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仮想化技術に魅力を感じながらも,いざ導入となると及び腰になるユーザー企業も少なくない。市場での導入実績がまだ少ないことがその大きな要因だ。パネルディスカッションでは,他社に先駆けて仮想化技術を採用した先進的なユーザー企業(IMJネットワーク,NEC,NTTデータ)が列席し,実務現場における仮想化導入について活発な意見交換がなされた。ここでは特に,パフォーマンスや安定性といった運用面についての課題やメリット,将来の仮想化技術に対する期待についてその模様を概括したい(モデレータは日経BP社浅見 直樹)。
VMwareはすでに成熟した技術
安定性やパフォーマンスに問題なし
安定性やパフォーマンスに問題なし
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パネリスト
株式会社IMJネットワーク 代表取締役 山田 敏博氏 |
――VMwareを利用した仮想化環境をビジネスに活用している先進的ユーザー3社をお招きしました。まず初めに,どのような用途で導入・利用しているのかお聞かせください。
山田● IMJネットワークではレンタルサーバー「GrowServer」を提供しています。そのインフラとしてVMware ESX Serverを利用した仮想化技術を用い,ブレードサーバーをベースとした複数の仮想マシンを構築しています。一例ですが,アクセス数の多いモバイル公式サイトや社内のファイルサーバーなどで使われています。
高橋● NECでは,社内に散在していた部門サーバーを統合するため,VMware ESX Serverにより部門サーバーを集約しました。評価し始めたのは2004年末頃です。事業継続性の確保や内部統制の強化,IT費用削減などの課題解決に迫られる中で,情報管理の一元化や効率化が情報システム部門に要請されていました。仮想化した結果,サーバー台数の削減や情報の集中管理によるセキュリティ水準向上などの目標はほぼ達成できました。
齋藤● NTTデータでは仮想化技術を複数の目的で導入しています。具体的には営業向けポータルサイトにおけるサーバー統合,パッケージソフトウエアのテスト環境におけるマシン削減,そしてこれからご説明するシンクライアント環境の実現です。VMware ESX Serverの特徴は複数のサーバーを1台の物理サーバー上で同時に動かせることですが,当社では1サーバー上に10 〜 15台のWindows XPを入れています。昨年8月頃から2カ月間にわたって検証し,現在XPのリモートデスクトップ機能を使って2拠点,200名が利用している段階です。現在,1台あたりのサーバーの平均利用率は約60%,ピーク時は100%近くです。直接的な導入効果としてはサーバー台数が削減できたことがあげられます。
――仮想化技術を導入する前に不安だったことを教えてください。またその不安は的中したのでしょうか。
山田● 導入時に最も懸念されたのは,パフォーマンスと安定性です。しかし,この2年半ほどの運用の間に,ほぼ問題ないことが明らかになりました。ただ,共用サーバーに詰め込みすぎて一度パンクした経験があります。
高橋● パフォーマンスはやはり気がかりな点でした。社内に対してサービスを提供するアウトソーサーとしての立場だったからです。環境によってはスループットの確保が課題となります。VMwareを搭載したマシンとそうでないマシンで比較したところ,前者はオーバーヘッドが10%〜15%ほど多かったのですが,ユーザーがストレスを感じるレベルではなく問題はありませんでした。ネットワークがボトルネックとなり,レスポンス低下がみられたこともまれにありましたが,そのことでユーザーから大きなクレームを受けることはなく,実運用上,問題は起きませんでした。
齋藤● VMware自体はすでに成熟した技術であり,安定性などに不安は特にありません。一方,システム・インテグレータとして客先で提案する際は,VMware ESX Serverがデータベース・サーバーに利用されることもあることから,オーバーヘッドについては2割程度と見積もっています。ただ,CPU性能も上がってきており,以前ほどディスクI/Oについてあまりセンシティブにならなくてもよくなっているように思います。
運用管理における要員確保や
柔軟なルール変更が重要に
柔軟なルール変更が重要に
――ディスクI/Oとネットワークの仮想化に対する改善や技術革新が待たれそうですね。ほかにどんな課題が見えてきたでしょうか。
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パネリスト
NEC マネージドプラットフォームサービス事業部 プラットフォームソリューショングループ シニアエキスパート 高橋 幸雄氏 |
山田● システムの高度化に対する性能管理などが追いつかなくなってきています。要員の確保が以前にも増して重要になっています。
高橋● VMware ESX Serverはそれ自体がOSのような位置づけであり,使用できる監視ツールが限られます。VMware対応済みの弊社監視ツールとVMware VirtualCenterを用途に合わせて使い,負荷平準化などを行っています。
齋藤● 複数のサーバーのウイルス対策ソフトの更新集中によりパンクしたことがあり,アップデートの時刻設定をずらしました。またUSBが使えない,再起動に管理者の許可が必要などの課題に対しては運用ルールの変更などで対応しています。ただ導入後にシステムトラブルが起きると,真っ先にVMwareが疑われます。安定性は高いのですから,きちんと反証しないとVMwareが悪者になります。そこで検証用にあえて古いサーバーも残しています。
高橋● 負荷集中などボトルネックの解消については,仮想化技術に限らず,運用管理で注視することが大切です。
山田● 共用サーバー上で誰がどのようにリソースを消費しているかを強く心配されるユーザーもいます。オプションとしてVIPルームに相当するようなレンタルサーバーのサービスメニューを作る価値はあるかも知れません。
サービスインまでの時間が短縮
ベンダーのサポートにも期待
ベンダーのサポートにも期待
――それでは,仮想化技術のメリットはどこにあるのでしょうか。
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パネリスト
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部 仮想化ビジネスプロジェクト プロジェクトマネージャ 齋藤 洋氏 |
山田● 事業者としては運用管理を効率化でき,コスト削減できるメリットは大きいですね。また,ユーザーに対しては,迅速にサービスを提供できる点です。一般には1カ月間要するようなサーバーの構築が,簡単なコピー作業などで1週間程度にスピードアップできました。メモリの増設なども容易です。
高橋● 同意見です。当社では通常,新プロジェクト立ち上げなどの場合,ハードウエアの調達を含めて従来3週間ほどかかっていましたが,仮想化によって設定作業を含めても3日間ほどにリードタイムを短縮できるようになりました。
齋藤● 開発環境におけるファイルのカプセル化によるメリットも大きいですね。従来,総合テストでは少なくとも20台程度のサーバーが必要でしたが,それが1台ですみます。不具合が生じた時の復旧も速やかになりました。
――最後に,今後の仮想化技術に対する要望や期待を聞かせてください。
齋藤● 技術面では自動化や自律化に向けた進歩を期待しています。一方で,VMware上で稼働するソフトウエアを提供するベンダーの多くがサポートに消極的ではないでしょうか。ここがはっきりすると仮想化も普及に弾みがつくと思います。
高橋● 仮想化はサーバーだけでなく,ストレージやネットワークにも拡大できます。使う側にとって,よりいっそう快適な技術になってくれるとありがたいですね。
山田● マルチコア対応になれば,メモリなどの制約がほとんどないに等しくなるはずです。まずそれを有効活用したい。また,当社は10年間ノンストップのシステムを目指していますが,OSについての互換性は問題ありません。ただ,言語やアプリケーションのバージョンアップについては今後の課題といえそうです。
――経営者層にも仮想化技術に対するより本質的な理解が求められるでしょう。仮想化によるコスト削減効果などを創造的なIT投資に振り向けることがROIの向上にもつながるといえそうです。本日はありがとうございました。























