米BMCソフトウェアのジム・グラント副社長に聞く

ジム・グラント氏
米BMCソフトウェア 副社長

 BMCソフトウェアは、ITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)に準拠したITサービス管理ツールの新版「BMC Remedy IT Service Management(ITSM) v7.0」を2006年12月1日から出荷する。来日した米BMCソフトウェア、エンタープライズサービスマネジメント事業部担当の副社長兼ゼネラルマネジャー、ジム・グラント氏に、ITIL関連ビジネスの動向や日本での販売戦略などを聞いた。

問 日本のITIL導入は欧米に比べて遅れている。

 従来、マネジメント分野で最もコストがかけられていたのはインフラストラクチャ、つまりシステムの管理だった。そこに、ビジネスに直結するITサービスをいかに管理するかというプロセスマネジメントの要求が生まれ、ITILの登場によって、システムとサービスの管理の融合が起こった。当社のITSM製品は、システムとITサービス、ビジネスの3者をつなげる「ビジネス・サービス・マネジメント」を実現する。

 ITILの普及が最も進んでいる欧州では、5~6年前からプロセスマネジメントを重視するようになった。日本のIT組織は当時、テクノロジーを重視する傾向があったが、今やITILの考え方が浸透し、欧米市場と変わらない状況に追い付いてきた。我々にとっては待ちに待ったビジネスチャンス。日本は非常に重要な市場だ。

問 間もなく施行される日本版SOX法の影響をどうみる。

 米国では、SOX法の導入が上場企業に大きな影響を与えた。システムの不具合は内部統制上の問題につながるため、監査人はシステムの変更管理状況をチェックする。変更管理プロセスの証跡管理には、ITSMのようなアプリケーションが必要になることが分かったのだ。ITSMは、時間のかかる変更管理などのプロセス整備を効率化できる上、いったん整備したプロセスを変えていく二次的な需要にも対応できる。SOX法を契機に5~10年にわたって、その市場は拡大する。

問 日本市場での販売戦略は。

 ITSM v7.0のターゲットは、中堅以上の企業ユーザーや、顧客企業にアウトソーシングを提供するソリューションプロバイダ。ユーザー企業ごとの組織要件や業務プロセス要件の違いに柔軟に対応できるため、アウトソーサーは顧客のニーズに合わせて管理サービスをデザインできる。

 コベルコシステムやJALインフォテック、CSIソリューションズといった、ITSM分野での新たなパートナーが増えている。また、ITILに準拠するサービスマネジメントの導入では、製品を売り込むよりも、アセスメントやプロセス設計のコンサルティングが重要になる。日本でも、プロシードやエクセディアといったコンサルティングパートナーとの協業に力を入れている。

 ITSM分野の市場の成長率は、ワールドワイドで7~9%といわれている。当社は、その倍の成長を達成している。日本市場は世界市場よりも伸びが大きく、市場全体では少なくとも10%の成長が見込める。だが日本における当社の売り上げは、その約2倍の20%程度を見込んでいる。