システム基盤を理解する上で,最も重要なのが「性能」である。いかに高機能なシステムでも,満足できる時間内に処理結果を得られなければ実用にならないからだ。代表的な処理形態のトランザクション処理を例に,性能を理解するために必要な基礎知識を解説する。
システム基盤を理解する上で,まず理解する必要があるのは何か――。答えは「性能」である。要求される性能が出なければ,可用性や拡張性があっても無意味だからだ。そこでPart2では2つのキーワードを中心に性能に関する基礎知識を見ていこう。
極めて幅広い知識が必要
図1は,性能設計に関する用語,技術を一覧にしてまとめたものだ。実に幅広い技術や用語,概念があることが分かるだろう。
内容は大きく2種類に分かれる。1つは,性能を決定する様々な要因に関する事柄。もう1つは,性能を評価する尺度に関する事柄である。
これらの中でも,特に理解してほしいキーワードがある。それは「オンライン・トランザクション処理」と「ターンアラウンド時間(タイム)」だ(その理由は後述)。
いずれもITエンジニアにとっては,頻繁に耳にする言葉のはずだ。例えばシステムのベンチマーク指標として業界標準である「TPC」は,オンライン・トランザクション処理性能を測定するものである。またターンアラウンドタイムは,システムの性能指標として最もよく使われる言葉だ。
図2に,Webベース・システムを例にオンライン・トランザクション処理の仕組みとターンアラウンドタイムの成り立ちを示した。まずはオンライン・トランザクション処理である。