「Microsoft Client Protection」は,米Microsoftの新しいセキュリティ製品であり,スパイウエア対策機能とウイルス防御機能,マルウエア(害のあるソフトウエア)対策機能をまとめたものだ。MicrosoftのEnterprise Access and Security Products部門のプロダクト・マネージメント担当ディレクターであるPaul Bryan氏は「われわれは顧客から,彼らが不正ソフトの防御を集中管理する方法を持っていないという声を聞いた。彼らは,管理すべきセキュリティ製品の数をもっと少なくしたいと思っている。自分たちの環境のセキュリティの状況をもっと簡略化したがっている」と語っている。いろいろな意味で,Microsoft Client Protectionは多くのユーザーやシステム管理者が待ち望んでいたものであると言えるだろう。

企業向けの統合された防御用製品
 2004年12月にMicrosoftはGIANT Company Softwareと同社のスパイウエア対策技術を買収した。2005年暮れに,MicrosoftはGIANTのスパイウエア対策機能を,自社のウイルス対策機能およびマルウエア対策機能と組み合わせて,定期契約ベースの企業向け製品をリリースすると発表した。Microsoft Client Protectionの統合されたエンジンは,管理者が期待する通りに対策の“きめ細かさ”をコントロールできるよう設計されている。

 Bryan氏によるとMicrosoft Client Protectionはきちんと整形されたレポートをシステム管理者に提供し,「対策すべき問題」だけにフォーカスした警告を発する。Bryan氏は「(デフォルトでは)長々と続くレポートを出力させようとは思わない。実際に活用できる情報だけを出力させるつもりだ」と語っている。

 Microsoft Client Protectionは,既存のMicrosoft製システムとのシームレスな連携が可能だ。「Systems Management Server(SMS)」のような,クライアントにソフトウエアを配布するソフトを既に使っているのなら,Microsoft Client Protectionはそういったソフトと融合するし,使っていない企業でも,Windows Server 2003のアドオン・ツールである「Windows Software Update Services(WSUS)」を使って,Microsoft Client Protectionを管理できる。

 Microsoft Client Protectionはサーバー側でWindows Server 2003 Service Pack 1 (SP1)かWindows 2000 Server SP4を必要とする。このソフトウエアはWindows 2000 SP4とWindows XP SP2以降のクライアントのほか,Windows Server 2003のファイル・サーバーも防御できる。Windows VistaとLonghorn Serverが出荷されればMicrosoft Client Protectionはそれらの製品もサポートするだろう。

ライセンスは明らかになっていない
 Microsoft Client Protectionには大きな疑問がある。例えば,ライセンスについては今でも明らかにされていない。同社は以前,この製品を定期契約でライセンスすると発表してはいるが,詳細は不明だ。Bryan氏は,この製品の初期ベータ版を,2005年暮れに一部のMicrosoftの顧客に提供する予定だという。そのフィードバックが良ければ,Microsoftはこの製品を2006年前半にリリースする予定である。Bryan氏は「2006年初めには,ライセンスに関してもっと情報を公開するだろう」とも述べている。

 Microsoft Client Protectionを推奨するのはまだちょっと早い。しかし今年は,システム・インテグレータなどにとって,統合されたマルウエア対策製品を顧客に提供できることが大きなビジネス・チャンスになるだろう。ウイルス対策機能とスパイウエア対策機能が統合されているのは,なかなか面白い。同社が適切なライセンスを提供できるのであれば,非常に成功するソリューションになるだろう。