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総論  提案のカギは既存インフラの有効活用 現場力を高めるIT基盤強化に勝機あり

景気の減速が鮮明になる中,企業の IT投資は抑制され,コスト削減のニーズも高まっている。ソリューションプロバイダーには厳しい状況だが,これは裏を返せばチャンスでもある。コスト削減が強く求められる時代だからこそ,投資対効果の高いIT活用が重要になっているからだ。ユーザー企業のニーズに応えつつ,いかにビジネス力の強化に貢献していくか─。これからのソリューションプロバイダーには「今」だけでなく「先」を見る目が求められている。

ITの意義を再定義し既存インフラの有効活用を

2008年9月に発生した米国大手証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻。それに端を発した世界的な金融・経済不況が日本の企業経営にも大きな影を落としている。そのため,多くの企業ではムダを省くためのコスト削減に躍起となっており,IT予算もその対象となっている。IT専門調査会社IDCJapanの調査によれば,リーマン・ブラザーズの破綻前にはIT関連予算の増額を予定していた企業が20%であったのに対し,破綻後には3%に急減。さらには,減額とした企業が27%から51%へとほぼ倍増したことがわかった。

これはソリューションプロバイダーにとって,かなり厳しい数字だ。しかし,こうした状況は裏を返せばチャンスでもある。ユーザー企業は限られたIT関連予算の有効な使い道を探しているためだ。そのニーズにマッチした効果的な提案ができれば,新たな道が開ける可能性は高い。

●2013年度までの携帯電話法人契約数予測(標準値)

●2013年度までの携帯電話法人契約数予測(標準値)

携帯電話の法人市場は急速に拡大。2007年度末に約1250万を突破し,2013年度で約2500万へ拡大すると予測されている。
出典:シード・プランニング「2009年版 携帯電話の法人市場展望」

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それでは,ソリューションプロバイダーは,どこに活路を見いだすべきなのだろうか。その大きなポイントといえるのが,「既存インフラの有効活用」だ。多くの企業では,導入されたITインフラを十分に使いこなせて いないケースが少なくない。その既存インフラをベースにすれば,限られたコストで最大の効果を生み出す提案が可能になるだろう。

このような既存インフラの中でも,注目したいのが,通信インフラである。一定規模の企業では高速・広帯域の通信ネットワークを整備するなど,通信インフラはビジネスを支える基盤プラットフォームとして重要な役割を担っているはずだ。しかし,その活用にはまだ改善の余地がある。現在の企業におけるネットワークの利用実態は企業内の“情報伝送路”としての利用にとどまっているケースが少なくないのだ。

通信インフラは,「データ通信」と「電話」のネットワークの統合,「内線」と「外線」のネットワークの統合,「固定電話」と「携帯電話」の融合など,活用実態にあわせて,様々な提案が考えられる。既存のインフラを最大限に生かして,効率化とIT強化を同時に実現する提案を行えれば,顧客の大きな関心を得られるはずだ。

それでは,具体的にどのようなアプローチが考えられるだろうか。その1つが,音声系ネットワークの改善だ。例えば,固定電話と携帯電話の連携による内線化やIP化も短期に効果を上げられる提案の1つだ。

現在,多くの企業の内線網は,拠点内あるいは拠点間における固定電話のネットワークが中心だ。そのため,相手が外出中であれば,携帯電話と使い分ける必要も出てくる。加えて,内線と携帯電話がそれぞれ別々の部署で運営されていたり,違う番号を把握しなければならないなど,管理上のムダも大きい。

そこで,固定電話と携帯電話の融合を図り,内線通話を携帯電話でも取れるようにすれば,「他人の電話を取り次がなくてよくなる」「外出の多い相手とでも連絡を取りやすくなる」といった様々なメリットが生まれる。また,オフィスに固定されている電話に縛られないため,場所に制約されない新しいワークスタイルも提案できるだろう。さらにモバイル化も合わせて提案すれば,メールやWebブラウザといった携帯の機能をそのまま業務に使うことも実現可能だ。


携帯電話の有効活用でユーザー企業のIT強化に貢献

携帯電話を有効に活用するアプローチも,ユーザー企業のIT強化に貢献可能だ。

IDC Japanが2007年10月に発表したデータによれば,携帯電話/PHSを「通話およびメールのみで活用している」ケースが74.3%であり,「スケジュール管理」や「Web閲覧」「営業支援」「グループウェア」といった利用はまだ少数派だ。逆に捉えれば,それだけ提案の余地があるともいえるだろう。

例えば,在庫管理や受発注状況を携帯電話で確認できるシステムはもちろん,携帯電話を入力端末にして,効果的な市場調査を実現することも可能だ。あるいは,プレゼンス機能を併用して,相手のリアルタイムな状況を把握し,ムダのない効率的なコミュニケーションを図ることもできる。さらに前述の「内線」と組み合わせることで,ムダなく活用でき,より大きな効果が期待できる。いつでも持ち歩く携帯電話ならではのメリットを存分に発揮することで,意思決定の迅速化や業務の効率化,顧客満足度の向上につなげることができるわけだ。

すでに携帯電話を従業員に配布している企業は多い。シード・プランニングの調査によれば,携帯電話/PHS等の法人契約数はすでに2007年度の時点で1250万件を超えている。こうした,「身近な機器」を提案に利用しない手はないだろう。

“カスタマイズ”可能な 新しい携帯電話が登場

それでは,なぜこれほどまでに普及している携帯電話が,これまで有効活用されてこなかったのだろうか。それは,業務に必要な機能が搭載されていなかったり,ビジネスに不要な機能が多数搭載され,それが使い勝手を悪くしたり,業務のムダを助長していたことも要因の1つだ。つまり,企業の業務フローに最適な携帯電話が存在していないことから,積極的な活用がされてこなかったのではないだろうか。

例えば,テレビや音楽といった機能はビジネスでは不要だし,また,すべての企業に「カメラ機能」は必要ない。むしろ,情報漏えい防止の観点からカメラ機能を使用不可にしたり,外部メモリを制限したいというニーズも多い。また,無線LANや構内PHSへの対応や,業務システムとの連携,バーコード機能の利用などを考える企業もあるはずだ。ただ,こうした特定のニーズに応えることは,コストや納期の問題から実現が難しかった。要するに,これまでの“既製品”である携帯電話では,企業の求める機能との間に“ミスマッチ”が生じていたのではないだろうか。

しかし,最近では新しいトレンドが生まれつつある。こうした様々なニーズに対応できるように,必要な機能を“カスタマイズ”できる携帯電話やスマートフォンが登場してきているのだ。こうした新しいタイプの携帯電話を提案すれば,最適なコストでの既存インフラの有効活用が実現し,コスト削減や業務効率化をはじめ,管理を担うIT部門の運用負荷の軽減も提供可能だ。

経済環境がますます深刻さを増す中,これからのソリューションプロバイダーには,コスト削減を重要テーマにした提案がより強く求められるだろう。しかし,それだけでは,その後のビジネスにつなげることは難しい。コスト削減という大義がある今こそ,最適なコストで既存インフラのポテンシャルを最大化し,将来のIT基盤強化につなげる積極的な提案をする絶好のチャンスだ。では,そのために,現在,市場にはどのようなデバイスが用意されているのだろうか。次ページ以降では,最新の法人向け携帯端末を紹介し,具体的なメリットとその活用方法を考察していく。


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