Part4では,ハードディスクのカタログスペックの読み方や大容量化技術など,ハードディスク性能を決める要素について見ていこう。
HDDコントローラーは、セクターと呼ばれる単位でディスクを読み書きする(図1)。セクターはトラックを分割した記録単位で、一つひとつに識別番号(アドレス)が割り当てられている。1セクターの容量は512バイト。なお各トラックも外側から内側に向かって、トラック番号で区別される。
セクターを指定するのに、以前はシリンダー番号、ヘッド番号、セクター番号が使われていた(CHS方式)。シリンダー(円筒)とは各ディスクで同じトラック番号のトラックを総称したものだ。しかし、最近のHDDでは物理構造に関係なく、すべてのセクターに通し番号をつけてアクセスをするLBA(Logical Block Address)方式が一般的である。
従来のLBAではアドレス(セクター)指定に28ビットの値を使うため、HDDの最大記録容量は512バイト×2の28乗で、約137GBだったが、2001年6月には米マックストアからアドレスの指定に48ビットを使う規格が発表された(48bit LBA)。この規格では最大で約144PB(ぺタバイト、1PBは約100万GB)のHDDを実現できる。
カタログスペックの読み方
ここで、カタログや雑誌などでよく見かけるHDDのスペックについて解説しよう。HDDの読み出しでは、目的のセクターがあるトラックにヘッドを移動し、そのトラックからデータを読み出し、パソコンに転送する(図2)。ヘッドの移動速度が速いほど良い。その目安となるのが平均シーク時間だ。これは隣接するトラックから始めて2本隣、3本隣、…最も離れたトラックまでの移動時間を計測した平均値だ。だいたい数mから10数ms(ミリ秒)の値になる。
ディスクの回転速度は、「7200rpm(回転/分)」などと1分当たりの回転数で表される。この数字が大きいほど、目的のセクターがヘッドの下に来る時間やデータの読み出し時間が短い。
内部転送速度はディスクからバッファーメモリーに読み込むまでの速度。このほか、バッファーからメインメモリーへ転送するインタフェースの速度もポイントとなる。UltraATA 100(100MB/秒)やSATA(150MB/秒)などがある。