「また情報漏えいか…」――。ニュースを耳にしてもさほど驚かなくなるほど情報漏えい事件が相次いでいる。そんな中,注目を集めているのが「フォレンジック」関連製品だ。これらの製品は情報システムの利用履歴を記録,証拠として保全し,万一情報漏えいが起きた場合には,その記録を分析することで,原因究明や犯人の追及などを可能にする。もちろん,記録を残すことで,内部不正への抑止力としての効果も発揮され,最近では,内部統制を実現する上でも導入が進んでいる。ここでは,フォレンジックの仕組みや導入企業の実情,製品選定のポイントなどについて見ていくことにする。
企業からの情報漏えい事件が後を絶たない。その原因の8割が内部に起因するといわれる中,企業のあらゆる情報を記録する「フォレンジック」関連製品への注目が高まっている。情報漏えいは事前に防止できることが望まれるが,万一発生した場合,適切な事後対応によって社会的・経済的ダメージを最小限に抑えることが重要である。そのためには,自社で記録を取り,いざというときに原因や経緯を即座に調べ,それを詳細に説明できなければならない。もちろん,常に自分の行動が記録に取られ,それを調べることができるとなれば,内部不正への抑止力にもなる。
では,有事の際に原因を調べ,客観的な事実を証明するためには何が必要なのだろうか。大別して次の3つのプロセスが必要になる。(1)証拠保全(2)データの解析・抽出(3)報告書作成や報告(証拠提出)だ。まず証拠保全として,システムやネットワークのログ/パケットなどの情報を書き換えることなく複製を作成しておく必要がある。次に,保全したデータを解析し,調査対象となるシステムのユーザーが何をしていたかを特定する。その上で,解析結果の報告書を作成,それを用いて法廷や社内外で説明を行うのである。
また,フォレンジックが注目される背景には,企業にコンプライアンス(法令順守)を求める社会意識の高まりや法制度の整備がある。2008年4月からは「金融商品取引法」で上場企業とその連結子会社は財務報告にかかわる内部統制が義務付けられ,業務プロセスが規定通りに進められていることを証明しなければならない。既に,「個人情報保護法」や「不正競争防止法」,「公益通報者保護法」などが施行されており,それらへの順守を示すためにも,システムを通してやり取りした情報やユーザーの利用状況を記録しておくことは大きな意味を持つ。企業による不正行為に社会が一層厳しい目を向けるようになる中で,フォレンジックのための体制整備の必要性は今後,ますます高まっていく。
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