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そうした企業の要求に応えつつ,変化に強いシステムを実現する有効な手法の1つがSOAである。そして,SOAの手法に基づくシステム構築を効率よく進めていく仕組みが,システム連携を実現するSOA基盤のESB(Enterprise Service Bus)だ。 富士通 ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 山崎 啓氏は,「富士通のESBは各システムのインターフェースの差異を吸収します。そのため,既存システムを活用しつつ,事業や組織などの変化に合わせて柔軟な連携/拡張が可能となり,変化に強いシステムを実現できます」と話す。
このESBを利用して,ビジネス拡大・強化に成功した企業がジャパンネット銀行である。 同行では2008年3月,新規ビジネスとして,Webサイト内の「スポーツ振興くじ」(toto・BIG)の販売サービスの開設に取り組んだ。顧客がくじをジャパンネット銀行から購入すると,代金が口座から引き落とされ,当選金があれば口座に振り込まれるサービスである。ジャパンネット銀行に口座を持っている顧客は,24時間いつでも好きな時にくじの購入が可能となるだけでなく,当選したのを知らずに無効になってしまう心配もなくなる。ジャパンネット銀行では,こうした利便性の高いサービスの提供によって,さらなる売上拡大および口座開設促進が見込める。 同行では,このサービス実施にあたって,短期構築を要件とした。サービス開始が早ければ早いほど,販売機会となり,同時に顧客満足度の向上を見込めるからだ。そこで,ジャパンネット銀行では,ネットバンキングなどに利用してきた既存のWebシステムを活用し,スポーツ振興くじの販売サイトを立ち上げることで,構築期間を短縮する方針をとった。加えて必須とされた要件が性能である。スポーツ振興くじは購入期限間際にアクセスが極度に集中するため,とりわけ負荷耐性が重視されるからだ。 また,このスポーツ振興くじ販売システムの構築には,ジャパンネット銀行の販売サイトと,スポーツ振興くじ販売元である独立行政法人日本スポーツ振興センターがサービス事業者向けに用意した販売システムを連携させることが前提条件となる。そのため,ジャパンネット銀行の既存サイトと日本スポーツ振興センターの販売システムをいかにスムーズに連携できるかが課題となった。
既存システムを活かしてのシステム連携で問題となったのが,ジャパンネット銀行と日本スポーツ振興センター双方のインターフェースの違いである。 短期間での構築や既存資産の有効活用といった要件を踏まえ,両システムのインターフェースの差異という課題を解決するために導入したのがESBである。「既存システムはそのまま,ESBを導入してインターフェースの違いを吸収しました」と山崎氏は語る。 ESBには,富士通のミドルウェア「Interstage Service Integrator」(以下ISI)が採用された。SOA/XML技術をベースに,SOAP(※1)やJMS(※2)などの国際 標準仕様のみならず,システム連携に多く利用されるCORBA(※3)などのインターフェースにも幅広く対応。新規/既存を問わずさまざまなシステムの連携を可能とし,システム再構築を支援する製品である。 ISIの導入によって,ジャパンネット銀行では既存システムを活かし,かつ,インターフェースの異なる日本スポーツ振興センターとのシステム連携を3ヶ月という短期間で実現。その結果,2008年6月にサービスを開始できたのである。
同行が約3ヶ月間という短期間でのシステム構築,およびサービスの立ち上げに成功できた要因は,ISIの導入による作り込み作業の低減が大きい。 「ISIなら複雑で手間のかかるプログラミングを行わなくとも,従来のままシステム連携に必要となるデータ変換などの処理を,定義ベースの簡単な作業だけで実現できます。手組みで構築すると数ヶ月の期間が想定されるので,開発期間を約2〜3ヶ月短縮できたことになります」(山崎氏) なかでも開発期間短縮に多大な貢献をしたのが,ISIによるテストの効率化だ。一般的にシステム構築において,テストには少なくない工数がかかるもの。場合によっては,開発期間の半分近くを占めるケースもある。しかも,システム連携テストとなると,連携先のシステムが整うまで作業が停滞せざるを得ないなど,より多くの手間と時間を要する。 ISIには,テスト作業を支援する機能が充実している。シミュレーション機能によって,単体テストを実施できるだけでなく,システム連携についても,連携先システムをテスト用にシミュレート可能。その上,メッセージ出力機能により,処理過程の確認も容易に行える。 ジャパンネット銀行はこれらの機能を利用し,日本スポーツ振興センター側のシステムをISIでシミュレートしてテストを重ねた。そうして十分な内部テストが完了したのちに外部システムと連携することとしたため,本番環境では最終確認だけで済んだ。 「連携先システムのシミュレートも,プログラミングレスの定義ベースで行えます。テストの大幅な効率化が図れ,テスト期間を通常の半分程度まで短縮できました」と山崎氏は強調する。開発期間短縮に伴い,早期サービスインと共に,開発コストも最小限に抑えられた。
ISIによるシステム連携にあたり,性能要件を満たせた点も重要なポイントである。特に同システムは決済情報を扱うため,ESB上を流れるデータに暗号化処理をしており,その分の負荷も増える。それにも関わらず,キャパシティやレスポンスは想定要件の約2倍の性能を達成している。 「サービス利用者様が快適にご利用できるだけでなく,システム連携に必要なサーバの台数も最小限に抑えられます。したがって,システム構築・運用に要するコストや作業負荷を軽減できます」(山崎氏) このようにISIは定義ベースの開発やテストの大幅な効率化など,短期間でのシステム連携を可能とするさまざまなエッセンスを備えており,なおかつ,高いパフォーマンスや信頼性を確保したシステム連携を実現できる。これは,富士通社内システムへの適用により実践を積み重ね,業務の現場で利用するなかで上がってきた厳しい要望の数々に応えることで,利便性や性能などを磨き上げてきた成果に他ならない。 富士通のESBの強みの1つに,CORBAクライアントだけでなく,CORBAサーバとして利用できる機能がある。既存システムとの連携では,同機能の存在がISI採用の重要な決め手の1つとなってくる。 富士通のSOAソリューションはそれ以外にも,メインフレームをカバーしているのも強みだ。SOAに対応したメインフレーム連携ソフトウェア「Interstage Host Access Service」を用意しており,メインフレームのアプリケーションをそのままSOAのサービスとして活用でき,オープン環境との連携を実現する。 富士通はこれらミドルウェア群によって,包括的なシステム連携ソリューションを提供している。次回は業務プロセス改善を実現した導入事例を紹介する。 |
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