編集者のお薦め | ||
ITアーキテクトに必要な基礎を学ぶ17講座 | 日経SYSTEMS 編集長 杉山 裕幸 |
将来はITアーキテクトになりたい,というエンジニアの方が増えています。複線化したキャリアパスの中で,マネジメント職ではなく生涯にわたってエンジニアとして活躍できる職種――それが,ITアーキテクトです。ここにきて,社内にITアーキテクトという職種を置く企業も相次いでいます。複雑化する一方のシステム開発において,それだけITアーキテクトの必要性と重要性が増すとともに,魅力ある職種との認識が広がってきたからでしょう。
では,ITアーキテクトとは何でしょうか。実は定義はいろいろあって,明確にひとことで言えません。IPA(情報処理推進機構)のITスキル標準センターがITアーキテクトの定義をまとめていますが,“公式見解”だけにやや難解,抽象的であり,現実世界で何をするのかが分かりにくくなっています。そこで,大まかに言ってしまえば,ITアーキテクトは「ビジネスの要求に基づき,そのソリューションとしての情報システムの構造や実装方式を,全体最適の視点で決定する専門職」となります。
具体的な仕事としては,これはあくまで一例ですが,まずビジネスの要求をモデリングによって抽象化し,それを実現するためのアーキテクチャを設計します。実装方式を決めるに当たっては,ハードウエア,ソフトウエア,ネットワークの最適な組み合わせを考えます。特定の技術や製品に偏らず,ニュートラルな視点でシステムを設計することが必要です。
つまり,ITアーキテクトになるには,特定の技術や製品に強いだけではだめで,幅広い知識と視野,スキルが求められます。以前は,上級SEやコンサルタント,プロジェクト・マネージャなどがこうした仕事も手がけていましたが,情報システムが高度化・複雑化するにつれて,専門のITアーキテクトを置かなければとてもプロジェクトをこなせなくなってきました。結果として個別最適で開発してしまい,つぎはぎだらけのシステムになって後悔するケースが増えています。ITアーキテクトに対するニーズは,最初に述べたとおり,こうしてますます高まっているのです。
以下では,ITアーキテクトを目指してみようという方に,最低限必要な基礎を学ぶカリキュラムをご用意しました。分野で言えば,「要求定義・設計と開発手法」を中心に,「プラットフォーム/運用」「ネットワーク」「セキュリティ」「マネジメント/ガバナンス」から合計17講座を選んでいます。ぜひチャレンジしてみてください。皆さんのスキルアップ,キャリアアップに少しでもお役に立てれば幸いです。
講座 No | タイトル |
017 | プログラミング入門 |
001 | 情報工学入門 |
007 | SWEBOKで学ぶソフトウエア・エンジニアリング |
008 | 開発プロセスの基本を学ぶ |
012 | 要求定義の基本を知る |
028 | ビジネスモデリングの基礎 |
011 | UMLモデリングの基礎 |
013 | 基本設計の基礎 |
015 | オブジェクト指向分析・設計の基本 |
016 | システム基盤設計の基礎 |
050 | サーバーの歴史とアーキテクチャ |
047 | SQLの基本とRDBMSのアーキテクチャ |
056 | Webアクセスの仕組み |
064 | LANとIPの関係を理解しよう |
088 | セキュリティ・ホールの種類と危険性を知る |
093 | PMBOKで学ぶプロジェクトマネジメントの基本 |
098 | EA(Enterprise Architecture)を学ぶ |