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ストレージの基本をきっちり把握する

Part1 ハードディスク・ドライブの内部構造

吉岡 雄 サン・マイクロシステムズ 2007/01/11 日経SYSTEMS
出典:日経システム構築 2005年3月号138ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧

ハードディスク・ドライブ(HDD)はストレージの代表格である。入出力性能を重視したハイエンド・モデルから,価格重視の大容量コンシューマ向けローエンド・モデルまで,HDDには様々な種類がある。HDDを選択するときの主なポイントは,(1)容量(記録密度),(2)入出力性能,(3)信頼性――である。これらの意味するところは意外に奥深い。そこで,この三つのポイントを理解する上で不可欠となるHDDの基本的な内部構造と,HDDの特性を理解する上で重要なスペックの意味を解説していく。

 初めに,HDDの基本的な内部構造と各部の名称を押さえておこう(図1)。データは回転する「ディスク」の上に記録され,それを読み取る(あるいは書き込む)のは「磁気ヘッド」である。磁気ヘッドは「アーム」の先に取り付けられ,アームには磁気ヘッドを適度にディスク面に押し当てる「サスペンション」が付いている。磁気ヘッド,サスペンション,アームの三つが一体化された「ヘッド・アセンブリ」が円弧を描くように走査(シーク)して,先端の磁気ヘッドがディスク上のデータにアクセスする。

図1●ハードディスク・ドライブの内部構造
図1●ハードディスク・ドライブの内部構造
ヘッド,サスペンション,アームが一体化したヘッド・アセンブリがディスク上をシークすることで,データを記録したり,読み取ったりする。写真はノートPC向けのHDD

 HDDを横から見ると,実は数枚のディスクが積み重ねられていることが多い。これに合わせてヘッド・アセンブリも積み重ねられ,複数のディスクの間にくし状に挿入されている。ヘッド・アセンブリとロータリー・アクチュエータを合わせた形状が文字の「E」に似ているため,ヘッド・アセンブリを「Eブロック」と呼ぶこともある。

 ディスクが回転すると,その表面には回転方向に空気流が生まれる。磁気ヘッドはこの空気流に乗ってディスク面からごくわずかに浮上し,磁気信号をディスクに記録する。ディスクの両面には磁性層膜が形成され,この層の上にヘッドがデータに応じた磁化のパターン(N極とS極の配列)を記録する。記録されたデータを読み込むには,ヘッドで磁性層膜上に記録された磁化のパターンから磁界を検出し,データを再生する。

 ディスクを回転させるのは「スピンドル・モーター」である。HDDには,使用目的によって多様な回転数のものが存在する。一般に,回転数が高いHDDほど高性能かつ高機能であり,回転数は年々高速化する傾向にある。こうした基本構造を押さえた上で,容量(記録密度),入出力性能,信頼性を支える要素を見ていく。

◆ポイント(1):容量(記録密度)

 記録密度(あるいは面記録密度)は,1平方インチのディスク面に記録できるデータの容量を示している(図2)。単位はビット/平方インチだ。記録密度は,ディスク面上の円周方向1インチに記録できるビット数と,同心円状に広がる帯(トラック)が1インチ当たり何本あるかを掛け合わせて計算する。前者は「線記録密度」と呼び,単位はBPI(Bits Per Inch)。後者は「トラック密度」と呼び,単位はTPI(Tracks Per Inch)で表す。

図2●記録密度の考え
図2●記録密度の考え
線記録密度(BPI)とトラック密度(TPI)を掛け合わせたものが記録密度となる

 大容量HDDでは,線記録密度が90万BPI以上,トラック密度が14万TPI以上ある。線記録密度はデータの入出力性能や信頼性にも影響するので注目してもらいたい。線記録密度やトラック密度の数値がカタログなどに記載されていない場合は,1枚のディスク(プラッタ)当たりの記録容量を参考にするとよい。

セクター単位でデータを記録

 トラック上に記録されるデータは,「セクター」と呼ばれる単位で書き込まれる(図3)。一つのセクターに書き込めるデータ・サイズは,たいてい512バイトに固定されていることがほとんどで,それ以上に大きいデータは複数のセクターに分けて書き込む。

図3●HDDのセクター
図3●HDDのセクター
トラック上に記録されるデータはセクター単位で書き込まれる。1つのセクターにユーザーが書き込めるデータ・サイズは512バイト。通常,管理する際は,セクター単位ではなく,連続するいくつかのセクターをまとめた「クラスタ」を単位とする

 各セクターにはユーザー・データ以外に,転送データの誤りを検査するCRC(Cyclic Redundancy Check)やメモリーのエラーを訂正するECC(Error Check and Correct),同期のためのギャップなどが含まれる。さらにヘッドの位置を決めるためのサーボ・フィールドが各セクターの先頭や間に入ることがある。

 このセクターの数を増やすことでもHDDの記録容量は増える。ディスクの内周と外周のどのトラック上でも同一のセクター数にしていると,最内周のセクターには本来の線記録密度通りにデータが記録されるが,最外周では本来の線記録密度より低い密度でデータが記録される。これでは効率が悪い。

 そこで,外周側のセクター数を内周側のセクター数よりも多くすることで,できるだけ線記録密度を均一化するようになっている(図4)。ディスク上のトラックを同心円状にいくつかの領域(ゾーン)に分け,外周に近いゾーンほど1トラック当たりのセクター数を増やした。この記録方式を「定記録密度方式」と呼ぶ。

図4●外周に近いゾーンほどセクター数を増やして大容量化
図4●外周に近いゾーンほどセクター数を増やして大容量化
ディスクの外周側と内周側でセクタ-数を変化させ,記録密度の均一化を図る定記録密度(Constant Density Recording)方式では,ディスク面をいくつかの領域(ゾーン)に分けて,それぞれのゾーン内のセクター数を変え,内周側と外周側での線記録密度を一定に保つ。その結果,外周側のセクター数が内周側より多くなる

記録密度の上昇に合わせ,信頼性の確保に工夫

 記録密度が高くなるにつれ,ディスク上にS極とN極の磁気信号が微細に記録されていくことになり,信号は次第に微弱になる。その微弱な信号を読むため,ヘッドとディスクの間隔をできるだけ接近させている。

 ヘッドとディスク間の距離(ヘッドの浮上量)は10nm(ナノ・メートル,1nmは100万分の1mm)程度である。これはタバコの煙の粒子(直径200nm~500nm)よりも,はるかに小さな隙間といえる。そのため,ディスク面の平滑度は非常に高い精度が求められる。ディスク面上の突起にヘッドが衝突すると,衝突時の熱によってノイズが発生し,データの読み取りを誤ることがある。HDDは検出回路や補正回路を用いて,この読み取りの誤動作を防いでいるが,記録密度の上昇は性能や信頼性にも大きく影響を与えていることが分かる。

 高記録密度で記録された信号は,再生波形の強度減少やピーク位置のずれを引き起こし,信号再生に悪影響を及ぼす。このため,PRML(Partial Response Maximum Likelihood)という信号処理を採用し,高記録密度の信号再生の精度を高めている。この技術は,HDDのみではなく,テープストレージなどにも採用されている。

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