Part2では,コンビニエンス・ストア(CVS)の屋台骨を支える物流体制と情報システムについて解説しよう。店舗からの注文を受けて,仕入先が製造した商品が共同配送センターを経て,店舗に納品されるまでの業務とシステムが対象である。

 Part1で解説したように,コンビニエンス・ストア(CVS)では商品が目まぐるしく入れ替わっている。次々に新商品が投入される一方,販売中止になる商品も多いからだ。これは今日来店した顧客に,「明日も来店したい」と思わせて来店頻度を上げるためであり,「顧客のニーズに合った品揃え」をするためでもある。

 CVSに新商品が次々に並ぶことは,来店客からすれば「もはや当たり前のこと」だろう。だが,これは膨大な新商品をスピーディに開発できる体制に加えて,多頻度・多品種・少量の商品配送を可能にする「物流体制」がなければ,とても実現はできないサービスである。

 そこでPart2では,食品メーカーや卸店といった「仕入先」,仕入先からの商品を集めて店舗に配送する拠点である「共同配送センター」(以下共配センター),そして各地の「CVS店舗」の3者をカバーする物流体制とそれを支える情報システムの概略について,店舗の発注を出発点に見ていくことにする。図1に示したとおり,取引先から共配センターを経て店舗に至るモノの流れは,すべて店舗の発注が起点になっている。

図1●CVSにおける物流の概要
図1●CVSにおける物流の概要
店舗からの発注データを起点として仕入先,共配センターが商品を製造・配送し店舗へ届けていく

本部がエラーチェックを実施

 店舗のオーナーやアルバイト店員が発注端末から入力した発注データは,CVS本部の「発注システム」を経由して仕入先に送信されている。この際,単に発注データを集めて仕入先に送信しているのではなく,発注データに関する「エラーチェック」や伝票番号の付番といった処理も同時に実施している(図2)。

図2●CVSにおける発注データの流れ<br>店舗からの発注データは本部で様々なデータに加工され利用されていく
図2●CVSにおける発注データの流れ
店舗からの発注データは本部で様々なデータに加工され利用されていく
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 ここで言うエラーチェックとは,店舗からの発注データを「商品マスター」や「店舗マスター」,「仕入先マスター」などのマスター・データと照合することである。CVS業界では商品や店舗,仕入先が,他業種では考えられないほど入れ替わる。このため「すでに販売中止になった商品を発注してしまう」といったエラーを避けるために,各種のマスター・データとの照合が不可欠になるのだ。

 一方の「伝票番号の付番」とは,発注データを仕入先ごとに分けた上で,A店の「001」,「002」といった形の番号を割り振ることを指す。発注データを仕入先別,店舗別の番号で管理することにより,発注データを後に店舗が実施する「検品用データ」として再利用できるようになる。