山口県宇部市の宇部興産中央病院は、夜間や休日でもシステムを利用した医療サービスが提供できるようにするため、24時間365日対応のサーバ/ネットワーク機器運用管理およびヘルプデスク業務の実現に取り組んだ。当初は人材面から難しかったが、富士通のアウトソーシング・サービス「サーバ-LCMサービス」を導入することで解決。システムの可用性向上や運用管理業務効率化などを通じて、地域医療サービスの向上を達成している。
宇部興産中央病院は山口県宇部地区の中核病院として、地域住民へのよりよい医療サービス提供に取り組んでいる。宇部興産中央病院 事務部長 中園氏は、「最近では、ドクターの人材を充実させたり、地域健診センターの整備を進めたりするなど、地域医療向上のために日々努めています」と語る。
同院の医療サービスの土台を担うのが、オーダリングシステムと医事システムを中核とした情報システムだ。オーダリングシステムは診療の現場で、担当医や看護師が指示・依頼した要件を関連部門に素早く確実に伝達。医事システムは受付や会計などの業務を支援する。
両システムは会計、薬剤やリハビリなど各部門のシステムと連携しつつ、同院の基幹システムとして地域医療を支えている。病院の業務効率化・経営最適化の面でも欠かせない仕組みだ。
同院では長年、オーダリングシステムと医事システムを1台のホストコンピュータで稼働させてきた。2006年8月、老朽化などを理由に、C/S型*への移行を決め、同時に、両システムをパッケージタイプへ刷新することとなった。
それに伴い、ホストコンピュータ時代は平日の日中のみであったシステムの稼働時間を、“24時間365日”に広げることを決断。これにより「夜間や休日でもシステムを利用し、院内のどこからでも診療オーダーを出すことが出来ます。診療科の垣根を越えた診療情報の共有が可能となり、地域の患者様へより手厚い医療サービス提供が可能となります」と中園氏は強調する。
システム安定稼働のためには、運用管理が重要となる。24時間365日をカバーするだけでなく、C/S型移行によって14台に増えたサーバ、さらには院内ネットワークも同時に刷新したため約60台に増えたネットワーク機器も加わり、従来の体制での運用管理は困難であった。
また、ヘルプデスク業務も課題となった。エンドユーザーである、延べ500人以上にのぼる医師、職員から寄せられる操作方法の問い合わせなどにも、24時間体制で対応する必要があるからだ。
「当院の人的リソースだけでは、そうした状況下でのサーバ/ネットワーク機器の運用管理とヘルプデスク業務はとても無理でしたので、アウトソーシング・サービスを検討することにしました」と振り返るのは、同院の情報システムの構築・運用管理を担当する宇部興産 経営管理室 情報システム部の浅田氏だ。
*C/S型:クライアント・サーバ型業務システム。ユーザーのパソコンとデータを管理するサーバをネットワークで結びデータ処理を分散させたシステム。
【宇部興産中央病院の課題】
■サーバ/ネットワーク機器の増加による運用管理業務の負荷増大
■24時間365日での運用管理、ヘルプデスク業務の実現の必要性
■これまでの体制では人的リソースの不足が明らか
宇部興産中央病院では、サーバ/ネットワーク刷新と運用管理体制構築を含めたトータルソリューションの提案をITベンダー各社から募った。検討の際は「運用管理における問題点をいかに解決するか」が大きなウェイトを占めた。複数社を比較検討した結果、富士通の提案を採用。その提案で解決策として同社が提示したのが運用アウトソーシング・サービス「サーバ-LCMサービス」だ。浅田氏は採用の決め手として、富士通のサービス体制の充実を挙げる。
「病院のシステム担当者が不在となる夜間の対応が可能なことはもちろんですが、さらに提案していただいた各社の中で、医療系運用サービスの拠点が県内にあるのは、富士通だけでした。何か問題があった際は早く駆けつけてもらえるので、非常に心強いです」(浅田氏)
他にも、監視の拠点となる富士通の「LCMサービスセンター」も同じ中国地方の広島にあるなど、地域に密着したサービス体制を評価した。
C/S型へのシステム刷新には2006年10月から取りかかった。オーダリングシステム、医事システム共に富士通の中堅病院向けパッケージを採用した。
合わせて、サーバ-LCMサービスによる運用管理体制の構築も進めた。サーバとネットワーク機器に対しては、LCMサービスセンターから24時間365日でリモートでの死活監視とハード障害予兆監視を行う。かつ、障害の状況によっては、専任CE(保守要員)によるオンサイトでの対応も可能だ。さらにはオーダリングシステムと医事システムに対して、毎朝5時にリモート接続し、プロセスの稼働やデータベースの使用率を確認する。
ヘルプデスクについては、平日の日中は同院のシステム担当者が窓口になり、LCMサービスセンターがバックアップする。システム担当者が不在となる平日夜間と休日は、LCMサービスセンターが窓口になる。
このような運用管理体制の構築を含めた新システムは、2007年4月に本稼働を迎えた。浅田氏は「一般的に必要とされる期間の半分で構築できました。エンドユーザーである医師の先生方へのフォローなど、富士通のプロフェッショナルな仕事ぶりには満足しています」と語る。
宇部興産中央病院はサーバ-LCMサービス導入によって、さまざまな効果を得ている。まず挙げられるのが、当初の目的どおり、24時間365日に渡ってシステムの高い信頼性を維持できるようになった点だ。浅田氏は「データベースの使用率など、私たちでは手に負えないような専門的な監視・分析を専門家の方が毎日行い、障害の予兆を見つけて未然に防いでもらえるので助かります」と話す。稼働監視の結果が毎日メール報告される点なども、大きな安心感があるという。
ヘルプデスク業務は平日夜間・休日でも対応できるようになった点に加え、「富士通のノウハウによって、コンピュータに不慣れな人に対して、わかりやすく質問に答えられます」(中園氏)といった効果により、新システムのスムーズな導入を後押ししている。
また、問い合わせやトラブル報告の窓口の一本化などによる効率化で、同院のシステム担当者の業務負荷軽減も達成している。そのおかげで、システム担当者がコア業務により集中できる環境が得られた。
【アウトソーシング・サービス導入効果】
■夜間/休日の運用管理、ヘルプデスク業務をアウトソーシングで実現
■専門家による24時間365日の監視と迅速な対応でハード/ソフトの障害を未然に防止
■ヘルプデスクの充実による新システムのスムーズな導入促進
■情報システム部門の運用管理業務の負荷軽減と大幅な効率化
24時間365日のシステム利用で、より充実した医療サービスを実現し、地域貢献を促進する宇部興産中央病院。同院では今後、システム運用管理体制のさらなる強化を図っていく。具体的には、アプリケーションレベルでの保守拡充、災害時の危機管理体制の整備などに取り組む予定だ。また、診療科別の売上などのデータをシステムからリアルタイムで取得し、その分析結果を経営に役立てる構想も抱いている。中園氏は「今後もアウトソーシング・サービスの適材適所での導入を一層進めてシステム運用を最適化し、医療サービスの向上と病院経営の強化を図っていきます」と展望を語る。
富士通のLCMサービスは、医療現場のように、高い信頼性と常に稼働し続ける必要のあるシステムをアウトソースすることが出来、様々な業種で運用業務負荷を大幅に軽減することができる。