米Microsoftが求める「完ぺきな世界」(Bill Gatesに従う世界)では,皆がいつもMicrosoft製品ばかりを使い,「互換性ソフトウエア」のような意味のないものを誰も必要としない。しかし,世界は完ぺきではなく,予算に乏しい「Microsoftの反逆者」は,業務を遂行するために非Microsoft製品を利用し続けている。

 ここ数年,Microsoftはそういった反逆者たちにも,互換性という名のオリーブの枝(和平の証)を提供しようとしている。おかげで反逆者たちは,「いつでもMicrosoftの製品を使うことが最良の生き方だ」と観念しなくても,それなりに便利に日々の生活を送れるというわけだ。こういった方針に基づき,MIcrosoftはこのほど,SQL Server 2005用のJDBCドライバ(Javaアプリケーションからデータベース管理システムを使うためのソフト)を無償で提供すると発表した(ダウンロード・サイト)。このタイプ4JDBCドライバーは,JDBC 3.0の実装をベースにし,JDK v1.4に準拠している。Windows Server 2003,Windows 2000,Windows XP,HP-UX,IBM AIX,Linux,そしてSolarisを含む様々なOSをサポートする。

 Microsoftはこの新しいドライバーについて,「性能とトランザクション処理の改良,さらにXMLのようなSQL Server 2005の特徴をサポートしている」と述べている。SQL Serverは最新のJavaの互換性標準をサポートするので,Microsoftはこのリリースが「大規模な機能強化を前進させるための中核となる基礎とインフラを固めようとするもの」だという。

 もちろん他のベンダーもJDBCドライバを提供している。Microsoftのドライバの利点は無償ということである。また,Microsoftが「反逆者」を引き続きサポートしようと考えていることが分かったのも素晴らしいことだ。

 ただし注意点がある。当たり前のことだが,すべてのドライバが同じように作られているわけではない。これまで,いくつかのサード・パーティのJDBCドライバの方が,Microsoftのドライバよりも高速だった。筆者は,今回のドライバを独力でベンチマークする余力がなかったので,このドライバーの性能が高くないと言っている訳ではない。認識してほしいのは,MicrosoftがJDBCドライバを無償で提供するのは,あくまでSQL Serverを使いたいと思っているMicrosoft以外のプラットフォームのユーザーに対して,まじめに互換性を提供しようと考えているためである。もし筆者が,JDBCを使ってSQL Serverに接続する,拡張性の非常に高いソリューションを構築する仕事をするのであれば,Microsoftのドライバの性能が他のベンダーのドライバと同等またはそれ以上に優れているかどうか,テストしたいと思うだろう。

 今回のような,顧客に互換性を提供しようというMicrosoftの取り組みはとても評価できる。筆者の環境は大部分がMicrosoft製品ではあるが,筆者は決して,世界のすべてがMicrosoft一色であるべきだとは思っていないからだ。