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日経BPガバメントテクノロジー・メール           第273号 2010/07/12
                                 http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/
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┏━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
   ──記者の眼
     「国民ID」制度の姿はこうなる
   ──地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革
     第4回 財務諸表を活用した会計改革の達成状況
   ──地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革
     第5回 地方分権を支える内部統制制度のあり方
   ──電子行政:キーワード
     オープンガバメントとは
 【2】電子自治体NEWSピックアップ
   ── 日本気象協会、Twitterによる防災情報提供サービスをリリース
   ── ホームページのバリアフリー化の推進に関する調査結果に基づく勧告
   ── 裾野市が総合窓口サービスを強化拡充
      住民利便性向上へ「窓口の待ち時間短縮」と「申請漏れの防止」を実現
 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
   ── 第101回 財政赤字と環境問題
      レガシーコスト問題と議会制民主主義の限界
 【4】セミナー&イベント
   ── 自治体総合フェア2010
 【5】編集後記/編集部からのお知らせ

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 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
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◆記者の眼◆                                                2010/07/09
「国民ID」制度の姿はこうなる

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 全国民に識別番号を割り当てることで、行政サービスの品質と効率の向上を目指す
「国民ID」制度。7月11日投票の参議院議員選挙の争点に浮上した消費税率引き上げ
でも、国民ID制度は、その実現のための重要基盤に位置づけられている。税負担率の
“逆進性”を緩和する「給付付き税額控除」を導入するには、所得の正確な把握のた
めに個人識別番号が不可欠だからだ。 

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20100708/350069/?ST=govtech
◎バックナンバー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&BID=10007

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◆地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革◆                      2010/06/29
第4回 財務諸表を活用した会計改革の達成状況

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 財務諸表は、作成するのが目的ではなく、どのように活用するのかが課題となる。
東京都の2008年度(平成20年度)決算の財務諸表を基に、財務諸表の活用の視点から
会計改革の達成状況を見ていこう。 

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100617/349345/?ST=govtech
◎バックナンバー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=346365&ST=govtech

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◆地方分権時代の自治体経営 [1]公会計改革◆                      2010/07/06
第5回(最終回) 地方分権を支える内部統制制度のあり方

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 地方分権あるいは地域主権と呼ばれる、明治維新以来の変革が少しずつ現実味を帯
びてきている。ただ、話題の多くは、権限や財源の委譲による地方公共団体の裁量権
拡大や、中央政府が行き詰まってしまった社会福祉政策のつけ回しのような情緒的な
話に思える。 

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100623/349564/?ST=govtech
◎バックナンバー
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=346365&ST=govtech

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 【2】電子自治体NEWSピックアップ
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◎Twitterによる防災情報提供サービスをリリース
(日本気象協会、2010/07/01)
http://www.jwa.or.jp/content/view/full/3301/
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◎ホームページのバリアフリー化の推進に関する調査結果に基づく勧告
(総務省、2010/06/29)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/31396.html
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◎裾野市が総合窓口サービスを強化拡充、住民利便性向上へ「窓口の待ち時間短縮」
と「申請漏れの防止」を実現(TKC、2010/06/29)
http://www.tkc.co.jp/news_release/100629.html
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◎そのほかのニュースは
「ITpro 電子行政」(http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/)へ

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 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
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第101回 財政赤字と環境問題 ――レガシーコスト問題と議会制民主主義の限界

 21世紀に入って民主主義の限界が次々に露呈しつつある。資本主義の暴走を政府や
議会が制御できない。目先の政治事情に由来する予算の浪費(財政赤字)が止まらな
い。また次世代の子供たちが被害者となるCO2の削減などの決意ができない。

 日本人は民主主義を絶対視しがちだが、その限界を直視すべきだ。「民主主義は最
悪の政治形態である。これまで試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除
けば」というチャーチルの名言は今でも正しい。だがこの言葉は戦後間もない時期に
全体主義と共産主義に対抗して語られた言葉だ。現代の課題にあわせた新たな民主主
義論が必要だ。

●民主主義の何が問題か

 議会制民主主義の欠陥はこれまでにも語られてきた。衆愚政治、劇場型政治、多数
者による専制への批判がそうだ。郵政解散直後の小泉選挙(2005年)、昨年2009年の
総選挙、そしてその後の与党の独断的な国会運営などはその典型だろう。また実際に
政権交代が起きると、「2大政党制による政権交代」の意義への疑問もでてきた。な
ぜなら日本では多数派政党の政策は、現実論として必ず「軍事外交は親米、福祉は
もっと充実、財政は再建努力」という選択肢に落ち着く。階級対立やイデオロギー対
立が少ない日本では、英米型2大政党制は定着しないのではないか。

 本家の英米でも2大政党の主張が似通ってきた。それどころか英国では2大政党が成
立せず連立内閣となった。理想とされてきた米国の民主主義への信頼も揺らいだ。米
国議会は、9.11テロ以後、理性を失い、ブッシュ政権のアフガン、イラク侵攻を阻止
できなかった。また世界経済危機を契機に、巨額の献金をテコに政府を動かす投資銀
行などの存在が明らかになった。もはや資本主義が民主主義をのみ込みつつあるとい
う懸念がある。

●もっと原理的な問題

 これらの問題はまだよい。すでに意識され、マスコミや議会も問題視している。完
ぺきな制度は存在しない。問題が明らかになったらその都度、修正していけばよい。

 民主主義の強さは改良を続けて進化し続けてきた点にある。典型が普通選挙制度で
ある。ギリシャの昔は別として、近代の民主主義はもともと王に貴族が対抗するため
に生まれた。やがて富裕層や僧侶も参加したものの、当初は選ばれたものだけが参加
した。それがやがて普通選挙に移行した。同時に政府は共産主義や全体主義に対抗す
べく、所得再分配や社会福祉を始めた。20世紀の前半は帝国主義、全体主義による
「戦争の時代」だった。だが後半は民主主義が共産主義を封じ込め、自らも進化し、
「世界平和の時代」を実現させた。

 だが制度は常に疲労する。また新しい時代には新しい課題がでてくる。筆者は21世
紀前半の大きな課題は「成長の負の遺産(レガシーコスト)」にどう向き合うかとい
うことだと思う。典型が各国に共通の財政赤字の肥大化、そして地球環境汚染の問題
(特にCO2など有害物質の蓄積)である。

 この2つは、20世紀後半の平和と繁栄が残した貝塚のようなものだろう。貝塚なら
いずれ自然に消えるが、この2つは消えずに次の世代を苦しめる。新たな発生を抑止
し、過去の蓄積を除去するためには、現役世代が欲望を抑え我慢する。快楽追求をや
めて負の遺産を処理する必要がある。すべては次世代のためである。だが今の民主主
義にそれができるか疑問である。

 わが子のためなら命さえ捨てる覚悟の親は多い。だがマクロな世代の問題になると
思考停止に陥る。財政再建法案、増税、環境規制、環境税など手法はいくらでもあ
る。だがなかなか議会を通過しない。

●世代格差是正措置の提案

 この問題を防ぐひとつの案は、若者には2票を与えるといった世代間格差の是正策
である。あるいは参議院を若者の権利保護をチェックするための議会とする。その
他、アイデアはいろいろあるだろう。選挙だけでなく、相続税や資産税を引き上げ
る方法もある。

 だが、いずれにしても現代の議会制民主主義は、選挙権を持つ現役世代の利益にか
かわる問題を議員の手に委ねて解決する制度でしかない。目の前の利害調整を多数決
という市場競争原理のアナロジーで解決する仕組みだ。個々の政治家は長期的な展望
を持っていても、議会における民主主義はどうしても短期の利害調整に向かう。制度
がそのように設計されているのである。

 財政赤字も環境問題も、現世利益の追求の果てに生まれたレガシーコストである。
いわば市場競争原理の鬼っ子なのだが、その除去と問題解決にこれまた市場競争原理
の申し子の民主主義で対処するのには無理がある。日本人はこの16年間、「2大政党
制による政権交代のある民主主義」を英米から“輸入”することにひたすら精力を傾
けてきた。だが本当にそれでよかったのか。むしろレガシーコスト問題に対応する新
しい民主主義を日本で編み出し、それを世界に発信すべき時期ではないだろうか。

─◆執筆者・上山信一(うえやま・しんいち)◆────────────────
慶應義塾大学総合政策学部教授。運輸省、マッキンゼー(共同経営者)等を経て現職。
大阪府特別顧問、新潟市都市政策研究所長も務める。専門は経営改革、地域経営。最
新刊に『行政の経営分析ー大阪市の挑戦』(時事通信社)『行政の解体と再生』(東
洋経済新報社)『自治体改革の突破口』(日経BP社)がある。その他
『だから、改革は成功する』『ミュージアムが都市を再生する』など編著書多数。
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◎上山信一の「続・自治体改革の突破口」バックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&BID=2666

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 【4】セミナー&イベント
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◎自治体総合フェア2010
http://www.noma.or.jp/lgf/
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【日程】7月14日(水)~16日(金) 10:00~17:00
【会場】東京ビッグサイト 東3ホール(東京都江東区有明)
【主催】社団法人日本経営協会
【概要】テーマは「活力ある地域社会の実現 ~明日を拓く経営戦略~」。展示ゾー
ンは「電子自治体推進」「災害対策・安全安心」「健康・福祉」「活力・環境まちづ
くり」に区分し、自治体経営の革新と行政サービスの向上を目的とした製品・システ
ム・サービスを展示実演。カンファレンスとして「電子自治体推進フォーラム」など
も開催。

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 【5】編集後記/編集部からのお知らせ
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 IT関連の第3セクターに所属する方から、政府の新IT戦略に関する興味深い指摘を
うかがいました。5月に発表した戦略には書かれていた「国と地方の協議の場」の記
述が、6月に発表された工程表から省かれていることです。IT戦略本部員である国領
二郎慶応大学総合政策学部長も、本部への提出意見の中でその点を指摘しています。
地域主権を「一丁目一番地」の政策に掲げた鳩山政権から菅政権への交代がもたらし
た“変化”なのでしょうか。(井出)

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