米Microsoftは11月15日,「Windowsデスクトップサーチ(WDS)」の企業向けバージョンをリリースした(既報)。これは,Webとローカルのハードディスク内,イントラネットを検索対象とするエンドユーザーのツールで,企業ユーザーの導入用に管理機能を備えたものだ。Microsoftは一般ユーザー向けのバージョン,いわゆる「MSN Search Toolbar with Windows Desktop Search」をリリースしたときにWDSの企業バージョンを出すと約束していた。さかのぼれば2005年5月のことだ。

情報を探すのに浪費する時間を削減
 デスクトップ検索は,情報処理従事者にとっては聖杯のようなものだ。数多くの調査が,ユーザーは毎日の時間の大半を単に自分のハードディスクや企業のイントラネットにある関連書類を探すために浪費していることを示している。企業向けWDSのようなツールはこういったニーズをいつかは解決するはずである。もしこの新バージョンが,5月に出荷したMSNブランドの一般ユーザー向けバージョンと同じくらい優れたものなら,勝者になる可能性がある。

 Microsoftでこの製品を担当するHeather Friedland氏から説明を受けた。この中で,企業がWDSをより広く応用できるように,いくつか変更を加えたことを教えられた。

 Microsoftは「MSN Toolbar」(MSN Toolbarは「Internet Explorer」(IE)と「Outlook」向けの検索用ツールバーを提供する)をWDSツールから切り離した。WDSはWindowsのタスク・バーに,統合された検索用のデスクバーを追加するものだ。この分離により,どんなツールバーでもデスクバーでも,あるいは全部を,ユーザーに対して別々に提供できることになった。

 管理機能がない一般ユーザー向けバージョンのWDSと異なり,企業向けバージョンは「Systems Management Server」(SMS)や「Active Directory」(AD),「Group Policy」,サード・パーティの導入支援製品――といったアプリ/ソフトの自動導入ツールとともに動作するよう設計されている。つまり,多彩な構成オプションをサポートしており,どの機能を使用可能にするか,どの文書タイプを検索可能にするか,といったことを管理者が細かく指定できる。

Outlookともうまく統合
 この製品は,いくつか新機能も備えている。「Outlookツールバー」は,以前よりうまくOutlookクライアントに統合され,検索結果を直接アプリケーション内へ送れるようになった。一般ユーザー向けバージョンでは,別のウインドウを開いて表示していた。現在のバージョンでは,ユーザーが検索可能な範囲を管理者が決められるので,イントラネット検索用にカスタマイズした検索文字列を複数設定できるだけでなく,WDSデスクバーが検索する場所を区別する名前を設定することもできる。

 例えば,一般ユーザー向けバージョンでは,デスクバーはローカルかWebを検索できるようにするが,企業向けバージョンでは,ユーザーには3つ目の選択肢が表示される。「イントラネット」とか「ローカル・ネットワーク」といった,よくあるラベルの代わりにぴったりした名前を付けて表示できるのだ。

 もう1つWDSは,「Microsoft Developer Network」(MSDN)で公開されているシンプルなAPI経由で簡単に拡張できる。各企業は自社内で使っているカスタムのドキュメント・タイプをサポートする検索を簡単に追加できる。そしてWDS用の広い範囲の無償または安価なアドオンが既にWebサイト上で公開されている(該当サイト)。

 企業向けWDSの最も素晴らしい特徴の1つは,ライセンシング・コストである。既に「Windows 2000」または「Windows XP」のライセンスを持っていれば,無償で使える。32ビット版のWindows 2000(Service Pack 3)以降のシステムかWindows XP搭載のデスクトップには自由にWDSを導入できるし,Friedland氏によればx64版も準備中だという。無償ダウンロード版の入手とその詳細については,MicrosoftのWebサイトを参照してほしい(該当サイト)。