Part2では,5年ぶりに登場した新しいWindowsであるWindows Vistaの主要な特徴を解説していこう。Windows XPからの重要な変更点は,ユーザーインタフェース(UI)の刷新と,検索機能の充実,そしてセキュリティの向上だ。
ここからは,マイクロソフトの新しいOS,Windows Vistaについて見ていこう。
Windows Vistaは,マイクロソフトが2006年11月に企業向けに,2007年1月にコンシューマー向けにリリースしたOSである。Windows Vistaには5つのエディションがある。パッケージ版は「Windows Vista Home Basic」「同Home Premium」「同Business」「同Ultimate」の4エディション。「同Enterprise」は企業向けライセンス「Microsoft Software Assurance」「Microsoft Enterprise Agreement」を通じてのみ購入できる。
デスクトップ向けのWindowsがフルモデルチェンジしたのは,2001年のWindows XP以来およそ5年ぶり(図1)。ここでは,Windows Vistaの主要な特徴を解説してみたい。
まず,Windows Vistaの基本情報について整理しておこう。Windows Vistaは,「Longhorn」という開発コード名で開発が続けられてきたOSである。Windows XPの後継に当たる。Longhornの噂は,Windows XP発売直後から聞かれ始めていた。当初は2003年に発売予定との見通しも示されていたが,開発の遅れなどからたびたび開発計画やスケジュールが変更された。
では,Windows XPと比べてVistaはどのように変化したのか。特に重要な変更点を挙げるとすれば,次の3つになるだろう。ユーザーインタフェース(UI)の刷新と,検索機能の充実,そしてセキュリティの向上だ(表1)。
ユーザーの目には触れにくいが,Windows Vista内部の構造も変わった。特に重要なのが「.NET Framework 3.O(旧称WinFX)」というAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)を用意したことだ。
APIとは,OSがその上で動くアプリケーションに提供する機能のこと。.NET Framework 3.Oでは,OSの基本となるサービスの上に,大きく3つの新機能を用意している。例えば「プレゼンテーション」機能を使えば,3次元の表現を簡単に実現できる(図2)。
ユーザーインタフェース--透明感のある立体的な描画が特徴
Windows Vistaの最大の特徴はWindows XPと比べて大幅に視覚効果を高め,操作性を改善したユーザーインタフェースだ。
画面の基本構成はWindows XPとさほど変わらない。デスクトップには初期設定でゴミ箱だけが置かれ,左下に位置する「スタート」ボタンを押すと現れるメニューから,各種アプリケーションやフォルダーにアクセスできるというのはXPと同じだ(図3)。
ただし,XPに比べて見栄えがいいことは確か。Vistaでは新しいユーザーインタフェース「Aero(エアロ)」を採用している。ガラスのような光沢と透明感を持った表現が特徴だ。複数のウインドウやスタートメニューを重ねると,後ろの画面が透けて見える(Aeroグラス)。さらに画面の動作にはアニメーションが多用されている。例えばウインドウをタスクバーから開く際には飛び出すような動きを伴うといった具合だ。
一部には3Dの表現が取り入れられている。[Windows]キー(旗印のキー)と[Tab]キーを一緒に押すと開いているウインドウが3D表示される(Windows フリップ 3D,図4)。さらに[Tab]キーを押すごとに順序が入れ替わり,[Windows]キーを離すと最前面のアプリを選択できる。スタートボタンの右隣にあるボタンでも起動可能だ。