■MOM(Microsoft Operations Manager)で,サーバーを監視するためには,監視対象のサーバー製品に対応した管理パックをインポートし,構成する必要がある。
■ただし,管理パックの種類によっては,追加の構成が必要な場合がある。必要な追加の構成については,管理パックのドキュメントを参照する必要がある。

(吉田 かおる=NECラーニング)




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図1●今回想定する環境

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図2●管理パックの構成要素

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表1●MOMの製品CD-ROMに収録されている管理パック

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図3●管理パック一覧
 前回は,架空の企業を想定して,MOM(Microsoft Operations Manager)をインストールする手順を紹介した。ただし,基本的なシステムを構成するだけでは,サーバーの監視は開始できない(図1)。サーバーを監視するには,さらに監視対象のサーバー製品に対応した管理パックをインポートし,構成する必要がある。

 管理パックとは,MOMの機能を構成する要素となるルールやスクリプト,タスクなどを監視対象となる製品ごとにまとめたものである(図2)。例えば,「Exchange Serverの管理パック」や「SQL Serverの管理パック」などがある。

 管理パックの特徴は,すぐに使える「アウト・オブ・ボックス・ソリューション」であるという点だ。MOM管理者は,サーバー製品に対応した管理パック・ファイルを探して,MOM管理サーバーにインポートするだけで,すぐに,そのサーバー製品を監視できるようになる。監視対象サーバー製品についての深い知識が必要ないため,慣れない分野の製品や新製品でも,一定水準以上の監視を開始できる。

 MOMの製品CD-ROMには,あらかじめ,マイクロソフトのサーバー製品に対応した各種の管理パックが収録されている(表1)。また,マイクロソフトでは,今後リリースするすべてのサーバー製品に対して,管理パックを提供することを約束している。これらの新しい管理パックは,マイクロソフトのWebサイトで公開される予定になっている(図3)。

 管理パックは,マイクロソフト製品だけに用意されるものではない。例えば,シマンテックは,バックアップ・ソフトウエアで高いシェアを持つBackup Execに対応した管理パックを同社のWebサイトで無償公開している。さらにはNECやIBMなどのハードウエア・ベンダーもハードウエア障害を検出する管理パックを公開している。また,自社開発のアプリケーション向けに管理パックを独自に開発することも可能である。

インポートする管理パックを選定


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表2●今回想定する環境に基づいた管理パックの選択

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図4●ダウンロードセンター
 管理パックをインポートするためには,まず必要となる管理パックを選定しなければならない。すべての管理パックをインポートする必要はなく,実際に使用しているサーバー製品を調査し,必要な管理パックだけをインポートすればよい。例えば,今回想定した環境では,表2の管理パックが必要となる。

 ちなみに,MOMには,あらかじめ,MOMの管理パックがインポートされているため,MOM以外の製品に対する管理パックをインポートしていく。今回は,例として,IIS(Internet Information Services)の管理パックをインポートする手順を紹介していこう。

 なお,IISの管理パックは,MOMの製品CD-ROMにも含まれているが,マイクロソフトのWebサイトで配布されているほうが,バージョンが新しい。そのため,マイクロソフトのWebサイトから管理パックをダウンロードすることをお勧めする(図4)。

 ダウンロードした管理パックを展開すると,拡張子が「akm」のバイナリ・ファイルと「xml」のテキスト・ファイルから構成されていることが分かる。このうち,akmファイルが管理パック本体である。なお,xmlファイルは,レポート・フォーマットのファイルであり,MOMでレポートを作成するときに使用する。


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図5●管理パックのインポート/エクスポート・ウィザード

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図6●[IISサービス検索を実行します]タスク
 次に,akmファイルをMOMにインポートする。インポートには,「管理パックのインポート/エクスポート・ウィザード」を使用する。このウィサードは,MOMの管理者コンソールの[コンソールルート]−[Microsoft Operations Manager]−[管理パック]を右クリックして現れるメニューから[管理パックのインポート/エクスポート]をクリックして開始する。ウィザードの詳細については,図5を参照してほしい。

 なお,管理パックを監視対象コンピュータに直接インポートする必要はない。管理パックには,「サービス検出」と呼ばれるルールが含まれている。このルールが,監視対象コンピュータのエージェント・プログラムを検出し,自動的に,そのエージェントに管理パックを適用する。

 ただし,IISのサービス検出は既定で7日ごとであり,最大7日間はIISのサービスが自動検出されない恐れがある。急ぐときは,オペレータ・コンソールの[Microsoft Windows インターネット インフォメーション サービス]に含まれる[IISサービス検索を実行します]タスクを実行することで,短時間に検出させられる(図6)。