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【第5回】

Itanium 2搭載サーバーで始める
「データベース最適化」のすすめ


オープン・システムの一般化により,業務ごとにサーバーを導入するというシステム構築が増えた結果,サーバー乱立による運用管理コスト増大が問題視されるようになった。サーバー乱立は,コスト面だけでなく,企業内の情報連携という意味でも問題がある。これにはデータベース統合が急務だが,これまで,企業内の全データベースを統合するに足る性能と信頼性を最適なコストで提供するIAサーバーが存在しなかった。しかし最近,Itanium 2プロセサを搭載した高性能・高信頼IAサーバーの登場によって,本格的なデータベース統合が可能となってきた。データベース統合は,単なるコスト削減だけでなく,企業内の情報活用や日本版SOX法への対応など,現在の企業システムに存在する問題の根底にかかわり,早急に対応すべき課題である。

 企業システムのオープン化の進展により,新規システムの構築は新たなサーバーの導入という形で行われてきた。この結果,企業内にサーバーが乱立し,データベースも分散してしまった。この背景には,既存システムへの影響を抑えることや障害対策といった事情もあるが,IAサーバーの性能と信頼性の低さを補うための苦肉の策という側面もあった。システムの統一,情報の連携,運用管理,セキュリティなどを考慮すれば,データーベースを分散すべき理由はどこにもない。

 この問題について,富士通 マーケティング本部 PRIMEQUESTビジネス推進室 室長の大森真人氏は,「業務ごとにシステムを導入するケースをよく見かけます。この場合,顧客データなどが個別に管理され,情報連携が行われていません。情報は企業の生命線であり,データベース統合が必要な理由の1つがここにあります」という。データベース統合は単なるコスト削減だけでなく,情報連携による新しい価値創造,企業活動の活性化といった目的のためにあるのだ。


データベース統合は早期着手が肝心

 分散化した企業システムの統合には,いくつかの段階がある。まず,ストレージ統合は比較的リスクが少なく着手は楽である。これに対して,サーバー統合では運用するアプリケーションのチューニングもある程度必要となる。最終目標は,レガシー・マイグレーションも含め,企業内のすべてのアプリケーションを同一のプラットフォーム上へ統合することだ。

 データベース統合では,アプリケーションや基盤となるミドルウエアの統合が必要となり,それなりの労力がかかる。しかし,同じデータベース,同じミドルウェアで開発されているものであれば,データベースという器だけを物理的に統合し,テーブルなどアプリケーションにからむ部分は後から着手するという方法もある。本質的なデータベース統合は,アプリケーションが使うテーブルの集約と集中化であるが,単なる器の統合だけでも,ライセンスの集約による直接的なコスト削減や運用管理コスト削減が可能となる(図1)。このようにして,データベース統合にはできるだけ早期に着手すべきである。

図1 データベース統合はサーバー統合やストレージ統合以上に意義がある
サーバー統合やストレージ統合は,単なるハードウエア刷新に近く,稼働しているシステムへの影響が少ないため,取り組みやすい。これに比べ,データベース統合はアプリケーションに手を加える必要があって簡単に着手できない場合が少なくない。しかし,ミドルウエアを使うことで,異なる種類のデータベースを利用しているアプリケーションでも,データベースの統一は可能である。また,論理テーブルの集約などは先送りして,とりあえずハードウエアだけを統合してしまうという考え方もある。以降のシステム追加は一元管理されたデータベースを基に行うようにすれば,さらなるデータベース・サーバーの乱立を防げるほか,将来必要となる全社的なシステム運用基盤の統合にかかる労力を減らすことが可能となろう。アプリケーション実行の負荷バランスをうまく取れば,統合後は統合前の全体性能以下で運用できる可能性があり,資源の最適化も見込める。さらにデータの集中によって,セキュリティの向上も見込める。データベース統合には,できるだけ早く着手することが肝心である [画像のクリックで拡大表示]

 データベースの分散はセキュリティ面でも問題がある。個別のセキュリティ・ポリシーで運用していると管理労力がかかるだけでなく,アカウント管理の煩雑さが脆弱性を招く場合もある。コンプライアンスの面でも,データベース統合は急務である。「日本版SOX法への対応や内部統制といった面からも,データベースを一元管理したいというお客様の声は大きいのです」(大森氏)。

 企業内では数種類のデータベースやミドルウエアが使われていることも多い。これらの統合は,多大な労力がかかり,簡単には実現できない。ミドルウエアの更新のみで対応できる場合もあるが,無理に全体の統合を急ぐ必要はない。部分的な統合であっても,運用コストやセキュリティ面での効果を期待できる。将来の全社基盤の統合に向け,まず部分的な集約を進めることが現実的な方法である。

 複数のアプリケーションが同一サーバーを利用するようになれば,適切なボトルネック計測なども必要となる。将来の統合を見据えて統合運用管理システムを導入し,現時点での分析を進める。その後,アプリケーション基盤であるデータベースやミドルウエアを統合していく。現在使用しているデータベースやミドルウエアを,将来の統合環境に見合ったものへ刷新することも考慮しておく必要がある。


Itanium 2搭載サーバーがメインフレーム並みの性能・信頼性を提供

 大規模なデータベース統合が可能となったのは,クラスタ構成での分散処理が可能なデータベース管理システムや,大規模SMP(対称型マルチプロセサ)サーバーの登場で,スケールアップ能力が数年前に比べて格段に向上したからである。主記憶の二重化といった信頼性向上技術により,オンメモリーでのデータベース運用も可能となった。現在では,性能面が問題となることはほとんどない。

 大森氏によれば,「お客様の要求は,大きく分けて2つあります。1つは既存のデータベースをスケールアップしたいというもの。もう1つはWindows Serverを高信頼ハードウエアで統合運用したいというものです」という(図2)。これまでのIAサーバーでは,データベース運用に当たって性能や信頼性に不満が多かったことがうかがわれる。

図2 データベース・サーバーにおけるPRIMEQUESTの運用例
企業ユーザーの要望として,(a)現在運用しているデータベースのレスポンスを改善したい,(b)分散したWindowsサーバーをより信頼性の高い環境で統合したい−−という2つがよく聞かれる。データベースは負荷が高いため,メモリー増設やCPU追加といった単体での高いスケールアップ能力が求められるが,これに適した現実的なIAサーバーはItanium 2搭載のハイエンド機となる。一方,Windowsサーバーについては,高信頼サーバーへ集約することで,クラスタリング構成をとらなくとも無停止運用が可能となり,統合・集約によるソフトウエア・ライセンス削減など直接的なコスト削減も可能となる。特に32ビット環境から64ビット環境への移行では,レスポンスの劇的な改善が期待され,統合により全体の性能改善,資源の最適化によるコスト効果も期待できる  [画像のクリックで拡大表示]

 データベース・アプリケーションは,主記憶容量が性能を大きく左右するため,32ビットのIAサーバーでは十分な性能が得られないという問題があった。例えば,Xeonプロセサ搭載サーバーは,Webやアプリケーション・サーバーとして利用する場合は十分な性能を発揮するが,大規模データベースを運用する場合,4CPU以上のSMP構成では2次キャッシュなどの問題でCPUを追加しても十分な性能を得られない傾向がある。

 これに対してItanium 2プロセサ搭載サーバーでは,このような問題は起こらず,CPUを追加した分だけリニアに性能が向上する特徴がある。「例えば,UNIXサーバーのデータベースをItanium 2搭載サーバー(PRIMEQUEST)の64ビット・データベースに移行した結果,データベースのローディング時間が数分の1に短縮できたというケースもあります」(大森氏)。Itanium 2搭載サーバーは,データベース運用に最適といえる。

 一方,Windows Serverを堅牢なハードウエアで統合運用したいという要求には,クラスタリングやミラーリングで対応することも可能だが,誤作動によるデータ破壊を防ぐには,このようなソフトウエアによる信頼性向上策では完璧といえない。サーバー単体での絶対的な信頼性が必要となり,内部エラーの検出/訂正/再試行といった強固な機構が不可欠となる。Linuxのようなオープン・ソースのOSであれば,OSに手を加えてハード/ソフトの協調で信頼性を上げることも可能であるが,Windows Serverの場合はこのような手法は使えない。ハード側に独立したエラー検出/訂正/再試行などの機構を組み込むしかない。

 「PRIMEQUESTは,ハードウエアとファームウエアのレベルで高い信頼性を確保しています。したがって,その上で動作するOSがWindows ServerでもLinuxでも,OS自体に問題がない限り,無停止運用が可能です」(大森氏)。次期Windows Serverでは,OS側にも信頼性向上のための検出機構などが組み込まれる見込みで,さらに安定した運用が可能となるだろう。また,Windows SharePoint Servicesの次期バージョンは,文書やメッセージなど,従来データベースで管理していなかった膨大な情報をSQL Serverで一元管理する見込み。これで日本版SOX法対策や内部統制強化といった方面での利用も進むと思われる。Windows Serverで大容量データベースを安全に運用できる環境が必須となり,そのインフラとしてItanium 2ベースの高機能SMPサーバーは期待できる。


ミッション・クリティカル分野へもIAサーバーが進出

 最近のIAサーバーは,性能と信頼性の向上によって以前は考えられなかった規模の分野での利用が進んでいる。例えば,大規模な店舗展開を行う小売業や金融機関など,トランザクション性能が求められる分野でもIAサーバーで対応可能となってきている(図3)。

図3 メインフレームの独壇場だったリアルタイム情報分析などにもIAサーバーが使われ始めている
多数の店舗からの売り上げ情報などを蓄積してリアルタイムで分析するには,キューブ作成のために,高いプロセサ性能と大量のメモリーが必須となる。このため,従来はデータ・ウエアハウスのような大規模データベースの運用はメインフレームの独壇場だった。しかし,現在では広大なメモリー領域にデータを常駐させるオンメモリ・データベースなどの手法によって,IAサーバーでも運用されるようになっている。この図の例では,あらかじめデータ・ウエアハウス側のデータを集約し,アプリケーションへの最適化を行ったデータ・マートとして利用するといったチューニングを行っている。これはコストと性能をうまくバランスさせるためである。大きなコストをかけずに,OLAP(オンライン分析処理)やDSS(意思決定支援システム)などの高負荷アプリケーションが利用できるようになれば,企業内の情報連携が可能となり,より正確な経営判断が可能となるであろう  [画像のクリックで拡大表示]

 特に,OLAP(オンライン分析処理)など検索処理に高性能が求められる用途には,データを主記憶上に展開して運用するオンメモリー・データベースが必須となる。このような使い方は,メインフレーム並みの信頼性がなければ不可能である。性能面で問題が出た場合,Webやアプリケーション・サーバーなどでは台数を増やすスケールアウト型で対応が可能だが,データベースはサーバー単体が高性能でないと対応できない。

 「スケールアウトで対応可能な部分はブレード・サーバーで対応するとしても,バックエンドのデータベースはやはりPRIMEQUESTのようなハイエンド機が必要となります。個別のチューニングも必要になりますが,PRIMEQUESTはオンライン処理の応答時間やバッチ処理の待ち時間など,お客様の厳しい要件をクリアできています」(大森氏)。リアルタイムで売り上げ動向解析を行うといった高負荷アプリケーションは,以前はメインフレーム以外では実現できなかったが,高信頼性とスケールアップ能力を持つItanium 2搭載サーバーの登場でIAサーバーでも可能となったのである。






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