■全国の都道府県・市・区を対象とした「自治体の情報システムに関する実態調査」の結果が明らかになった、調査結果からは、自治体のシステム部門の弱点や、CIOの役割の重要性などが明らかになった。また、得点を算出して「自治体情報システム格付け」を実施したところ、60団体が最も高い「AAA」評価を得た。(塗谷隆弘、黒田隆明)

※ この記事は『日経BPガバメントテクノロジー』第10号(2005年12月15日発行)に掲載されたものです。

自治体のシステムを格付け、60団体が「AAA」を獲得
結果発表 自治体の情報システムに関する実態調査


 日経BPガバメントテクノロジーと東京コンサルティングが2005年7月に共同で開催した「自治体の情報システムに関する実態調査」の結果が明らかになった。全47都道府県、全763市・23区(2005年5月3日時点)に対してアンケートを行った。その結果を基に各自治体のシステム化プロセス、調達、構築、運用、ガバナンスの体制、また行政改革との関連性などを調査・分析するとともに、調査結果から得点を算出し「自治体情報システム格付け」を実施した。

 有効回答を寄せた全417自治体のうち、最高レベルの「AAA」と評価された自治体は11都府県と5区44市の計60自治体だった(「AAA」の60団体一覧)。また、今回の調査は回答データをポイント化してランキングも実施している。総合1位は兵庫県西宮市、2位は東京都、3位は神奈川県横須賀市。以下、東京都三鷹市、東京都世田谷区、神奈川県大和市、岐阜県、東京都武蔵野市、兵庫県小野市、神奈川県藤沢市の順となった(表1)

■表1 「自治体の情報システムに関する実態調査」
の上位10団体
表1 「自治体の情報システムに関する実態調査」の上位10団体
AP、AR、ACの満点はそれぞれ100点。合計得点は300点満点で計算。

 格付けは「アプローチ(AP):システム化プロセス・体制」「アーキテクチャ(AR):システムの基本構造」「アチーブメント(AC):システム化効果」の3つの観点から調査結果を解析して評価を行った。「AP」「AR」「AC」それぞれについてA、B、Cの3段階評価を付けている。そのため最高位のAAAから最低位のCCC間での間には27の格付けが存在するが、分布はAAA(60団体)、BBB(62団体)、CCC(91団体)の3極に集中する形になった(図1)

■図1 格付け別の自治体数の分布(n=417)
格付け別の自治体数の分布(n=417)
「AAA」「BBB」「CCC」への3極集中が見て取れる。

 27ものカテゴリーで分析を行うと非常に煩雑になるため、以後は27カテゴリーを便宜上7つのレベルに分類する。最高位のAAAを「レベル1」、AAB~BAAまでが「レベル2」、AAC~CAAまでを「レベル3」、ABC~CBAまでを「レベル4」、ACC~CCAまでを「レベル5」、BCC~CCBまでを「レベル6」、最下位のCCCを「レベル7」とした。