ネットスイートの高沢冬樹氏は,講演冒頭でSaaSの一般的なメリットや市場動向について触れた。注目を集めるSaaS業界で,ネットスイートはリーダー的存在の企業であると説明。続いて,同社が提供する中堅・中小企業向けSaaS型の統合業務アプリケーション・スイート「NetSuite」を紹介した。
最初に,Webブラウザベースでアクセス性が高く,Ajaxにより操作性も優れていること。マルチテナンシーにより拡張性があり,数名から数千名のユーザー数をカバーできることなど,NetSuiteの特長を説明。
「例えば少数ユーザーから始める場合も,当社の高信頼システムを柔軟な形で利用できます」(高沢氏)。
続けて,NetSuiteのシステム運用技術に触れた。機器の冗長化からデータセンターの災害対策まで,年間稼働率99.97%を達成した信頼性の高いシステムを実現している仕組みや,徹底したセキュリティ対策を紹介した。
さらに,SAS70TypeII(米国SOX法準拠のセキュリティ監査)を取得済みである点にも触れ,「顧客自身でシステム監査を受ける必要はありません。ゆくゆくはJ-SOX法にも対応する予定です」(高沢氏)と語った。
次に高沢氏は,統合業務アプリケーション・スイートとしてのNetSuiteの強みを取り上げた。
従来の一般的なアプリケーション・スイート製品は,「販売管理や会計など,一連のビジネスプロセスに必要なシステムの個別パッケージの単なる集合に過ぎませんでした。そのため,部門や業務を越えて各システムを連携するには,統合のためのインテグレーションに少なくない量の手間とコストがかかってしまいます」(高沢氏)。
一方,NetSuiteは単一の統合されたデータベースを核に,CRMとERP,およびEコマースといった3つの機能が統合されたアプリケーション・スイート製品であるのが大きなアドバンテージである。
NetSuiteがカバーする業務
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「CRMとERPがシームレスに連携しています。マーケティング・オートメーションや営業支援から在庫管理や購買管理,出庫管理まで,エンド・ツー・エンドでビジネスプロセスをつなぎ,顧客の業務を効率化・高品質化するソリューションを低コストで提供しています」と高沢氏は強調した。
続けて高沢氏は,NetSuiteのCRM機能を詳しく説明した。見積もり自動作成や予算管理といった基本機能のみならず,受注管理などまでも拡張機能としてCRMに搭載している点がユニークである。
「顧客のライフサイクル視点に基づいたCRMであり,リード獲得や商談から受注まで,CRM上で処理の自動化,およびデータを一元管理できます。追加購入やクロスセル/アップセルなどの販促活動の際に有効です」(高沢氏)。
続いて高沢氏は,CRM機能のデモを実施。Webブラウザ上のダッシュボードに,ある顧客の商談と受注の履歴をワンクリックで表示し,「法人営業担当者がアカウント・プランニングに必要な顧客データを,迅速かつ容易に取得できます」(高沢氏)と活用例を述べた。また,登録した商談情報から自動作成した見積書のレイアウトを,Webブラウザ上にてドラッグ&ドロップで自由に変更するデモも行った。
加えてビジネスを「見える化」する機能についてもデモで実演。高沢氏は,在庫回転率や営業利益率など企業の重要な財務指標や分析レポートのサマリーなどを,ダッシュボードに表示する仕組みを解説した。
ERP機能については,自動仕訳や業務フロー,そして内部統制に対応した監査証跡といった特徴的な機能を紹介。Eコマース機能については,オプションのサイト分析機能などを取り上げた。
リッチなカスタマイズ性もNetSuiteの強みである。プログラミング機能やWebサービスAPI,ツールを含む業務プロセス・カスタマイズのためのプラットフォーム「SuiteFlex」が提供されているため,「業種や業界に特化した固有機能などの作り込みは,必要最小限の作業負荷で行えます」(高沢氏)。
そのうえ,カスタマイゼーションを簡単に“再利用”できる。SuiteFlexのツール「SuiteBundler」を用いれば,NetSuiteのあるアカウントでカスタマイズした内容をパッケージ化して,複数の別アカウントへ素早く展開できる。
「自社で行ったカスタマイゼーションを社内に展開したいユーザーのみならず,業種/業務特化型のカスタマイゼーションの提供でSIビジネスを展開したいパートナーにとっても,非常に有効な仕組みです」(高沢氏)。
ワールドワイドで豊富な実績を持つNetSuiteの導入事例として,講演では米テンプル大学ジャパンキャンパスの事例が紹介された。同大学では,まずNetSuiteのCRMのみを導入し,入学希望者からの問い合わせから入学手続きに至る学生管理のライフサイクルを自動化。その結果,Webを通じた問い合わせ件数が約2倍に増え,入学希望者と在学生へのサービス品質向上など,数多くの効果を得た。同大学ではこれを高く評価して,CRM導入後にNetSuiteのERPも導入を開始。業務プロセスの自動化による効率化をはじめとする,様々な効果を期待している。
高沢氏は同事例のポイントを「段階的な導入」と指摘。「最初にすべてを導入したのではなく,CRMからERPへとステップアップしています。ユーザー数も最初は20人だったのが現在は50人以上に増えています。さらに業務の統合を進め,最終的には全職員に普及されることでしょう。スモールスタートによるIT投資の最適化が達成できました」と説明した。








