先進自治体リーダーによるリレートーク
住民満足度を高める電子自治体の実現(2)


京都市総合企画局市長公室広報課担当係長
 石川哲也氏

■2006年1月にコールセンターのサービスを開始

石川哲也氏の写真
京都市
総合企画局
市長公室広報課
担当係長
石川哲也氏

 京都市のコールセンター設置は、トップダウンの意思決定によるものだ。2004年2月の市長選挙の際、現在の桝本頼兼市長のマニフェストにはコールセンターの設置が明記されていたのである。

 2006年1月にサービス開始予定の京都市コールセンターは、年中無休で受付時間は午前8時から午後9時まで。オペレーターは常時5名(うち1名はスーパーバイザー)という体制で、年間6万件の問い合わせに対応する予定だ。システム構築および運営は、NTT西日本を代表とするコンソーシアム(5社)に委託している。運営予算は年間約6200万円。2004年度に総合企画局情報化推進室情報政策課がネットワークやシステムの仕様書を作成し入札を行った。業者決定後の2005年に「市民の声を聞くところだから広報課が担当するのがいいだろう」ということで広報課に所管が移された。

 全国電子自治体会議当日の11月18日時点での進ちょく状況について、石川係長はこう説明する。「システムの構築とオペレーターの研修は終わっている段階で、現在は想定通りにオペレーターが答えられるかどうかを請負業社内で試験中だ。苦情のほか、コールセンターでは答えてはいけないような質問に適切に対処できるかもテストしている。今後は職員が専門的な質問をして、適切な部門に転送できるかなどもテストする予定だ」(石川係長)。一部の区で先行してコールセンターを試験運用した横浜市とは異なるやり方である。

 コールセンターでは、専門的な相談以外の京都市の事業や手続きに関する問い合わせへの対応のほか、イベント開催時など、所管課への問い合わせの集中が予想される場合の窓口としても活用する。個人情報を含む問い合わせなどは、回答せずに業務主管課へ転送する。

■図 京都市のコールセンターにおける業務の流れ
図 京都市のコールセンターにおける業務の流れ
2006年1月開設予定。災害など緊急事態発生時には24時間態勢で対応する。

 観光都市だけに、交通機関や名所の道案内情報、「紅葉の色づき具合はどうですか」といった観光関係の問い合わせへの回答も重視する。「ただし、『おいしいお店』など主観が入るものには回答しない方針だ」(石川係長)という。それ以外では、大規模災害や感染症などの緊急事態発生時もコールセンターを活用する。災害時などは、24時間態勢で対応する契約となっているという。

■究極のサービスをコンビニエンス・ストアに学ぶ

 石川係長は、自治体による究極の住民サービスとは、「ワンストップ」「ノンストップ」そして、どこに行っても均質のサービスが受けられる「マルチアクセス」のサービスであると位置付ける。そして、「そのヒントはコンビニエンス・ストアにある」(石川係長)と語った。

 「家の近所のコンビニに行けば、深夜にATMでお金を下ろしたり、公共料金を支払ったりできる。ついでにお菓子や缶コーヒーも買い、さらにコンサートのチケットまで購入できる」(石川係長)というわけだ。このようなサービスが、住民にとって当たり前になっているにもかかわらず、行政サービスは「コンビニと比べて明らかなサービス・デバイド(サービスの格差)がある」というのが石川係長の現状認識だ。

 そして、IT活用と民間活力を導入する京都府のコールセンターは、「『究極の行政サービス』に向けての第一歩である」と石川係長は説明した。