現在店頭で販売されている最新の「Windows XP Home Edition搭載パソコン」が,あとわずか3年で「寿命切れ」になってしまうことや,そもそも買った時点で「危険な状態」であることを,どれほどのユーザーが理解しているだろうか---。

 マイクロソフトは1月,Windows XPに関する新しいサポート・ポリシーを発表した。1つ目の発表はWindows XPのサポートの「延長」であり,もう1つの発表は次期サービス・パック「Windows XP Service Pack 3」の「出荷延期」であった。この2つの発表は,Windows XPを購入したり使い続けたりする上で,ユーザーに非常に大きな影響を与えるものである。しかし,その影響の大きさを理解しているユーザーはごく少数だ。

 まず1つ目の発表によって,Windows XP Home Editionの「安全に利用できる寿命」が3年を切ったことが明らかになった。また2つ目の発表により,店頭で販売されているWindows XPの「セキュリティ上危険な状態」が,今後1年半は放置されることが明らかになったのである。こういった内容は,マイクロソフトのサポート制度を熟知していなければ理解するのは難しい。そこでITproでは3回にわたって,Windows XPのサポート制度の概要と現在明らかになっている問題点,そしてユーザーが注意すべき点を解説する。今年新しくパソコンを購入しようと考えているユーザーは,特に注意して読んで頂きたい。

 第1回の本稿では,1月に行われたマイクロソフトの2つの発表を詳しく解説する。第2回では,Windows XP Home Editionのサポート延長(サポート切れ)に関するマイクロソフトのコメントを紹介する。そして第3回では,Windows XP SP3の提供が遅れるという状況でユーザーが採れる「自衛策」,つまり「安全なパソコンの選び方」について解説する。それではまず,マイクロソフトの発表内容を振り返ってみよう。

「Vistaの発売後2年間はメインストリーム・サポートを提供」の意味は?

 マイクロソフトは2006年1月初めに,「Windows XP Home Edition」の販売期間や「メインストリーム・サポート期間」の延長を発表した(関連記事)。Windows XP Home Editionは次期バージョンのWindows Vistaの発売まで販売が継続されるほか,Vista発売後は2年間,メインストリーム・サポートが提供されることになった。

 実は当初の予定では,Windows XP Home Editionの販売は2005年末で終わり,バグ修正を無償で提供する「メインストリーム・サポート」は2006年末で終了するはずだった。しかし次期バージョンである「Windows Vista」(開発コード名:Longhorn)の開発は遅れに遅れ,2006年末にならなければ出荷できなくなった。Vistaが登場するまで,Windows XPを販売し続けなくてはならなくなったのである。ITproではVistaの開発が遅れた時点で,Windows XPの販売・サポート期間の延長を期待する記事を掲載している(関連記事)。

 本稿で,対象を「Windows XP Home Edition」に限定しているのには訳がある。企業で使われている「Windows XP Professional」と「Windows 2000 Professional」は,マイクロソフトの「業務用製品のサポート・ポリシー」に基づき,2004年夏の時点で「メインストリーム・サポートは次期版の発売から2年間」「延長サポートはメインストリーム・サポートの終了から5年間または次々期版の発売から2年間」提供されることが発表されていた(関連記事)。しかし,Windows XP Home Editionは「家庭用製品」なので,サポート延長の話はこれまで全くされていなかったのだ。