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日経BPガバメントテクノロジー・メール           第221号 2008/05/12
                                     http://govtech.nikkeibp.co.jp/
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┏━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
   ── スペシャルレポート
      北岡弘章の「知っておきたいIT法律入門」
      「住基ネット最高裁判決(3)
              住基法を優先、目的外利用禁止の実効性を認める」
   ── ケーススタディ
       「アプリケーションの仮想化で安定したシンクライアントを
       使い続ける」、富士市の深澤氏
 【2】電子自治体NEWSピックアップ 
   ── 福岡市の公式観光サイトが大手飲食店情報サイト「ぐるなび」と提携
   ── サンなどが開発した政府・自治体ITシステム向けフレームワーク、
      内閣府がオープンソースとして公開へ
   ── IT政策ロードマップ中間報告
 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
   ── 第76回 シリーズ「どうなる、大阪府改革――
       特別顧問の視点から」(その1)
 【4】セミナー&イベント
      ── 平成19年度 地方自治情報センター研究開発成果説明会
 【5】編集後記/主催セミナーのご案内

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 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
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◆スペシャルレポート◆北岡弘章の「知っておきたいIT法律入門」    2008/04/25
住基ネット最高裁判決(3)住基法を優先、目的外利用禁止の実効性を認める
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 前回は、住基ネットに関する最高裁判決の判断のうち、個人に関する情報について
どのような内容の自由、権利を認めたのかを中心に検討しました。今回は、住基ネッ
トがかかる自由を侵害しないと最高裁判決が判断した理由について、高裁判決と対比
しながら紹介したいと思います。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080421/299698/?ST=govtech

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◆ケーススタディ◆                                             2008/04/25
「アプリケーションの仮想化で安定したシステムを使い続ける」、富士市の深澤氏
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 「シンクライアントで本当に大丈夫かとよく聞かれるが、大丈夫だ。これまで6年
間使ってきたが、今後も使い続ける」。静岡県富士市役所の深澤安伸氏(総務部 情
報政策課 システム開発担当 主査)は、4月25日に東京都内で開催された「仮想化フ
ォーラム2008」で、2008年1月に導入した新しいシンクライアント・システムについ
て、こう説明した。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080425/300173/?ST=govtech
◎ケーススタディのバックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=15&BID=1121

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 【2】電子自治体NEWSピックアップ
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◎福岡市の公式観光サイトが大手飲食店情報サイト「ぐるなび」と提携
(日経BPガバメントテクノロジー、2008/05/09)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080509/301024/?ST=govtech
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◎サンなどが開発した政府・自治体ITシステム向けフレームワーク、内閣府が
オープンソースとして公開へ(ITpro、2008/04/23)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080423/299946/?ST=govtech
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◎IT政策ロードマップ中間報告
(内閣府 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、2008/04/22)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai45/45siryou3_2.pdf
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◎そのほかのニュースは「ITpro 電子行政」(http://govtech.nikkeibp.co.jp/)へ

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 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
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【第76回 シリーズ「どうなる、大阪府改革――特別顧問の視点から」(その1)】

筆者は大阪生まれの大阪育ち。自治体の経営改革を専門とする。縁あって2005年から
3年間、大阪市役所の改革にかかわった(改革会議委員長など)。さらにこの4月から
は特別顧問として大阪府改革に助言する。本シリーズでは橋下改革の意義を解説した
い(なお言うまでもないがあくまで筆者個人の見解であり、大阪府庁や知事の見解で
はない)。

■「休日返信不要」のメールとリーダーシップ

 週末になると知事から「休日返信不要」というタイトルのメールが大量に幹部に送
られる。発信時間は深夜や早朝がほとんど。内容は、商店街振興、公営住宅、文化政
策、人事制度改革、市町村との関係など幅広い。私が見るものは幹部とのやり取りの
中でもCCで送られる一部だけだ。だがこれまで見たものは全て政策の本質に根ざした
侃侃諤諤の議論だった。

 驚くのは知事の質問に対する幹部の真摯な回答ぶり、そして代替案の提案が出てく
るスピードの速さである。知事の質問は極めてストレートだ。例えば「なぜ府庁は公
営住宅を建て続ける必要があるのか?民間に任せられないのか」といった質問。府民
(素人)の素朴な疑問の上に個人事務所を切り盛りしてきた経営者の視点を重ね合わ
せて切り込む。

 幹部からの返事は「国の法律、予算制度上の制約で、そんなに単純にはいきませ
ん」というものが多い。だが同時に「法の制約の中でも最大限こういう努力をした」
「知事がOKなら実はすぐにでもこうしたい」といった具体アイデアも多い。全体には
極めて前向きなやりとりだ。中には「あそこでこういうプロジェクトができれば府民
に喜んでもらえる」といった若手職員の熱い想いの知事宛メール(匿名処理済み)も
転送される。深夜、早朝のこうしたメールのやり取りからは、「今、この時期にこそ
大阪府を改革したい」という職員の切羽詰まった想いが伝わってくる。 

 新聞報道の通り各部は予算案の削減には抵抗している。だがメールのやり取りを見
る限り、政策の抜本的な見直しには前向きだ。これまで感じていた制度・慣行のおか
しさを知事が発掘してくれるのを待ち望む様子も窺える。就任からわずか3カ月。本
質に根ざした本音の議論を庁内に沸き起こした知事のリーダーシップは特筆に値す
る。

■地元で圧倒的支持率

 橋下知事は対抗馬にダブルスコアの差をつけて当選した。その後の世論調査でも支
持率は8割前後を維持する。筆者は毎週大阪に行く。世間話にかこつけて喫茶店店主
やタクシー運転手の反応を聞く。橋下改革への評価は一様に高い。選挙前にアンチ橋
下だった人たちも就任後の仕事ぶりは誉める。最も評価が高いのは「おかしいものは
おかしい」と率直に言う姿勢である。そして現場を歩き土日返上で仕事をする一生懸
命の姿が共感を呼ぶ。庁内や市町村の公務員の期待も高い。「あれくらい激しい予算
削減案をぶち上げないと絶対に大阪では改革は無理」と彼らは口をそろえる。本音で
は大賛成なのである。

 これに対し市町村長、財界人、そして学者など専門家の評価は必ずしも高くない。
特に東京のエリート層は「あれはポピュリズム」「4年間持たない。いずれ投げ出す」
「タレントに何ができるか」と冷淡だ。大阪の新聞紙面もおしなべて批判的だ。1100
億円の予算削減案や施設の統廃合に対する懸念や各種団体が反発しているといった記
事が多い。

■改革派のニュータイプ

 筆者はこれまで数多くの改革派首長と仕事をしてきた。北川(三重)、増田(岩
手)、嘉田(滋賀)、田中(長野)等の改革に参加し、あるいは真近で見てきた。

 橋下氏の改革はこうした改革派知事の実績を超えるおそらく全く新しいタイプのも
のだ。

 これまでの改革は行政改革にとどまった。多くは「不祥事の情報公開」「評価制
度」「マニフェスト」などを駆使した庁内改革、つまり行政改革だった。いずれも行
政改革としては斬新だった。だが市町村や住民を巻き込み、地域の将来のビジョンを
書き換える域には達しなかった。

 一方、今回の橋下改革のスケールは大きい。日本第2の都市、大阪のビジネスモデ
ル、統治構造を根底から変えようという意思が見える。例えば知事はすでに「府庁の
発展的解消」「市町村向けの補助金は使途を決めずに渡す方針に変える」といった方
針を表明している。橋下改革は、(1)財政再建、(2)府庁改革、(3)政策創造、の3つか
ら構成される。1100億円の予算削減はそのうちの(1)の皮切りに過ぎない。削減の一
方で御堂筋のイルミネーションや近代建築を生かした街づくりなどの構想を知事自ら
がぶち上げる。

 新聞紙面は、連日1100億円の予算削減の報道に明け暮れる。だが知事の週末メール
は早くも「府庁のあり方」「市町村への権限委譲」「個々の政策のイノベーション」
そして「都市ビジョン」にシフトしている。したたかというべきか、ニュータイプと
評すべきか。予算削減のショックで既成の秩序を混沌にぶち込み、そこから地域再生
へのうねりを作っていく。作戦のセンスのよさは天性のものだろう。

■「難治の土地」が動き出した

 国の官僚はこれまで大阪を「難治の土地」と呼んできた。住民は反権力、反中央志
向で役所の言うことをきかない。各自が自分勝手で財界もばらばらである。選挙の投
票率が低く、有力な政治家が生まれない。日本第2の都市でありながら全体を動かす
すべが見えない。衰退の一方で改革は難しい土地だった。おまけに全体をコントロー
ルすべき府庁が弱体だった。権限も予算も巨大政令指定都市の大阪市に奪われ、おま
けに財政破綻していた。

 「そんなところの知事を誰がいったい好き好んで引き受けるのか。あの府庁や大阪
を改革するのは不可能」これが政治・行政ののプロの見方だった。筆者もこの3年、
大阪市の改革に参加し、「難治の土地」の意味を痛感した。「大阪市も大阪府も破綻
しどうしようもなくなってからの改革しかない」と半分あきらめていた。

 そこに突如、橋下知事が登場し、ついに大阪が動き出した。橋下知事は混沌の怒涛
を自ら作り出し、その真ん中で叫び、笑い、時には涙すら見せる。それでいてクール
で、「知事は独裁者。自分は危険な存在だと思う」と分析する。この若い知事に大阪
の未来を託してみたいと思う府民が増えつつある。(次回「その2」は改革の中身に
ついて)。

─◆執筆者・上山信一(うえやま・しんいち)◆─────────────────
慶應義塾大学総合政策学部教授。運輸省、マッキンゼー(共同経営者)、ジョージタウ
ン大学研究教授を経て現職。専門は行政経営。『だから、改革は成功する』『新・行
財政構造改革工程表』『ミュージアムが都市を再生する』ほか編著書多数。
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◎上山信一の「続・自治体改革の突破口」バックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071122/287825/?ST=govtech

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 【4】セミナー&イベント
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◎平成19年度 地方自治情報センター研究開発成果説明会
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/frame.html?url=rdd/h19seika/index.html
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【日程】東京:2008年6月10日(火)/ 大阪:2008年6月17日(火)
【会場】東京:全国町村議員会館 / 大阪:チサンホテル新大阪 2階会議室
【主催】地方自治情報センター(LASDEC)
【概要】LASDECによる2007年度の研究開発事業「ICTを活用した地域福祉サービスに
関する調査研究」および、自治体との共同研究事業5テーマ(尼崎市、奥州市、大牟
田市、倉敷市、松山市)の成果発表を行う。東京・大阪ともに定員150人。正会員は
参加無料(正会員以外の参加費等については上記URLを参照)。

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 【5】編集後記/編集部からのお知らせ
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■編集後記
 佐賀県では「最先端電子県庁構築に係る情報化推進計画策定業務」の入札参加者を
募集しています(http://www.pref.saga.lg.jp/web/_15329.html)。現在県庁で動い
ている約140の情報システムを物理的に一本化してしまおうという注目すべき取り組
みです。もう一つ興味深かったのは、中核システムの一つとして特に言及されていた
統合財務会計システムの構築計画についてです。仕様書には「予算編成から歳入、歳
出及び決算管理までを統一的に管理するとともに、行政施策の決定やプロジェクト進
行管理が行えるような、全体最適化の基軸となる統合財務会計システムの構築計画を
策定する」とあります。「公会計改革と結びついた予算編成」といえば、私は先日聞
いた倉敷市財政課の竹内課長による講演を思い出しました。「地方公共団体の財務諸
表は、予算の段階でコントロールしなければならないのではないか」と竹内課長はお
っしゃっていました。(黒田)

■編集部からのお知らせ:主催セミナーのご案内────────────────
◎行財政改革シンポジウム2008 5月21日東京開催!(自治体関係者限定・無料)
http://ac.nikkeibp.co.jp/cn/adr2008t/

……新地方公会計制度のキーパーソンが集結。
取り組みの現状から今後の展開まで一望できます。

■名 称 行財政改革シンポジウム2008
■会 期 2008年5月21日(水) 9:30~16:15(9:00開場)予定
■会 場 全社協・灘尾ホール (新霞が関ビル内)
■主 催 日経BPガバメントテクノロジー
■受講料 無料(事前登録制、政府・自治体関係者のみ)
■主なプログラム(登壇順・予定)
★「地方公共団体財政健全化法と公会計の整備推進」
                総務省自治財政局財務調査課長 青木 信之 氏
★「自治体経営情報と新地方公会計制度」
             総務省 新地方公会計制度研究会 委員/森田 祐司 氏
★「バランスシートは位置情報 ~自治体経営とバランスシート~」
                      大分県 臼杵市長/後藤 國利 氏
★「各務原市における新地方公会計制度への取り組みについて」
         岐阜県各務原市 都市戦略企画推進部 財政課長/小鍋 泰弘 氏
★「東京都における公会計制度改革の実践」
         東京都 会計管理局管理部新公会計制度担当課長 神山 智行 氏

 ※この他にもソリューション講演を予定しています。

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