日経BPガバメントテクノロジー・メール           第213号 2008/01/10
                                     http://govtech.nikkeibp.co.jp/
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┏━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
   ── ケーススタディ:米国ミネアポリス市
        市内全域に公衆無線LAN、市がISPに使用料を支払うモデルで構築
   ── ケーススタディ:青森県
        電子申請にASPを利用、コストを抑える
 【2】電子自治体NEWSピックアップ 
   ── 第5回 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会
   ── 第16回 住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
      ── 内閣府、Second Life内で防災ボランティア啓発イベントを開催 ほか
 【3】コラム:上山信一の「続・自治体改革の突破口」
   ── 第72回 「腐ったみかんの箱」との対峙――現代世界の病理との戦い
 【4】セミナー&イベント
      ── 業務・システム刷新化導入促進セミナー
 【5】編集後記/編集部からのお知らせ

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 【1】「ITpro 電子行政」ウェブ新着ダイジェスト
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◆ケーススタディ:米国ミネアポリス市◆              2008/01/07 
市内全域に公衆無線LAN、市がISPに使用料を支払うモデルで構築
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 米国の自治体では、市内全域を無線LANでカバーしようという公衆無線LAN構想が相
次いで立ち上がった。いくつか失敗事例が聞こえてくるようになったが、予定通り進
んでいるケースも少なくない。ミネソタ州ミネアポリス市では、早ければ今年2月に
もメッシュ型の公衆無線LANの整備が完了する。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20071226/290199/?ST=govtech

◎電子行政・事例バックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=15&BID=1121
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◆ケーススタディ:青森県◆                    2007/12/27
電子申請にASPを利用、コストを抑える
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 青森県はASPを利用した電子申請サービスの運用を2007年11月1日から開始した。現
在、電子申請ができるのは、行政文書の開示請求、浄化槽設置届、自動車税の住所変
更の届出など20数種類(うち電子認証が必要な手続きは4種類)。2010年までに135手
続きをオンライン化予定だ。オンライン化対象手続は毎年度見直して、より効率的な
運用を図る。

◎全文はこちらでご覧いただけます
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20071227/290265/?ST=govtech

◎電子行政・事例バックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/govtech/bn/bnsearch.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=15&BID=1121
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 【2】電子自治体NEWSピックアップ
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◎第5回 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会
(厚生労働省、2007/12/21)
http://www-bm.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/s1221-9.html
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◎第16回 住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
(総務省、2007/12/21)
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/071221_1.html
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◎内閣府、Second Life内で防災ボランティア啓発イベントを開催
(NBonline、2008/01/08)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20080108/144429/
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◎2008年を斬る:本当の地方再生とは?
(NBonline、2008/01/07)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20071221/143788/
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◎そのほかのニュースは「ITpro 電子行政」(http://govtech.nikkeibp.co.jp/)へ
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 【3】コラム・上山信一の「続・自治体改革の突破口」
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【第72回 「腐ったみかんの箱」との対峙――現代世界の病理との戦い】

 昨年、サブプライムローンの焦げ付きや年金記録問題に関してしばしば使われた表
現の一つに、「腐ったみかんの箱」という比喩がある。「全体のどこかに問題がある
と分かっている。だがどれが問題なのか特定できない。そのため箱全体が信用を失
う」という現象を指してのものだ。ローンも年金も大部分には問題がない。一部だけ
に問題がある。だがあまりにも調査件数が多い。またシステム全体が複雑に絡み合っ
ているため手作業では問題を特定、是正できない。そうこうしているうちにシステム
(みかん箱)全体が信用を失う。コンピュータのプログラムミスや予見しえないバグ
にも似たいかにも現代的な病理のひとつだ。そして人類はこうした課題への有効な対
処策をまだ見つけていない。

 かくして米国経済はたかが10兆円程度の損失といわれるサブプライム問題で全体に
変調をきたしつつある。また日本の政治は年金記録問題で国民の信用を失い、総選挙
を経て政界再編につながりそうな気配である。

■9・11テロに始まる巨大システムの変調

 この2つの課題は、ちょっとした出来事が巨大なシステムの弱点を露呈させ、全体
の信頼性を喪失させるという現代世界の病理を象徴する。この前兆は2001年の同時多
発テロ問題に見ることができる。テロリストはまさに「腐ったみかん」でどの箱に混
じっているかわからない。それを見つけて除去して全体を保護する作業はたいへんな
手間とコストがかかる上に完全ではない。米国は国内での中東系の移民、留学生のチ
ェックに加え、“みかん”の原産地とされる国家の改造にまで乗り出した。だが7年
たっても成果は見えない。かえってアフガン、イラク、パキスタンに至る広大な地域
が紛争危険地帯と化した。最近ではパキスタンの核が流出して米欧大都市への核テロ
攻撃に使われる危険性が指摘される。

 またテロとの戦いの過程で米国は世界からの信頼を低下させた。米国は冷戦時代も
その後も「自由と民主主義」を掲げる愚直な理想主義者として一定の信頼を維持して
きた。ところがこの数年の中東介入で、軍の論理と内政の都合で他国に安易に介入す
る利己的国家とみなされるようになった。国家の“品格”の低さが露呈した。今でも
世界中で米国の文化や米国人は全般的には愛される。だが米国国家は世界から「腐っ
たみかん箱」、つまり丸買いできない存在とみなされる。

 こうした政府の信頼低下に「サブプライムローン」問題が経済面で追い討ちをかけ
る。信用不安、不動産価格の下落、景気後退、ドル安が目前に迫る。

■年金問題は日本政治の9・11

 くしくも日本も「腐ったみかん箱」問題に翻弄される。特に「年金問題」は数年か
けて抜本的な政界再編を促すだろう。「政府が個人の老後のセーフティ・ネットを保
証できない」「公務員が横領」といった事実を国民は絶対に赦さない。次回、その後
の総選挙を経て政治は大きく変わるはずだ。

 今後の展開は論理的には3つある。第1は自民党の勝利もしくは大連立による政権維
持。第2は民主党の勝利と政権交代。そして第3には抜本的な政界再編。第3の政界再
編はすぐには起きないかもしれない。だが自民党も民主党もすでに「腐ったみかん
箱」とみなされている。第1、第2の選択肢は「どっちがより腐っていないか」という
低次元の過渡的な消極的選択でしかない。目先の利益誘導、刺客、「姫の虎退治」の
ような演出で国民の目をごまかす選挙は2、3度が限界だ。やがて国民は新しいみかん
の箱を求めるだろう。政治への信用回復の決め手は信用できる若手党首の出現だろ
う。そうした人物が出てくれば既成の政治家の世代交代とセットで政界再編が進む可
能性がある。

 ちなみに日本経済も「腐ったみかんの箱」に悩んでいる。企業の不祥事である。あ
る日突然、内部告発を機に企業が社会的信用を失墜させる。会計処理や偽装問題、安
全対策など企業が抱えるリスクには際限がない。

 このような「腐ったみかんの箱」の問題は日米の政治や経済に限らない。戦後世界
の平和と安定を支えてきた既存のシステムが軒並み、変調をきたしつつある。加えて
世界は地球環境問題(温暖化)や価値観の対立(イスラム原理主義対先進国文明)な
ど地球規模の課題に直面する。おそらくは当面、数十年間は混迷が続くだろう。そし
てその先には資本主義、議会制民主主義、官僚主義といった近代国家を支えてきた制
度を超える新しい課題解決の仕組みが見えてくるだろう。

─◆執筆者・上山信一(うえやま・しんいち)◆─────────────────
慶應義塾大学総合政策学部教授。運輸省、マッキンゼー(共同経営者)、ジョージタウ
ン大学研究教授を経て現職。専門は行政経営。『だから、改革は成功する』『新・行
財政構造改革工程表』『ミュージアムが都市を再生する』ほか編著書多数。
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◎上山信一の「続・自治体改革の突破口」バックナンバーはこちら
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071122/287825/?ST=govtech

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 【4】セミナー&イベント
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◎業務・システム刷新化導入促進セミナー
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/rdd/kyo/seminar2/chirashi.pdf
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【日程】2008年2月1日(金)
【会場】仙台青葉カルチャーセンター(仙台市)
【主催】地方自治情報センター(LASDEC)
【概要】講演「自治体EAと共同アウトソーシング事業」「業務・システム刷新化の概
要」のほか、「業務・システム刷新化の取組み事例」(埼玉県川口市)を紹介。
(掲載情報は変更されることがあります。事前に主催者にご確認ください)。

◎そのほかのイベント・セミナー情報はこちらへ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NGT/govtech/20050418/159471/

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 【5】編集後記/編集部からのお知らせ
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■編集後記 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年末は、ITを活用した“地域との金銭コミュニケーション(何かうまい言葉はない
でしょうか?)”ともいえる動きが相次いで顕在化してきました。米国で広く普及し
ているCSA(Community Supported Agriculture)と呼ばれる地域住民が農業生産者を
支える仕組みを見本とした、LASDECによる「地域産業支援モデル」実証実験、福井県
が開始した「クレジットカードによる寄付受付」、そして昨年末にメルマガで紹介し
た前・佐賀市長の木下敏之氏による「医療法人 夕張希望の杜」を広告収入で支援す
るメールマガジンなどです。「地域の応援」に金銭が伴うのは、よいことだと思いま
す。今年は、こうした動きにさらにいろいろなバリエーションが加わるのではないで
しょうか。(黒田)

◎関連URLはこちら
http://www.otaru-fan.jp/modules/news/news_view.phtml?id=2236
http://koukin.yahoo.co.jp/donation.html
http://www.kinoshita-toshiyuki.net/newsletter.html

■編集部からのお知らせ───────────────────────────

◎「編集部だより(2007年12月)」公開中です。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/govtech/20071225/290168/

◎情報システム調達研究会による「自治体情報システムベンチマーク調査」参加募集
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071128/288175/#chousa

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