グレープシティの提供する「Secure iNetSuite」は,メール送受信やファイル転送といったネットワーク通信機能をアプリケーションに実装するためのコントロール製品だ。SSLによる暗号化機能を搭載することで,今日の通信アプリケーションにおける最大の課題ともいえるセキュリティ機能の導入を支援。開発者は,本来その実装に不可欠となる高度なノウハウや複雑なコーディング作業を強いられることなく,セキュアな通信機能を備えたアプリケーションの開発が可能となる。

今日では,ビジネス環境におけるネットワークの利用が前提となる中で,ビジネス・アプリケーションでネットワーク通信機能の実装が必要となるケースも増えている。しかし,上位プロトコルの通信手順を一からコーディングすることは,開発者にとって作業量やスキルの点でやはり大きな負担となる。
サーバーへの接続および折衝,受信コマンドの整合性チェックと処理の分岐,通信エラーの監視やリトライ処理,コネクションの正常な終了など,定められた手順に沿ったロジックの実装が必要で,通信プログラミングならではのノウハウが求められるのだ。
グレープシティの「Secure iNetSuite」は,こうした通信機能の実装にまつわる問題を解消するコンポーネント・スイート製品。SMTP,POP3,IMAP4といったメッセージング・プロトコルに対応したメール送受信機能を提供する「Secure Mail 2.0J」,FTPによるファイル転送機能を実装するための「Secure FTP 2.0J」,低いレベルでのソケット通信機能を実現する「SSL Sockets 1.0J」というVisual Studio 2005およびWindows Vistaに対応した3つのコンポーネントから成っている。
これらのコンポーネントには,先述した通信に必要な一連の手順がカプセル化されている。開発者は,コマンドの送受信に伴う繰り返し処理などを1度のメソッド呼び出しで実装したり,通信エラーの監視をメソッドの戻り値チェックに置き換えるなどといった形で,コーディング量を大幅に削減しながら,より簡潔にロジックを記述することが可能となる。
さらに,Visual Studio 2005の開発画面上で,実際のサーバーと接続するためのダイアログも提供されている。ホスト名,ユーザー名などの通信オプションを変えた多様な接続テストが実施できるほか,送受信したコマンドの表示やログ・ファイルへの保存も可能。このように,不具合発生時の原因究明などにも大いに役立つテスト・デバッグ機能が充実していることも大きな特長だ。

Secure iNetSuiteが備える基本的な通信機能自体は,その前身となる「iNetSuite for .NET」で提供されてきたものと同様であり,既に多様な分野のアプリケーションで広く活用されてきた実績を持つ。今回登場するSecure iNetSuiteでは,そうしたiNetSuite for .NETの提供する便利な通信機能に加え,ユーザーからも要望の多かった,より安全な通信処理を実現するためのセキュリティ機能を新たに搭載している点が注目される。
今日では,システムにおける情報セキュリティの維持が大きな懸念事項となる中,特に通信を扱うアプリケーション開発では,セキュリティを十分に考慮した実装が切実な課題となっている。しかし,暗号化などのセキュリティ機能の実装には,相応の高度なスキルと多大な工数が不可欠となるため,断念していた開発者も多いのが実情だろう。
こうした問題に対してSecure iNetSuiteでは,ユーザーが実装する通信処理において,SSLに基づく暗号化処理を容易に適用できるようになっている。具体的には,コンポーネントをアプリケーションに貼り付けるだけで,転送されるファイルやメール本文はもちろん,ユーザー認証のためのパスワードなどをSSLにより暗号化して通信できるようになる。その際,Explicit,Implicitの両モードに対応するとともに,SSLの有効/無効の切り替えも容易だ。
これにより開発者は,個人情報をはじめとする企業の機密データの盗聴やなりすましなど情報漏えいの脅威に確実に対応したアプリケーションを,手軽に実装できるようになる。
また,こうしたセキュリティ機能に加え,Secure iNetSuiteでは,同期型/非同期型の両通信モードについてのサポートも実装されている。モードの切り替えを最小限のコーディングで実現するなど,通信アプリケーションの開発生産性向上をより広範な局面で支援している。
今後のソフトウエア開発,特に通信機能の実装においては,セキュリティ面での取り組みに無頓着であることは決して許されない。これまでスキルや工数の問題からその実装を見送ってきたケースや,既存アプリケーションにセキュリティ機能を新たに追加したいというケースでは,今回のSecure iNetSuiteの登場が開発者にとっての朗報となることは間違いないだろう。


