Part2では,インターネット・メールが宛先にとどけられるまでの四つのステップごとに,それぞれのシーンでソフトがどう振る舞うのかを解説する。

 さてここからは,もう少し詳しく見ていこう。先ほどインターネット・メールがあて先に届けられるまでに四つのステップがあると説明した。各ステップを,シーン1,シーン2,シーン3,シーン4とし,それぞれの場面でソフトがどう振る舞うかを観察してみよう。

 まずシーン1。ちょっと思い出して欲しいのがメーラーの設定だ。メーラーをパソコンにインストールしたとき,まず設定画面を開いて様々な設定項目を埋めただろう。

 入力内容は,社内ネットワークの管理者やプロバイダが教えてくれたはず。間違わないように,1字1句注意しながら入力したことを覚えているだろうか。

 実は,この設定の中にこそ,インターネット・メールの仕組みを理解する第一の手がかりが隠されている。

 OutlookExpress4/5の設定画面を図2に示す。ほかのメーラーでも項目はそう変わらない。14個もの項目が並んでいるが,メールを送信するために間違うことが許されない項目は,実はわずかに二つだけ。ユーザー情報の「電子メールアドレス」,サーバー情報の「送信メール(SMTP)」である。極端な話,この二つさえ設定すればメールは送信できる。

図2●インターネット・メールの送受信に欠かせない設定はどれ?<br>米マイクロソフトの「OutlookExpress4/5」を例に示した。「全般」から「詳細設定」まで五つのタブが用意してあるが,メールを送受信するためには,「全般」と「サーバー」をあらかじめ設定しておく。このうちメールを送信するために間違うことが許されないのは,「電子メールアドレス」と「送信メール(SMTP)」の項目だけである。
図2●インターネット・メールの送受信に欠かせない設定はどれ?
米マイクロソフトの「OutlookExpress4/5」を例に示した。「全般」から「詳細設定」まで五つのタブが用意してあるが,メールを送受信するためには,「全般」と「サーバー」をあらかじめ設定しておく。このうちメールを送信するために間違うことが許されないのは,「電子メールアドレス」と「送信メール(SMTP)」の項目だけである。
[画像のクリックで拡大表示]

 「電子メールアドレス」に設定するのは,いわば差出人名。差出人が分からなければ,誰から送られてきたのか相手が分からないし,またあて先が不明だった場合に差し戻しできなくなる。ここには,「Tarou@nikkeibp.co.jp」のように自分のメール・アドレスを設定する。メーラーはメール送信時に,このアドレスをヘッダー中の「From」行に挿入する。相手が返事を書く場合のあて先としても使われる。ただし「返信アドレス」の項目を設定しておくと,返事の受け取り先を変えられる。

 「送信メール(SMTP)」の項目には,メール・サーバーの名前を入力する。残念ながらメール・サーバーは,郵便と違って定期的にポストまでメールを取りに来てくれるわけではない。送信したいメールをポストからメール・サーバーに届けるのもメーラーの仕事の一つだ。このため,メール・サーバーの場所をあらかじめ教えておかないと,メーラーはどのメール・サーバーに届ければいいのか判断できない。

 メール・サーバーの名前は,「ホスト名」と呼ばれる表記法で記述する。例えば「mailserver.nikkeibp.co.jp」といった具合いだ。