Q


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図1●バックアップを取ると少しずつドライブの空き容量が減少している

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図2●エクスプローラで見えるフォルダのサイズ
Windows Server 2003でサード・パーティ製バックアップ・ソフトを使用し,毎日ファイル・サーバーのフル・バックアップを取得しています。しかし,バックアップ開始前とバックアップ終了後にエクスプローラでボリュームのプロパティを確認すると,数百Mバイトもディスクの空き領域が減っていることに気づきました(図1)。毎日同じ位減っているため,やがて問題になりそうです。

 大きなサイズのファイルを探したのですが,該当するものはありません。さらに,ボリュームのプロパティにある[使用領域]が示すサイズと,エクスプローラで調査したすべてのファイル/フォルダの合計サイズが違っていました(図2)。何が問題なのでしょうか?

A

状況から推測すると,ボリューム内の\System Volume Informationフォルダ(例えばC:\System Volume Information)に作成されるボリューム・シャドウ・コピー・サービス(VSS)用のスナップショット・ファイル(シャドウ・コピー・ファイル)がディスク容量を圧迫していると考えてよいでしょう。

 \System Volume Informationフォルダには隠し属性とシステム属性が付与されています。また,デフォルトでSYSTEMという特殊なユーザーにしかアクセス権がありません。そのため,管理者がエクスプローラですべてのファイル/フォルダのサイズを調べて合計しても,その中には含まれません。


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図3●管理者が目にするVSS設定画面の例
 VSSは,オープンされているファイル(例えばイベント・ログ・ファイルやデータベースのファイルなど)のバックアップを取得するための機能です。ただし,アプリケーション・プログラムがAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で使用する場合がほとんどです。

 管理者が目にするVSSの設定はかなり限られています。例えば,エクスプローラからボリュームのプロパティを表示したときに出る[シャドウコピー]タブの設定ぐらいでしょう(図3)。しかもこれは,VSSで共有フォルダ内のデータの世代管理を行う「共有フォルダのシャドウ・コピー」という機能の設定に過ぎません。この部分で[無効]と設定しても,VSSによる共有フォルダの世代管理を行わないだけで,その他のアプリケーションがVSS機能を使用している可能性があります。

 今回使用していたバックアップ・ソフトも,VSSの機能をAPI経由で利用しており,バックアップ・ジョブが走るたびにVSSのスナップショット・ファイルを作成していたため,ディスク容量を圧迫していたと思われます。


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図4●対処としてはVSSの制限値を設定する
 対処としては,前述したボリュームのプロパティの[シャドウコピー]タブでVSSの制限値を小さくしてみてください(図4)。[設定]ボタンを押して[設定]ダイアログ・ボックスを表示させると,最大サイズを設定できます。300Mバイト以上で,ボリューム・サイズから考えて現実的な値を指定します。設定した値を超えるスナップショット・ファイルは,古い順に削除されます。

 \System Volume InformationフォルダにはVSSのスナップショット・ファイルのほか,暗号化ファイル・システム(EFS)のログ・ファイルなども置かれています。OS自身が使用するファイルしか存在しないため,前述のようにシステム属性と隠し属性が付けられ,SYSTEMというユーザーにしかアクセス権が与えられていません。

 管理者へ同フォルダのアクセス権を与える方法はマイクロソフトのサポート技術情報309531「System Volume Informationフォルダへアクセスする方法」で詳しく説明されています。VSSのスナップショット・ファイルは,VSSのプロバイダGUID(グローバル一意識別子)を含むような名前のファイル(例えば{99e03f1f-5aef-11da-b11c-0008c7eb5b6d}{3808876b-c176-4e48-b7ae-04046e6cc752})として格納されています。


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