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業務プロセスと機能をつなぐことで変化に柔軟に対応できるSOAだが,実現までのアプローチを具体的に描くのは難しい。日本アイ・ビー・エムでは,業種ごとにどうSOAを実現していくのかという戦略に力を入れている。本講演では,同社が考えるSOAへのアプローチと,それに対応した製品やサービスに関する取り組みについて,同社のエグゼクティブITアーキテクト(兼)アセット&SOAコンピテンシー担当 二上哲也氏が解説した。SOA早期実現のための戦略やサポートはどこまで用意されているのだろうか。
SOA実現のための3つのポイント 日本アイ・ビー・エム株式会社エグゼクティブITアーキテクト(兼)アセット&SOAコンピテンシー担当 二上哲也氏

冒頭,二上氏は「SOAとは,業務の機能であるサービスの組み合わせによってアプリケーションを構築する考え方」と定義したあと,SOAにおけるサービスについて説明した。「サービスとは,業務プロセスに合わせてシステムを割り当てることです。サービスの裏側には実システムがあり,サービスの手順を組み換えることで変化に対応することができるのです」とSOA化のメリットを強調した。

また二上氏は,SOAを実現するためのシステム面でのポイントとして,サービスとしてのコンポーネントを集約する,EBS(エンタープライズ・サービス・バス)によってコンポーネントをつなぎやすくする,ビジネス・プロセスによって柔軟に流れを制御していく,の3つを挙げる。

「縦割りに作られた複数の個別システムには同じ機能が複数あり,それらを集約して1つにして利用したほうが全体としての効率が上がります。それをコンポーネントとして切り出し,つなぎやすくすることで,業務全体の流れがコントロールできるのです」と二上氏は指摘する。

こうしたシステム面の課題に対応し,早期にSOAを実現するためには,「既存のコンポーネントをサービスとして共有し再利用すること,オープンな標準技術でサービスを接続すること,既存や業界標準のビジネス・プロセスを活用して最適化することの3つが必要なのです」と二上氏。すでに先進企業ではこうした取り組みが進んでおり,これからも増加していくという。

業界別のコンテンツ・パックと部品群としてのCBSを提供

同社では,SOAに取り組むユーザー企業のために業種別ロードマップを用意。これにはビジネスの視点,プロセスの視点,ITの視点という3つの視点が取り入れられている。ビジネスの視点では,IBCSや同社のSOAに関するノウハウを汎用化。業務を整理する手法としてCBM(コンポーネント・ビジネス・モデル)を提供し,テンプレートも用意している。またプロセスの視点では,業界標準で業務の流れをシステム化したCBS(コンポジット・ビジネス・サービス)を提供し,ITの視点ではSOAを支えるシステム基盤を提供している。

「SOAの基盤であるミドルウェアの『Websphere Business Service Fabric』の上で,業務プロセスのコンポーネントの部品群であるCBSと,業種別の機能と業務プロセスのベースとなる業界コンテンツ・パックを提供しています」と二上氏は説明する。業界コンテンツ・パックは現在,金融・テレコム・ヘルスケア・保険の4つの業種を対象に提供されており,パートナーと協力して展開を加速しているという。ユーザーは,CBSやこのパッケージを使って業務プロセスやサービスを新たに作ることなく,自社向けにチューニングして利用することで早期にSOA化を実現することができる。

二上氏は,CBSによるコンポーネント間の流れの制御を図を用いて説明した。ユーザーインターフェイスの裏側でCBSのビジネス・プロセスが業務処理の流れをコントロールし,その後方には,CBSやパッケージ,既存システムなどアプリケーションコンポーネントが動いている。その処理全体をミドルウェアが支えるといった格好になる。

インテグレーションのステップとしては,「まず特定の方式で個別に接続されている状態からシステムの結合度を柔軟にし,部分的にEBSで接続して標準化を図ることです」と二上氏。それを進めて,全社的にサービスの組み合わせによって業務に対応できるようにすることが最初のゴールだという。二上氏は「さらにはインターネットを介してパートナーと取り引きできる段階を経て,最終的には特定のパートナーだけでなく,必要となるパートナーと動的に協業できる状態を作ることがゴールとなります」と語る。

SOAのあるべき姿としては,社内外にまたがるひとつの大きな業務を一連の大きなプロセスとして管理できることが求められ,企業をまたがってサービスを組み合わせていく「ビジネス・サービス・エコシステム」へと進化していくことになる。

SOA成功の鍵を握るコンポーネント化

続いて二上氏は,SOAの具体的な例として製造業のリファレンス・アーキテクチャを紹介した。様々なチャネルから入ってくる利用者の処理要求は,全体の流れを制御して管理するビジネス・プロセスと後ろにある基幹システム群によって処理され,その流れはESBを経由して行われる。新しい業務プロセスの追加は,ビジネス・プロセスをチューニングすることで対応できる。「業種別リファレンス・アーキテクチャを増やし,それをベースにSOAを進めていきます」と二上氏は抱負を語る。

こうしたアーキテクチャでは,システム構築の方法も変化すると二上氏は指摘する。「上流の設計がより重要になってきます。業務を整理し,必要なサービスをリストアップして実現する方法として,ビジネス・プロセスを分析し業務にどのようなサービスが必要になるかを考えなければなりません」と二上氏。そのためのツールや構築手法も同社では提供しているという。

最後に二上氏は,中堅企業向けのSOAソリューション,IBMが2008年春に提供を開始するMEGA-Site(IBM Midrange Enterprise Global Application-Service Integration TEmplates)についても紹介した。「日本の中堅企業のプロジェクトのノウハウをSOA化しました。パッケージ製品では対応しきれない部分をカバーするのが目的です」と二上氏。製造業向け販売管理を手始めに,段階的に機能別・業種別テンプレートを整備し,中堅企業にもわかりやすいSOAの実現を支援するという。

「このソリューションでも,内部構造はコンポーネント化されています。標準技術を取り入れ,いろいろなチャネルに対応できるように作られており,コンポーネントを自由に選択できるのです」と二上氏は,SOAにおけるコンポーネント化の重要性をあらためて強調し,講演を締めくくった。

CBSによるコンポーネント間の流れの制御

IMPACT 2008 JAPAN SOA CONFERENCE
詳細情報・お問い合わせ
IBM日本アイ・ビー・エム株式会社  SOAポータルサイト   ibm.com/soa/jp/

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