大阪府池田市は、2005年11月17日から職員の市庁舎への入退室の管理に、阪急電鉄などの乗車券や定期券に使われている非接触ICカード「PiTaPa」(ピタパ)を導入し、試験運用をはじめた。入退室管理機能をPiTaPaに持たせる例は自治体では初めて。本格導入は2006年1月4日から。


 池田市役所は個人情報保護対策として11月17日から庁舎の各フロアの部屋の扉にロックを設置した。職員がPiTaPaをロック機器にかざしてロックを解除する。導入費用は800万円。「通常のICカードだと1枚2000円程度。PiTaPaを使えばカード発行の費用が省ける」(池田市総合政策部IT政策課の石井伸之主査)。


 PiTaPaは現在は阪急電鉄、能勢電鉄、京阪電鉄で利用できる。2006年からは阪急バスやJR西日本、大阪市交通局でも利用できるようになる。池田市は市内を阪急電鉄宝塚線が通っており、市役所の最寄り駅も阪急電鉄池田駅。池田市では環境保護の観点からも職員に公共交通の利用を推奨しており、既に職員約500中400人弱が池田市仕様のPiTaPaを申請している。


 PiTaPaはスルッとKANSAIが発行する、関西圏の私鉄で共通に使える非接触ICカード。カード発行業務は三井住友カードが受託している。利用希望者は申し込み書をスルッとKANSAIに郵送してICカードを発行してもらう。池田市では独自の申込書を作り、それに合わせて入退室管理機能を付けた特別なPiTaPaを発行してもらうようにした。「池田市仕様」のPiTaPaは外見では普通のPiTaPaとまったく変わりがない。


 PiTaPaはJR東日本のSuicaやJR西日本のICOCAと同じく、ソニーのICチップであるFeliCaを使っている。SuicaやICOCAと違うのは、申し込み時に銀行の口座番号を登録して申し込みをし、使った分だけ後日引き落とされる「ポストペイ」であるという点。そのため、ユーザーが特別に申し込めば、電車の運賃や買い物に利用する部分と、入退室管理などに使う情報を入れ込む部分を切り分けてカスタマイズしたカードを発行できる。すでにいくつかの民間企業では入退室管理やIDカードとしてPiTaPaを採用している例はあるという。


 万一職員がカードを落とした場合は、PiTaPaカードの機能についてはスルッとKANSAIのコールセンターに電話して利用を止めてもらい、入退室機能も池田市総務部管財課に連絡すれば即時停止できるという。(塗谷隆弘)