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日経BPガバメントテクノロジー・メール           第293号 2011/05/10
                                 http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/
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┏━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
   ──木下敏之の「自治体を変えるヒント」
     第18回 新・14カ条 第9条「住民の利便性が増すICT事業を実施せよ!」
   ──村上智彦の「夕張希望の杜」月報
     今月の「夕張希望の杜」(2011年3月)
 【2】電子自治体NEWSピックアップ
   ──富士通が震災支援物資の物流クラウドを構築
   ──[スマホ2011春]
      被災者・ボランティア支援について3人の識者がパネル討論 
   ──日本IBMが災害対策サービスを提供、
     節電・BCP・在宅勤務・風評分析の4メニューを用意
 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
   ── 第111回 3.11を乗り越えて――「公共経営」への教訓(下)
 【4】セミナー&イベント
   ── 情報ネットワーク法学会特別チャリティ講演会
      「大災害時のソーシヤルネットワーク・インターネットの効用と課題」
 【5】編集後記/編集部からのお知らせ

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 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
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◆木下敏之の「自治体を変えるヒント」◆                            2011/05/09
第18回 新・14カ条 第9条「住民の利便性が増すICT事業を実施せよ!」

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 今回は、新・14カ条の第9条「住民の利便性が増すICT事業を実施せよ」について
ご説明します。旧第8条は、「住民にとって非常に便利なIT化を図れ!」という表現
になっていました。5年前は、自治体のIT化といっても、内部事務の効率化に重点が
置かれ、職員の意識は、住民の利便性を向上するということに向いてはいませんでし
た。そして、残念ながらその現状は変わってはいません。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110502/360029/?ST=govtech
◎バックナンバー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=296073&ST=govtech

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◆村上智彦の「夕張希望の杜」月報◆                                2011/04/26
今月の「夕張希望の杜」(2011年3月) 

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 財政破綻した夕張市と共に破綻した夕張市民病院。その経営を引き継いだ「医療法
人 夕張希望の杜(もり)」の悪戦苦闘の日々を、村上智彦理事長が綴る
(2011年3月)。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110411/359305/?ST=govtech
◎バックナンバー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=292818&ST=govtech

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 【2】電子自治体NEWSピックアップ
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◎富士通が震災支援物資の物流クラウドを構築(2011/04/26、日経コンピュータ)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110426/359859/?ST=govtech
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◎[スマホ2011春]被災者・ボランティア支援について3人の識者がパネル討論
(2011/04/26、ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110426/359858/?ST=govtech
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◎日本IBMが災害対策サービスを提供、節電・BCP・在宅勤務・風評分析の4メニュー
を用意(2011/04/27、ITpro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110427/359915/?ST=govtech
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◎そのほかのニュースは
「ITpro 電子行政」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/)へ

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 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
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第111回 3.11を乗り越えて――「公共経営」への教訓(下)

 復興財源を巡る議論が盛んだ。民間資金や歳出の見直しで対応すべきという意見の
一方、それだけでは資金不足とみる向きも多い。そこで消費増税や復興国債の発行が
取りざたされる。いずれにしても、もともと我が国は財政危機にある。その中で巨額
の予算を捻出しなければならない。正確な見積もりが不可能な中、この問題をどう解
くべきか。筆者は財政制度の専門家ではないが、ことの本質に照らした論点を提示し
たい。

●「支援する側も被災」という現実から出発すべき

 各種機関は復興予算を10兆~20兆円と見積もる。だが復興は政府(国、自治体)だ
けの仕事ではない。政府が提供(支出、融資)すべき資金の総額は、JR東日本や東北
電力のほか域内の様々な企業の投資余力、被災者の負担能力、その他の民間資金(域
外投資、寄付など)の動向を洗い出さないとわからない(もちろん東北では企業や自
治体の余力が乏しく政府の支援が必須であることは確かだが)。

 また今回の災害は、「被災地を国が全面支援」という従来の構図とは異なる。「日
本国全体が被災」「政府も被災」という認識が必要だ。原発事故と電力不足問題は首
都圏を直撃し、被害拡大の可能性が高い。サプライチェーンの混乱や放射能の風評被
害で西日本も経済が減速する。全国で雇用が悪化し、税収も落ち込む。復興支援の予
算云々以前に国家財政の危機が顕在化するリスクが高まっている。

●出費に優先順位づけを

 政府の復興には4つの分野がある。

 第1は「人の復興」だ。被災者(津波、地震、原発事故)の生活支援、遺児のケ
ア、就業支援など基本的人権にかかわる出費だ。

 第2は防波堤、港、消防・警察、道路など「公共インフラの復旧」だ。

 第3はその他の「公共インフラへの投資」だ。破壊された公共インフラの中には、
もはや老朽化し不要になりつつある施設があったはずだ。これらは復旧しなくてもよ
い。逆に地元が今後、何を生業と選ぶかによっては新たなインフラ投資(例えば観光
拠点づくり、職業訓練学校など)が必要となる。こうした投資は、地元が自ら今後の
地域戦略と高齢化などの人口動態を精査したうえで地域戦略を立てる。それに対して
国が支援すべきだ。

 第4は全国レベルでの「危機管理能力の復興」である。震災、津波、原発事故がも
し関東で起きていたらどうだったのか。大阪などに首都機能はじめ企業の中枢機能を
分散配置する投資をすべきだ。たとえば東阪のリニア新幹線の建設をJR東海一社に任
せると何十年も先になる。むしろ国家事業化し前倒しすべきだろう。また脱原発を目
指すための新エネルギー開発への投資も必須だろう。

●予算の性格に合わせた資金調達を

 以上4つの分野はそれぞれ事業の性格が異なる。それぞれに合わせた財源調達の方
法を考えるべきだろう。

 1番目は目先の生活資金の提供、いわば福祉経費だ。しかし優先度は断トツに
高い。だとすれば既存の予算の見直しで捻出する。子ども手当てや高速道路無料化な
どのマニフェスト見直し、90兆円の外貨準備金(おもに米国債)の売却などである。
その上でどうしても足りない時は増税だ。そして将来世代に負担を求める長期の国債
発行はすべきでない。

 2番目は普通の公共事業となんら変わるところがない。復旧の事業資金であり、建
設国債で賄う。

 3番目の資金はまず地元が投資計画を立てることが先決だ。国がメニューをいろい
ろ提示したり、一律方式で計画を押し付けたりしてはならない。そのうえで本当に実
現性があって、一定の条件を満たした場合にのみ貸し付けで提供すべきだろう。金利
は無し、超長期でもよい。だが投資計画は地元が自律的に立てて自律的に運営しない
と失敗する。被災後の状況下で苦労は多いが、自らリスクを取って取り組んでもらう
ことが成功への唯一の道だからだ。

 4番目の資金は、企業で言えば「戦略投資資金」に相当する。財源も戦略的に捻出
する。たとえば電気料金に上乗せして「脱原発税」を徴収する。あるいは東京限定の
消費税として「首都機能分散促進税」などの目的税(国家戦略税)をつくる。

●復興消費税案の是非

 私はもともと我が国はさっさと消費税を上げるべきと考えている。だが復興財源を
消費税で賄うという意見には賛成しない。理由は2つある。

 第1は景気への懸念である。今は増税すべきではない。もしやらざるを得ない場合
でも消費税、法人税、所得税は使うべきではない。たとえば5年限定でストックに課
税する。固定資産税の賦加(国税分を新たに加算徴収)や遊休地課税などの制度の創
設はどうか。そうすれば実体経済へのマイナスは小さい。また全国の塩漬けの土地・
建物、遊休地の有効活用や流動化が進む。それがひいては景気活性化にもつながる。

 復興消費税の案には、国民の間でも支持する意見がある。だが復興が終わったら、
なし崩し的に一般消費税に転換されるのではないか。被災者救済、復興財源の議論と
以前からやってきた増税論は切り離すべきだ。むしろ「復興が終わったら3年後に上
げる」といった政治的メッセージが今こそ求められている。それが日本の信用回復へ
の道であり、災いを転じて福となす道ではないか。

─◆執筆者・上山信一(うえやま・しんいち)◆────────────────
慶應義塾大学総合政策学部教授。運輸省、マッキンゼー(共同経営者)等を経て現
職。大阪府特別顧問、新潟市都市政策研究所長も務める。専門は経営改革、地域経
営。最新刊に『大阪維新 橋下改革が日本を変える』(角川SSC新書)、『自治体改
革の突破口』(日経BP社)、『行政の経営分析-大阪市の挑戦』(時事通信社)、
『行政の解体と再生』(東洋経済新報社)がある。ほかに、『だから、改革は成功
する』『ミュージアムが都市を再生する』など編著書多数。
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◎上山信一の「続・自治体改革の突破口」バックナンバーはこちら

http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=234646&ST=govtech

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 【4】セミナー&イベント
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◎情報ネットワーク法学会特別チャリティ講演会
「大災害時のソーシヤルネットワーク・インターネットの効用と課題」
http://in-law.jp/bn/2011/index-20110513b.html
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【日程】5月13日(金)13:00~15:30
【会場】東京カルチャーカルチャー(東京都江東区)
【主催】情報ネットワーク法学会事務局
【概要】阪神、中越、東日本大震災などの災害時にソーシャルメデイアが果たした
役割と今後の社会的、法的、技術的可能性を検証する。マスメディアとの補完関係
が成り立つか、被災者、政府・自治体、ボランティア間で有効に活用できるものに
なるのか、ジャーナリスト藤代裕之氏やメディア社会学の専門家などが講演する。
参加費1000円は全額が東日本大震災へのチャリティになる。

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 【5】編集後記/編集部からのお知らせ
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 東日本大震災で中断していた社会保障改革に向けた政府会合が、4月末に再開され
ました。復興財源を消費税に求める声が高まる中、与謝野担当大臣は、以前からの喫
緊の課題である社会保障・税の改革論議が復興財源の議論によって迷走しないよう、
一線を引いて推進する考えを示しました。一方、番号制度については、副大臣・政務
官級の実務検討会が地方6団体へのヒアリングを実施するなど、この間も議論を進め
てきました。当初スケジュール通り、4月28日に「社会保障・税番号要綱」を公表。
今後は新たに防災福祉の観点を盛り込み、法案となる「大綱」を6月にまとめる計画
です。3月に公募した名称決定はまだですが、要綱の名称を見る限り、落としどころ
は特段の工夫もなく無難な「社会保障・税番号」なのかもしれません。(井出)

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