Part6では,グラフィックスチップがディスプレイに送っている信号やグラフィックスチップの描画機能について具体的に見ていこう。
まず、Gチップがディスプレイに送っているビデオ信号について解説しよう。これはCRTでも液晶でもディスプレイのインタフェース(アナログ/デジタル)によって異なるが、アナログCRTの例を図1に示した。
Gメモリーの内容はデジタルデータである。これを、アナログ接続のCRTディスプレイにそのまま送信することはできない。このため、Gチップは、デジタル信号をアナログ信号に変換するための「RAMDAC」(RAM Digital to Analog Converter)を内蔵している。通常は、Gメモリーの内容が「アナログRGB信号」として送られる。
GチップはこのアナログRGB信号と一緒に、表示するタイミングを決める「垂直同期信号」と「水平同期信号」もCRTディスプレイに送っている。垂直同期信号とは「画面のプロパティ」(図2)で表示される「リフレッシュレート」のことだ。周波数で表され、通常は60~70Hzほどで、周波数が高い方が画面がちらつかない。一方の水平同期信号は、30k~40数kHz程度となっている。
これらが何を意味するのかを図解したのが図3だ。実は画面は左上から水平方向に1行ずつ、右下隅まで高速に書き換えられているのだ。この書き換えのタイミングを決めているのが垂直同期信号と水平同期信号だ。図3は垂直同期信号、すなわちリフレッシュレートが60Hzの場合を例にしている。周波数が60Hzとは、1秒間に60回画面を書き換えることを意味する。1画面が60分の1秒だから、書き換えていることは人間の目では分からない(残像現象で1画面として見える)。そして、水平方向に書き換えていく速度が水平同期信号だ。例えばこれが30kHzの場合、3万分の1秒で1行を書き換える。
デジタル接続の液晶ディスプレイの場合は、デジタルのRGB信号と、信号のどこまでが1画素かを区切るための信号のみを送っている。垂直同期信号や水平同期信号は、液晶ディスプレイ側で決まることになる。