■長崎県佐世保市は6月、情報システムの調達から運用までを適正に行うための「佐世保市情報システム最適化指針」を策定した。業務効率化や住民サービスの向上に向けて、情報システムの導入計画が増えている中、最適化指針を活用して戦略性や投資適合性を総合的に判断することで最適なシステム調達の実現を目指す。(安藏靖志)

※ この記事は『日経BPガバメントテクノロジー』第10号(2005年12月15日発行)に掲載された記事に一部加筆を加えたものです。


長崎県佐世保市

 長崎県佐世保市は、ITコンサルティング会社のヘッドストロング・ジャパン(本社・東京)と契約を結び、同社を「ITアドバイザー」として2004年度から迎え入れている。2004年度から2005年度にかけての主な依頼業務は、「佐世保市情報システム最適化指針」の策定である。既存システムの分析や庁内のヒアリング調査などを基に現状を把握・整理した上で、2005年6月に第1版の指針が完成した。2005年度は第1版をベースに、情報システムの全体最適化を目指す。

 「ITアドバイザー」は単年度契約で、2004年度は1000万円、2005年度はホストコンピュータの刷新に関するコンサルティングも含めて2000万円の予算を計上している。

 最適化指針策定のきっかけは、「投資対効果はどうなんだ?」という光武顕市長の発言だった。市のIT投資に関する最終的な意思決定機関「地域情報化推進委員会」(メンバーは市長をはじめとする市幹部)の席上でのことである。佐世保市では、企画調整課地域情報担当と電算管理課を合体させ、2003年度から情報政策課という組織があったが、情報化投資を全庁的に把握するには至っていなかった。「まずはIT投資に関して、トップの意思決定を支援する仕組みが必要」という認識で、何らかの対策を立てることになった。

 当初はITの専門家を任期付職員として採用することも検討したが、条例の改正など手続きが煩雑なこともあり見送った。現在、ヘッドストロング・ジャパンの担当者は月2回、1回当たり2~3日程度、東京から佐世保市を訪れるだけで、あとはメールなどのやり取りで業務を進めている。「コミュニケーションは十分取れているので、(職員を採用するより)外部のアドバイザーの方が“役所の文化”に染まらないという点で、むしろ良いのではないか」というのが佐世保市企画調整部情報政策課の堀居隆二氏の感触だ。