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最近普及が進んでいるWebシステムなら,各クライアントへのアプリケーションのインストール・再配付が不要なため,クライアント運用管理負荷とコストは抑えられる。しかし,「ユーザー利便性は従来のC/Sに比べどうしても劣り,業務効率が低下してしまいます」(山崎氏)といった短所を抱えている。 これらクライアントの運用管理とユーザーの利便性という2つの課題の解決が求められている。その有力な解決策の一つが,AjaxによるWebフロントシステムだ。最新技術の Ajaxを活用し,C/Sに匹敵する操作性をWebブラウザ上で実現。「Webのクライアント運用管理負荷・コスト軽減と,C/Sのユーザー利便性を両立できます」と山崎氏は強調する。 さらに,C/SをWebシステム化することで利用者に優しいWebフロントシステムの構築も容易になる。それまで複数のクライアントアプリケーションで個別に操作していた業務処理を,業務の流れに合わせて,1つの画面で検索,入力など適切に処理できる。システムをWeb化することにより,フロントにて業務を統合して効率化を図るのである。 そのフロント統合にSOAの考え方や手法が大いに役立つ。山崎氏はフロント統合の手法やメリットをSOAの視点で次のように解説する。「それぞれの業務システムをサービスと見なして,フロントで組み合わせることになります。バックエンドの既存資産を活かしたまま,効果が見込めるフロントから着手し,段階的に最適化を進められます」(山崎氏)
SOAの考え方に基づくフロント再構築への一歩として,クライアントの運用管理軽減を実現し,既存アプリケーションの操作性維持も果たした企業が保険業のA社だ。 A社では,代理店向けに商品情報管理,顧客管理,契約管理といった業務を支援するシステムを提供している。各業務用のシステムは個別に構築されており,それぞれ独立した専用のクライアントアプリケーションを使わなければならなかった。そのため,インストールやアップデートの作業が「代理店数×クライアントアプリケーションの種類」だけ必要となり,運用管理負荷・コストが膨れ上がっていた。また,代理店の担当者は各クライアントアプリケーションの画面を行き来しながら作業せざるをえず,業務効率が低下していた。 それらの課題解決のためには,Webシステムの採用によるフロント統合がベストであったが,期間やコストの面でおりあわなかった。「A社様は優先度の高い課題から段階的に解決すべきと判断しました。まずは運用コストのかかっていたクライアントアプリケーションのWeb化を行い,運用管理負荷・コストの軽減を図りました。1つの業務でも高い効果が見込めることから,次のステップとして,他の業務システムも順次Web化し,1つの画面に統合するというアプローチを採用されています」と山崎氏は話す。 Web化にあたり,代理店業務の効率性を損なわないよう,既存クライアントアプリケーションの操作性の維持を必須要件とした。そこで,ユーザビリティを実現する部品が使えるAjaxを活用してWebフロントを構築することにした。Webフロントアプリケーション構築基盤として採用したミドルウェアが,富士通の「Interstage Interaction Manager」(以下IIM)である。同製品は基幹システム向けの豊富な業務部品を提供するAjaxフレームワークによって,高品質なWebフロントの短期構築を可能とする。 「A社様は当初,新しい技術であるAjaxでの開発に,信頼性や期間・コストの面で不安を抱えていました。高い生産性と保守性を実現するAjaxフレームワークを搭載したIIMの採用により, そのような懸念を払しょくできました」(山崎氏) 実際に構築した結果,開発期間・コストは手組みに比べて,約30%短縮できた。そして,専用クライアントアプリケーションからWeb化したことで,「各代理店でのアプリケーションのインストールやアップデートの作業が不要となり,運用管理コストが約60%削減できました」といった効果を得ている。
クライアントの運用管理の負荷・コスト削減と併せて,従来のクライアントアプリケーションの使いなれた操作性を維持できた点も大きな成果である。 IIMの特長の1つであるAjaxを活用し,現場の使い勝手を考慮したことで,従来の操作性を継承。たとえば,ファンクションキーを押すと処理を実行でき,矢印キーで入力箇所を移動できる。代理店の担当者にとっても,既存の使いなれたクライアントアプリケーションから違和感なく新しいWebシステムに移行でき,スムーズに作業を実施できる。また,入力を補完するために必要なデータの先読みによってレスポンス向上も達成している。 「A社様の代理店様が使用されてきた既存クライアントアプリケーションのインターフェースや作業の流れなどを徹底分析し,日常業務でいかに効率性を損なわないようにするかを突き詰めた上で,Ajaxを用いてWebフロントを構築しました。お客様の現場に則したSOAソリューションをご提供できる点が富士通の強みです」(山崎氏) A社は富士通の支援のもと,各クライアントアプリケーションのWebシステム化によって,C/Sの操作性を維持しつつ,運用管理軽減を実現した。次のステップとして,クライアントアプリケーションのフロント統合を図る。 「このWebシステム化によって,統合のための基礎が固められたことになります。今までは操作性の維持にとどまっていましたが,今後統合を進めていくことで,業務ごとに画面の切り替えが不要になるなど,利便性向上へとステップアップできます」と話す山崎氏。このように,運用管理軽減からユーザー利便性向上へと,段階的に課題解決可能となったのも,本事例のポイントの1つである。
富士通は本事例に採用されたIIMについて,クライアントの運用管理軽減とユーザー利便性の向上をより達成できるよう,さまざまな観点から機能追加や品質向上を継続的に進めている。直近では,マッシュアップフレームワークの提供によるフロント統合の強化,およびマッシュアップ対象をGUIで容易に切り出して組み合わせた画面が作れるなど,業務の更なる効率化のため開発環境の強化がなされた。 「基幹系システムのフロントがマッシュアップによって短期間で容易に構築可能となることで,フロント統合による業務改善がさらに推進できるようになります。今後も同機能を中心に,IIMを進化させていきます」(山崎氏) 富士通のソリューションは,SOAに基づくフロント統合を軸に,幅広い業種の企業にクライアントの運用管理軽減,およびユーザー利便性の向上をもたらす。次回は変化に強いシステム構築を実現した導入事例を紹介する。 |
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