
(ZEAL/BI戦略研究所)
代表取締役&CEO
山本 秀典 氏
ZEAL Groupは、ビジネスインテリジェンス(BI)やデータウェアハウス(DWH)の設計・構築を主事業にするジールと、バランスドスコアカード(BSC)、業績評価導入のための指標づくりなどを手掛けるBI戦略研究所の2社で構成されている。その代表である山本秀典氏は、経営戦略ソリューションツール「myNavigator」を紹介した。
「myNavigator」は、経営戦略あるいは目標値を可視化するためのBSC的な機能を実装したツールで、「i-Budget(予算編成)」「i-Planning(事業計画)」「i-MBO(目標管理)」、「i-BSC(バランスドスコアカード)」などのモジュールで構成され、それら全体を計画値と実績値によるデータウェアハウスとの連携により経営戦略に役立てていくものだ。「最近の言葉で言えば、コーポレートパフォーマンスマネジメント(CPM)+BIのツールという位置付けになります」(山本氏)といい、まず「myNavigator」開発のコンセプトについて次のように述べた。
「従来のIT化の中で、データウェアハウスなど情報系、戦略系システムは基幹系システムに比べて、ビジネス価値としての成功確率は高くありません。その原因には、部門間など組織連携の視点と組織編成に対する柔軟な対応ができないシステムになりがちだという点があります。そこでmyNavigatorでは、『サークル』と『マトリクス』をコンセプトキーワードに開発しました」(山本氏)。
例えばヒューマンリソース系のデータウェアハウスの構築などでは、人事部門だけでなく生産部門とのデータの連係や人のコミュニケーションなども視野に入れた組織全体のサークルを作らなければ成功に導けない。また、マトリクスは組織横断的なプロジェクトが多くなる中で、ツールの機能が組織編成に対して柔軟に対応できるマトリクス的な視点が必要になると指摘。そうしたサークルとマトリクスをキーワードに、戦略と実行を結びつける考え方とツールが必要であるということを踏まえて開発したものだと強調した。
「myNavigator」の大きな特徴は、同社の豊富な経験とノウハウから生まれた業務および業種別シナリオテンプレートが用意されていることである。基本シナリオは戦略立案や戦略実行、予算編成、管理会計など、一般的な業務内容に応じたテンプレートだが、「例えば非財務数値も定量化して評価につなげていかなければならないが、その仕組みを一から作り上げることは非常に難しい。そうしたものも当社の過去の経験をベースにシナリオライブラリーとして持っているため、導入が容易にできます」(山本氏)という。
「myNavigator」におけるシナリオのアプローチは、基本的にはBSCを用いているので、戦略目標とその経営指標(KPI)というつながりを持ち、導入ユーザーと議論していく中で目標値を定めていくものだという。「一般的なBSC導入時に戦略目標云々というアプローチでなく、当社のライブラリの中から、お客様がどうありたいかということをシンプルに議論していきながら作り上げていくものです。経営の可視化を実現するわけですから、そのKPIに対してどういうモニタリングを続けていくかということを必ず定義していきます。仮説検証のループをきちんと作れるようにシナリオを基に一緒に考えていくというスタンスをとっています」(山本氏)と、その特徴と仕組みづくりについて述べた。
また、山本氏はi-BSCモジュールの機能を説明する中で、KPIの実績値が継続的に的確にモニタリングできることの重要性を指摘した。i-BSCは、各コンポーネント群との連携を実現させたことによって入力された数値を元に、戦略マップに埋め込まれたKPIとの比較から現在の企業経営状態を視覚的に把握することができる。そのフロントツールでは、エグゼクティブ層には指標別、月別などすべてがビジュアル的に主要KPIがどのような動きをしているか簡単に表示でき、ミドルマネジメント層には問題深く発見できるようデータウェアハウスと連携して分析ができる仕組みを提供。さらに詳細に見ていきたいときは、よりローデータでさまざまな箇所の分析が可能になっている。ここで重要なのが、全体の問題発見、担当範囲の現状の把握と問題の特定、詳細な原因の分析という3段階を縦横無尽に動けるようにする点だという。
「BSCは財務・顧客・内部・教育という戦略マップの上位レベルだけで実施するとだいたい失敗します。というのも、3ヶ月あるいは6ヶ月を経過してくると、KPIの実績値がきちんと取得できなくなるケースが多く、そこに人間の感情や憶測が介在してくるためです。KPIをきちんと作ることはもちろん重要ですが、プラスαとして、そのKPIの実績値を継続的にモニタリングできる仕組み、可視化できるようにすることが重要だと考えています」(山本氏)。
経営の可視化による企業改革のためのインフラづくりを、一挙に進めることは難しい。山本氏は最も理想的な可視化のためのインフラ構築を、ある外食産業における事例を基に紹介した。まず実績データを分析したいというニーズから販売損益系のデータウェアハウスを構築し、その上で「myNavigator」の各モジュールを順次導入した事例だ。
「myNavigator」の導入では、最初に管理会計とともに予算編成を実現。各店舗に経営意識を持たせるために、各店長が予算(計画値)を入力し、それを本部で集計・分析するところまでをi-Budgetで確立した。次のフェーズでi-BSCによって可視化に重点をおいた戦略構築・運用の仕組みを構築。最終フェーズとして、店舗開発におけるプランニングや損益投資分析を目的にi-Planningを導入した。これにより、新規出店あるいは撤退の是非を定量的に示すことが可能になったという。
最後に山本氏は、情報をいかに活用して経営の可視化を行い、それを改革につなげていくか。KPIの重要性をあらためて指摘。組織を構成する全員が向かっていくことができる指標を持つことが大切であり、それを仮説検証できるインフラづくりの重要性を強調した。
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