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インタビュー
【第5回】 マイクロソフトのDBMS戦略

高可用性と開発ツールを武器に
UNIX/レガシー・システムの置換を狙う

マイクロソフト
サーバープラットフォームビジネス本部
プロダクトグループ ディレクター
五十嵐 光喜


−−Itanium 2プロセサを搭載した高性能・高信頼サーバーの市場にどのように取り組みますか。

 レガシー・システムのオープン化は非常に大きなビジネス・チャンスです。例えば官公庁がオープン化を打ち出しているのを見ると,そこには大きな需要があると思います。SQL Serverはオープン化に即応できるよう改善されており,特に我々がマイグレーションにとって一番重要と考えている移行プロセスの短縮を可能にします。

 昨日まであったメインフレームがすぐになくなるということはあり得ない話です。必ずメインフレームとIAサーバーの両方でデータの整合性を維持しながら進める移行作業が必要になります。SQL Serverは単なるデータストアではなく,データ統合のための機能も標準で備えています。例えば,まわりのシステムからデータを変換して持ってくることができます。また,SQL Server 2005のService Pack 1では,データベース・ミラーリング機能を追加し,高可用性も実現しました。

 データベース・サーバーを強化する場合,スケールアップとスケールアウトという2つの手段があります。従来の32ビット機では,スケールアウトするしかなく,サーバーを何台も連ねた分散システムを設計するか,サブシステムごとに分けていました。そのため管理工数やオーバーヘッドが増加していました。これに対して,Itanium 2搭載サーバーを用いたスケールアップでは,メインフレームと同じような形で設計・運用ができるようになります。これはお客様にとって大きな意味があるのではないでしょうか。富士通のPRIMEQUESTは,それに打って付けのハードウエアといえます。


メール・サーバーを中心にサーバー統合の需要は多い

−−最近の市場調査を見ると,PCサーバーの導入は相変わらず増え続けているようです。サーバー統合のニーズは本当に高いのですか。

 
 

 高いですね。私はSQL Server以外のサーバー製品も担当していますが,特にExchange Serverではサーバー統合の傾向が顕著です。5年ほど前には各支店にメール・サーバーやグループウエア・サーバーを置くという設計が一般的でした。ところが今は,ハイエンド・サーバーを中心に据えて統合するのが普通です。

 実際にある飲食店のお客様では,アップグレードによって,20台ぐらいあったExchange Serverを4台に集約しましたし,ある信託銀行は10数台のサーバーを数台にまとめました。

 その背景には,ここ数年でようやくハードもソフトも単体でスケールアップできる製品が登場したことと,ブロードバンドの普及があります。さらにいえば,分散による管理工数の増大にお客様がへきえきしているのです。

 ただし,メール・サーバーは分散していてもシステムとしては1つなので,統合しやすいものです。これに比べ,データベースの場合は,「分散」=「役割が違う」ということなので,簡単には統合できません。それでもお客様のマインドは明らかに統合に向っています。

−−データベース統合は,スキーマやフォーマットから作り変える必要もあり,かなり大変な作業になりますね。

 そうですね。でも方向性としては明らかにデータ統合の方向に進んでいます。セキュリティやコンプライアンスの問題も,それを後押ししています。企業システムの大事な情報が分散して何のケアもなく置かれているのは,望ましいことではないですよね。その解決策としてデータ統合を考えた事例もあります。

 各部署に分散しているデータをまとめることで,経営を可視化する効果も期待できます。例えば営業,販売,マーケティングの各部署,あるいは各事業所が持っているものをまとめると,会社の意思決定を迅速化したり,顧客への対応を機敏にしたりする効果があるのではないでしょうか。

 データベースの一元化には2段階があります。1段階は物理的に1つのハードウエアにまとめることです。これはハードウエアがスケールアップすれば可能であり,これだけでも管理コストは飛躍的に下がるでしょう。しかしもう1段階進んで,複数のデータベースを有機的に一元化するには,かなりの作業が必要だと思います。

 統合を支援する製品としてはもう1つ,我々のBizTalk Serverがあります。この製品を利用することで,業務ごとに構築されていたシステムを有機的に統合することができます。単にシステムを統合するのではなく,BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)でプロセスを処理するシステムとして統合することが可能です。弊社のアプリケーション・プラットフォームを活用すれば,データ統合だけではなく,ビジネス・プロセスの統合も実現することができます。


UNIXサーバー市場を取る

−−高性能・高信頼のIAサーバーを武器に,メインフレーム市場を取りにいきますか。

 それはどうでしょうか。お客様がメインフレームを採用している理由は,性能とか価格だけではないと思います。システムが確実に動くかどうかとか,障害が起こったときに原因がどこにあるかすぐに分かって直せるといった高可用性を重視しているのだと思います。

 
   

 とはいうものの,富士通のようにメインフレームを持つベンダーは,そのお客様の要求がよく分かっています。そういう意味では,PRIMEQUESTのようなサーバー製品が出てくると,特に可用性に強い関心があるお客様はどんどん来ると思います。

 マイクロソフトも,その点を本気でやらなければいけないと思っています。メインフレームで動いている資産をすべて新しい環境に移す必要はないかもしれませんが,今後,企業が成長していくための高可用性システム,そのワークロードはすべて新しいItanium 2搭載サーバーに落ちてくると思います。

−−UNIXサーバーのリプレースは狙っていきますか。

 もちろんです。いろいろなパートナーさんのお話を聞いて回ったことがあるのですが,現在UNIXサーバーで稼働して何年も経っているシステムは,昔のクライアント・サーバー方式の作りになっており,Webサーバーを介した3層構造にはなってないことが多いそうです。また,かなり昔のアーキテクチャで作られていてなかなか性能が出ないこともあるそうです。システム・インテグレータにしてみれば,クライアント・サーバー時代のミドルウエアで書かれたコードを保守し続けたくないという意見が多く,意欲的に新しいアーキテクチャを使いたいと考えている方は少なくありません。

 お客様の具体的なシステムを前にして,今後5年先,10年先にそのシステムをどう変えるのか,UNIXでいくのか,Windowsでいくのかとお聞きすると,圧倒的にWindowsの方が多いですね。実際にお聞きした理由としては,価格もありますけれども,Windowsの信頼性は非常に高くなりましたし,以前,PCサーバーと呼ばれていたものがUNIXサーバーに匹敵する能力と可用性を備えるようになったからです。例えばクラスタ構成も,きちんとサポートしています。

 UNIXサーバーで動いているワークロードがどんなものか考えてみると,基本は基幹業務アプリケーションだと思います。あとはデータベース・サーバーでしょう。市場を見ると,データベース・サーバーに使われるOSは,今やWindowsが圧倒的に多い。以前はUNIXでしか得られていなかった可用性や拡張性も,Windowsでより安価に実現できるようになりました。

 好き嫌いを除けば,安くていい方を選ぶのが消費者心理です。例えば,SAP R/3のような非常にクリティカルで,会社の業務の中心になるようなアプリケーションをお客様が使う場合は,その75%がOSにWindowsを選択しています。しかもその6割以上はデータベースとしてSQL Serverを使っているのです。

 以前は,メインフレームやUNIXを使った,一品ものに近いような作りのシステムがたくさんありました。そうしたシステムは構築や保守にかなりの費用がかかります。そこでまずUNIXの世界で,パッケージ・アプリケーションでシステムを作ろうという流れが生まれたのですが,それが今,Windowsに流れてきているように思います。SQL Server 2005はそうした状況のなかで登場しました。


SQL Server 2005の売りは高い可用性と開発ツールとの統合

−−新しいSQL Server 2005は,ミッション・クリティカル領域を狙って可用性の向上に重点を置いていますね。

 データベースに対するお客様の最大の要求は,停止しないことです。データベースの停止には大きく分けて「計画外停止」と「計画停止」の2つがあります。計画外停止はハードウエアやソフトウエアの障害が原因で,意図しないタイミングで起こります。計画停止はサーバーの保守のために日曜日の夜中とかに止めるといったことです。SQL Server 2005では計画外停止と計画停止に対していろいろな機能を提供することで,停止期間を短縮します。

 例えば計画外停止への対策の1つはフェールオーバー・クラスタリングです。これはSQL Server 2000から提供している機能ですが,対応するノード数を増やすとか,セットアップをもっと簡単にして導入しやすくするといった方向で引き続き機能を強化します。もう1つはデータベース・ミラーリングです。これはフェールオーバー・クラスタよりも速いスイッチングが可能で,一方のサーバーが落ちたら非常に短い時間でフェールオーバーがかかるような仕組みも提供しています。

 計画外停止を100%防ぐのは難しいですが,できるだけ停止時間を短くすることは可能です。例えばファースト・リカバリという機能で高速復旧を図りました。復旧したデータベースをオンラインにする処理において,今までは全部復旧させてからオンラインに戻していたものを,戻った順に即オンラインにするように変更しました。つまり復旧が済んだところから次々に利用できるようにしたのです。

 もう1つ,インデクスの再構築など,これまではいったん計画停止が必要だった作業もオンラインのまま処理できるようにしました。

図1 SQL Server 2005はVisual Studio 2005との統合によってITライフサイクルを効率化 [画像のクリックで拡大表示]
   

 このように可用性を追求した結果,メインフレームから移行してくる企業も増えてくるでしょう。この可用性に加え,高い運用性,柔軟性といった点から,UNIXを導入するのではなく,例えば富士通のPRIMEQUESTのようなメインフレーム並みのサーバーとWindows,SQL Serverを組み合わせてリプレースしたらどうですか,と提案していきたいわけです。

 そこで,2005年7月に富士通と共同で「Fujitsu/Microsoft SQL Server技術支援センター」を設立しました。この目的の1つは,お客様の要件をベースにSQL ServerとPRIMEQUESTの組み合わせを検証し,最適なシステム構成を提案することで,信頼性が高く,稼働後も安定したシステムを納入できるようにすることです。

−−SQL Server 2005がVisual Studio 2005と緊密に連動するようになったことも注目されますね。

 それは大きいです。具体的には,Visual Studio 2005においてVisual Basicなどの.NET対応言語を使ってSQL Server 2005のストアド・プロシージャの作成やデバッグ,ビジネス・インテリジェンス機能の利用などが可能です(図1)。この結果,ITライフサイクルの効率化が達成され,経営環境の変化に強いエンタープライズ・システムの構築・運用が可能となります。新しいデザイン・ツールのExpressionなども含め,アプリケーション開発に必要な一連の製品が用意できているのです。





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