マイクロソフトは本当に,Windows XP Home EditionのサポートをVista発売後2年で終了してしまうのだろうか(第1回を参照)。もし本当だとすると,Windows XP Home Editionの「安全に使える寿命」は3年を切ったことになる。この件に関して,マイクロソフトに取材を申し込んだところ,電子メールで返答があった。読者の理解のために,この電子メールによる質疑応答をそのまま紹介しよう。

質問:メインストリーム・サポート終了後は,Windows XP Home Edition/Media Center Editionに対してセキュリティ更新プログラムは提供されないのか?

マイクロソフトの回答:現在のところ,セキュリティ更新プログラムが継続して提供される延長サポートのフェーズをXP Homeに対して提供する予定はありません。

 しかし,まれに幅広いお客様が例外的な危険にさらされているとマイクロソフトが判断した場合には,製造中止となった製品に対して更新プログラムをリリースする場合があります。このポリシーはXP Homeのサポート期間の終了後も引き続き適用されます。

質問:過去,Windows 98のサポートが終了直前に延期になり,ユーザーの混乱を招いた。特に,Windows 98のサポート切れを信じてWindows 2000/XPに移行した「Microsoftを信じたユーザー」が怒って,マイグレーションをお客に推薦した多くのシステム・インテグレータが苦況に立ったと聞く。Microsoftは本当に方針を変更しないのか?

マイクロソフトの回答:マイクロソフトはマイクロソフトの製品チーム,お客様,パートナ,主要なアナリストおよびリサーチ会社と密接に協力し,明確で一貫したポリシーを決定しました。

 サポート・ライフサイクル・ポリシーは製品のサポート・タイムラインについて明確で予測可能なポリシーを確立し,お客様およびパートナがそのサポート要件を管理する手助けとなり,マイクロソフト製品のサポート・タイムラインの知識に基づき組織内の製品のプランニングと情報技術のプランニングの両方を可能にするよう設計されています。

 マイクロソフトは現在のポリシーを変更する予定はありませんが,常にお客様からのフィードバックを検討するようにしています。

質問:Windows Media Center Edition 2005(MCE 2005)はXP Home Editionがベースなので,セキュリティ修正パッチの提供もXP Homeと同様になる。MCE2005搭載パソコンは「家電」として販売しているはずだ。家電製品の寿命が3年しかないことや,家電製品のOSのアップグレードを強いることは,家電の世界では考えられない。これについてMicrosoftはどう考えているのか。MCE 2005搭載マシンを家電とは認識していないのか?

マイクロソフトの回答:マイクロソフト・サポート・ライフサイクル・ポリシーは,お客様に対して移行を強制するものではありません。お客様が的確に計画し,判断を下せるようマイクロソフトが製品のサポートを終了する際に,お客様にしかるべきタイミングで明確に積極的にサポート・ポリシーを通知することを目的としています。

質問:XP Pro用に出るセキュリティ修正パッチをXP Home用に適用することは,ライセンスに抵触しないか。技術上の問題はないか。

マイクロソフトの回答:マイクロソフトは,お客様がインストールしたものと異なるソフトウエアのバージョンを対象にしたセキュリティ更新プログラムの適用を推奨しません。誤った更新プログラムを適用することにより,技術的な問題が起こる可能性,そして「スパイウェア」および/または悪質なコードのインストールが行われる結果となる場合があります。

質問:OEMベンダー(パソコン・メーカー)が独自にXP Pro用のセキュリティ修正パッチをXP Home向けに提供するなどの手段に出た場合,Microsoftはそのようなベンダーに対してどのように対応するのか?

マイクロソフトの回答:マイクロソフトの製品に対するサード・パーティの「更新プログラム」は,マイクロソフトにより検証されておらず,重大な技術的問題を引き起こす可能性があるため,推奨しません。まれに,OEMベンダーがプリインストールの一部として,マイクロソフト製品に装備されたコードに対する更新プログラムをリリースする場合がありますが,お客様には更新プログラムの適用により起こりえる危険とメリットを慎重にご検討いただくことをおすすめします。