリー

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