Part3では,業務目的を果たす作業の一連の流れに着目して,業務概要を把握しました。Part4では,業務をプロセスに分割して,正確に業務を把握します。その際には,業務における作業の独立性と並行性に着目します。

 Part3は,対象とする業務の範囲を業務コンテキスト図で可視化する演習と,業務の概要を業務フロー図で可視化する演習でした。

 Part4では,対象とする業務を正確に把握するために,Part3で作成した「業務フロー図」をプロセスに分割して洗練します。そして,それに合わせて「業務コンテキスト図」を洗練します(図1)。Part3でも述べましたが,モデリングのスキルを磨くために,実際に自分で手を動かしながら,モデルを作成してください。

図1●Part3の演習内容とPart4の演習の流れ
図1●Part3の演習内容とPart4の演習の流れ
Part4の内容は,Part3で可視化した業務フロー図と業務コンテキスト図を洗練する演習です。演習ではPart3で作成した業務フロー図を洗練したあと,これをもとに業務コンテキスト図を洗練していくことにします

業務をプロセスに分割する

 Part4の1つ目の演習は,業務フローを洗練することです。洗練の要点は,複数のプロセスに分割することと,作業の並行性を明確にすることです。まずは,複数のプロセスに分割することについて説明します。

 Part3の演習では,業務の最も基本的な作業の一連の流れとして,業務概要を「業務フロー図」で可視化しました。業務の概要を把握するためには,一連の流れが見えることが重要です。例えば,中古車販売業務のサンプル(図2)では,お客様の「中古車の購入を希望する」から「中古車を受領する」までの一連の流れが可視化されています。一連の流れが見えることで,概要を把握しやすいことが分かるでしょう。

図2●業務フロー図のサンプル
図2●業務フロー図のサンプル
Part3で,サンプルとして説明した中古車販売業務の業務フロー図を再掲します

 しかし,その一連の流れは,あくまでも業務の概要を大まかに表現したものにすぎず,必ずしも実際の業務を細部まで表現したものとは言えません。

 中古車販売業務の例では,中古車を受注してから代金を請求するまでの間に,別件の中古車を受注することがあります。また,代金を請求してから納車するまでの間に,別件の代金を請求することもあります。つまり,(1)お客様の「中古車の購入を希望する」から在庫管理担当の「在庫を引き当てる」までの作業と,(2)販売担当の「代金を請求する」から経理担当の「代金を処理する」までの作業,(3)販売担当の「中古車を納める」から「アフターサービス担当に納車を報告する」までの作業は,独立性の高いまとまりです。

 このように,独立性が高い作業の単位をプロセスと呼ぶことにします。具体的には,サンプルの中古車販売業務ですと,お客様の「中古車の購入を希望する」から在庫管理担当の「在庫を引き当てる」までを中古車受注プロセス,販売担当の「代金を請求する」から経理担当の「代金を処理する」までを代金請求プロセス,販売担当の「中古車を納める」から「アフターサービス担当に納車を報告する」までを納車プロセスと呼ぶことにします。