Part3からは演習編です。演習問題に挑戦して実際に自分で手を動かしながら勘所をつかんでください。まずは,対象業務の範囲を可視化するために,業務の目的を一言で表現します。次に,その目的を果たす作業の基本的な流れに着目して業務の概要を把握します。

 Part2までは基礎編として,モデリングに関する一般的なことと,本講座で実施するモデリングの全体像を説明しました。

 Part3からは演習編です。架空の会社を想定し,一連のシナリオに沿ってモデリングを解説していきます。一連のシナリオに沿って解説するのは,これから作成していく個々のモデル間の依存関係を具体的に理解していただくためです。

 モデリングのスキルを磨くためには,実際に自分で手を動かして,モデルを作ってみることが必要です。そのため本講座では,演習問題の形式で,皆さんにモデリングを実践していただきます。解答例を見る前に,実際に自分で手を動かしながら,自分なりのモデルを作成してください。

 演習の目的は,対象とする業務の範囲を明確にすることと,業務の概要を明確にすることです。具体的な作業として,演習では「業務コンテキスト図」と「業務フロー図」を作成します(図1)。

図1●Part3の演習範囲<br>Part3の内容は,対象とする業務の範囲を業務コンテキスト図で可視化する演習と,業務の概要を業務フロー図で可視化する演習です
図1●Part3の演習範囲
Part3の内容は,対象とする業務の範囲を業務コンテキスト図で可視化する演習と,業務の概要を業務フロー図で可視化する演習です
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題材は中古車販売会社

 演習に入る前に,本講座の演習で取り上げる架空の会社について説明しておきます。

 会社の事業内容は中古車販売にしました。お客様から中古車を買い取り,それを商品として販売します。フランチャイズ方式で全国に販売店を展開しています。

 各販売店単独では情報システムに投資できる額は限られているため,ほとんどの販売店ではシステム化されていないものとします。システム化している店舗でも,各販売店で独自に情報システムを構築しているため,使用しているシステムもシステム化の程度も異なります。

 本講座におけるこれからの各モデリング演習では,まず演習の目的や勘所を説明してから,演習成果物である図の表記法を説明します。さらに具体例として,架空会社の中古車販売業務を一連のシナリオとして取り上げます。一方,皆さんに実践していただく演習シナリオは,中古車買取業務です。混同しないように注意してください。

 なお,本講座で重点を置いているのは,業務内容が仮にこうであったとすれば,どのように可視化するかという部分です。業務内容は想定に過ぎません。