米Microsoftは2006年にも「Microsoft Certified Architect」という新しい認定プログラムを開始する予定だ。新プログラムは,従来の認定プログラムと比較して,かなり本格的なものになりそうだ。その見所をレビューしてみよう。
過去1~2年の間,私はMicrosoftの認定プログラムについてほとんど記事を書かなかった。なぜなら私の専門分野であるSQL Serverでは,Microsoftによる機能追加が全く無かったからである。また私は以前「Microsoftの認定プロセスが,現実世界での個人の能力を示すものとは思わない」と書いたことがある。特に私は,どんなMicrosoftの認定プログラムも先端的な分野における個人のスキルを測るのに格別に役立つと思ったことはない。
しかし,現在策定中の「Microsoft認定アーキテクト」に関するアイデアは,私の関心をとらえた。この認定プログラムは2006年前半に開始される予定で,Webサイトにある説明書き(該当サイト)には,数多くの疑問を感じる。それでも,注目に値すると言ってよい。
上に挙げたWebサイトでは,こう説明している。「このプログラムは,ITアーキテクチャとして最高の専門家であるか,その妥当性を調べるものである。ここで言う専門家とは,IT分野で10年以上の経験を持ち,3年間は実際の設計に携わったことがあり,強い技術とリーダシップのスキルと,際立ったコミュニティを形成する能力を備えている人物を指す」
Microsoft認定アーキテクト・プログラムの受験者は,過去に認定を受けたアーキテクトたちからなる厳しい審査会をパスしなければならない。この認定プログラムは,「ビジネスの問題を解くための複数の技術を使えて,しかもプロジェクトの成否をはっきりさせるためのビジネス上の尺度と測定方法を提供できる人」を対象にしたものだ。
これまでのMicrosoft認定プログラムは,特定の製品に関して十分な知識を記憶しているかを特定の試験日に聞くだけの試験だった。私は,短期的な記憶力に優れていて,週末に試験の予想問題集を一冊丸ごと読んだ程度で認定プログラムに合格した人をたくさん知っている。こういう人たちは,大事なことを身につけたり,あるいは理解したりはしていなかった。しかしMicrosoft認定アーキテクト・プログラムでは,8つの認定プロセスを経なければ,アーキテクトとして認定されない。
Microsoftがこの認定プログラムを開始するに当たって努力すべきなのは,プログラムの実施計画をカバーするのに十分な人を集めることである。従来のように,コンピュータ上だけで完結した認定テストを実施するのも1つのやり方である。しかし新認定プログラムは,いわば博士論文のテストのようなものであり,助言者や評価委員会が欠かせない。よって認定プロセスは,より複雑なものになるだろう。もしMicrosoftがしっかりした認定制度を構築できるのであれば,この新しい認定プログラムは信頼できる,個人の真のスキルを測定するに足りる制度になるであろうし,ITアーキテクチャの世界で認められるであろう。
正直に言えば,当初の段階から認定プログラムが本当に役立つものになるかどうかについて,私はちょっと悲観的である。この心配が杞憂であることを望むが,その人の能力が「アーキテクト」に値するかどうか測定するのは,とても難しいことである。もし,Microsoftが価値のある認定プログラムを確立することの重要性を認識しているのであれば,とてもうれしく思う。認定プログラムが成功するかどうか判断するのは,2006年になってプログラムの詳細が明らかになり,しかも受験者の評判が聞けるようになるまで保留しようと思う。もし,Microsoftのたくらみが当初は受け入れられなかったとしても,その努力だけは評価したい。