編集者のお薦め
 ソフトウエア開発者になるための基礎知識 日経コンピュータ 副編集長
(元・日経ソフトウエア編集長)
田中 淳

 この文章をお読みの皆さんは,どのようなソフトウエア開発者を目指しているのでしょうか。きっと,その目標は一人ひとり異なると思います。

 ソフトウエア開発者と一言でいっても,プログラマやSE(システム・エンジニア),ITアーキテクトなど様々な職種があります。対象とする分野も,企業で使う基幹系や情報共有のためのアプリケーション,ミドルウエアのような情報システムのインフラ部分,さらに自動車や家電,携帯電話などで使われる組み込み系のソフトウエアなど,多岐にわたっているのはご存知の通りです。

 ただ,どの分野のソフトウエア開発者を目指しているのであれ,共通していることがあります。「プログラミング言語の知識を最低限,身につけておかなければならない」というのが,それです。

 「自分は直接,プログラム開発を担当するわけではないので,知らなくてもいいのでは?」と思う方がいるかもしれません。しかし,最終的にソフトウエアはプログラムとなって動きます。ソフトウエアがどのようにプログラムとして実現されるのか,それがどう動くのかを知っておくことは,ソフトウエア開発者にとって必須といえるでしょう。「知らない」ことに対して,適切な対応をとることはできないからです。たとえプログラムが書けなくても,何が書いてあるかを読めるくらいの知識は習得しておきたいところです。

 そこでこのカリキュラムでは,最近のソフトウエア開発(特にWebアプリケーション開発)で用いられる言語を中心に,ソフトウエア開発者が知っておくべき知識を適切に学べるように企画しました。

 最初に学習すべきなのがC言語でしょう。プログラムとはどのようなもので,コンピュータの機能をどう引き出そうとしているのかを理解するには,Cを学ぶのが一番の早道だからです。多くのプログラミング言語が,Cの系譜にあることも見逃せません。

 C言語を学んだら,Java言語,PerlやRubyなどの軽量言語(Lightweight language),そしてC#言語にトライしてみましょう。今どきのソフトウエア開発では,一つの言語を習得すれば十分というわけにはいきません。アプリケーション開発に利用されるプログラミング言語の種類が増えているからです。主に軽量言語を使うWebプログラミングでは,その傾向が特に顕著です。ソフトウエア開発者としてこれから活躍するために,できるだけ多くのプログラミング言語を学習しておくことが求められるようになっているのです。まずは,「いろんな言語を楽しんでみよう」くらいの感覚で気楽に接してみてください。

 プログラミング言語のほかにデータベースやWeb,テストなど,実に多くの知識を理解しておかなくてはならないことが,現代のソフトウエア開発者にとって大きな悩みとなっています。特に職業としてソフトウエア開発を行っていくのであれば,データベースとWeb開発の知識は必要です。この機会に,ぜひ学んでおきましょう。

 ここまで習得したら,もう一息です。ぜひ,ソフトウエア・テストのやり方も理解しておきましょう。企業で使う場合でも,個人の楽しみに使うのであったとしても,ソフトウエアでは「品質」がとても重要です。ソフトウエア開発では,どうしても不具合の発生を避けられません。だからこそ,テストをきっちりとやることが重要になります。もう一つ,テストを含めた開発プロセスも紹介しておきます。

 このITエンジニア必修100講座に取り上げていないプログラミング言語として,PHP(PHP:Hypertext Preprocessor)やVisual Basicなどがあります。これらの言語については本カリキュラムを終了後,ITpro Developmentで継続して学習することを推奨します。では,ソフトウエア開発者になる皆さんのご活躍を期待します!

講座 No タイトル
017 プログラミング入門
020 Cプログラミング入門
018 オブジェクト指向プログラミングを基本から理解する
019 Javaプログラミング入門
022 JavaScriptがズバリ分かる
024 Perlの基礎を学ぶ
023 Rubyプログラミング最初の一歩
021 C#で学ぶ.NETプログラミング
047 SQLの基本とRDBMSのアーキテクチャ
025 Webアプリケーション開発の勘所
026 ソフトウエア・テストの基本を学ぼう
027 テストの実践手法を理解する
010 アジャイルをゼロから学ぶ

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