──アルバネットワークスが提供するソリューションのコンセプトは。
一口で言うと,セキュリティ&モビリティだ。ビジネスパーソンは,出張先,自宅,パートナー企業のオフィスなどさまざまな場所で仕事をする。その活動のためにはモビリティが不可欠だ。一方,どこにいてもオフィスと同じ感覚で安心してネットワークを利用できるようにするには,セキュリティへの配慮が欠かせない。仕事で使う以上,セキュアなネットワーク環境を担保することは重要だ。
大切なのは,モビリティとセキュリティのバランスをとること。ユーザー企業は,使い勝手のためにセキュリティを犠牲にするわけにはいかないし,セキュリティを強化することでモビリティを損なうことも避けたいはずだ。だから,どこにいても,オフィス内と同程度のセキュリティ・レベル,使い勝手を実現できるような仕組みを提供しようとしている。
──「リモートAP」がそれだと。
そうだ。無線LANアクセス・ポイントを自宅のブロードバンド環境に接続すれば,そこがセキュアなネットワークを備えたオフィスになる。エンドユーザーはほとんど手間をかけずに接続できる。
最近よく,BCP(business continuity plan,事業継続計画)という言葉が使われているが,それは大抵,データ・センターの二重化やWANの二重化のことしか言っていない。もちろん企業にとっては重要なことだが,エンドユーザーの利用環境が整わなければ意味がない。
災害が発生したとき,データはバックアップされているかもしれないが,実際に仕事をする人はどうすればいいのか。社外で仕事をしなければならないこともあるだろう。ビジネスを継続するためには,自宅などから本社のLANと全く同じセキュアな形で必要なデータにリアルタイムにアクセスできることが望ましい。
──一般的なVPNとは何が違うのか。
VPNには制約がある。パソコンにクライアント・ソフトをインストールしなければならないし,設定作業も必要だ。一般の人がこうした作業をするのは簡単ではない。
これに対してリモートAPは,こうした設定の手間はかからない。APを自宅に持ち帰り,それをブロードバンド・ルーターなどにLANケーブルでつなぐだけで済む。無線IP電話であれノート・パソコンであれ,50秒で社内と同じように使えるようになる。その場にITのスキルを持った人は一切いらない。これこそが実際のユーザーの立場に立ったBCPだと考えている。
これまでのネットワークは“ポート”という固定化されたところからセキュリティやモビリティを考えていた。こうしたパラダイムから脱皮して,“ユーザー・セントリック”にしなければならない。人がネットワークのあるところに行くのではなく,人が行ったところにネットワークが付いていく。「ネットワーク・マスト・フォロー(Network must follow)」という発想だ。
もちろん,当社の製品だけですべての基準を満たせるわけではない。そこで,自社だけのソリューションではなく他社との連携を進めている。モビリティ・コントローラは他社の検疫システムや認証サーバーなどとの連携を既に実現しており,API(application programming interface)も公開している。企業が独自に作った認証システムなどとも連携が可能だ。
──リモートAPの導入状況は。
米国では既にいくつか事例がある。例えばある金融系の企業は数千ユーザー規模でリモートAPを導入している。目的はBCPだ。
日本では今のところ,リモートAPより無線LAN経由でのVoIPのために当社のソリューションを導入している例が多い。ただ,日本でもワークスタイル変革の動きは盛ん。今後はリモートAPの需要が伸びてくると見ている。